ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

ソハヤノツルギは、社寺縁起・伝説・説話・物語などにみえる架空の人物坂上田村丸をめぐる言説、能・お伽草子・奥浄瑠璃などに登場する聖剣

ソハヤソハヤの剣ソハヤ丸とも。

概要

文芸作品によっては「そばやの剱」「草早丸」「素早の剣」「素早丸」「神通剣」「堅貪」など写本による表記揺れが見られるが、すべてソハヤノツルギを対象としたもの。

物語中では神通の鏑矢角突弓とともに数々の鬼神退治に使用される。

「そはや丸」と「こんじゃく丸」という二振りの刀剣を振るう二刀流の田村丸将軍バージョンの物語もあり、妻となった三刀流鈴鹿御前と合わせて計五振りの刀剣を投げ、数百もの鬼たちを一気に殲滅している。

伝説と史実の関係

絵巻お伽草子浄瑠璃などの物語に登場する架空の武器ではあるが、兵庫県・清水寺の大刀「騒速(そはや)」に逸話が仮託される。

同様の例としては、物語中で源頼光酒呑童子を斬った逸話が仮託された童子切安綱が挙げられる。

所蔵する清水寺の寺伝では「桓武天皇の頃に征夷大将軍坂上田村麻呂が丹波路より播州清水寺に参拝し、聖者大悲観音の加護を得て陸奥国の逆賊高丸を討ち、鈴鹿山鬼神を退治した。その感謝として愛刀の騒速と、副剣二振りを奉納した」としている。

『播磨鑑』「御嶽山清水寺の条」では鈴鹿山で鬼神退治をした太刀一振を田村将軍が本堂に奉納したと記述されていることから、古くから清水寺にはソハヤノツルギの逸話が仮託された大刀が伝わっていた。

夫婦刀

創作作品において大通連と「夫婦刀」として設定している事がある。

Fateシリーズ』に登場するJKセイバー宝具のうち、大通連を真名解放した天鬼雨の説明に「展開数は250本だが、夫が持つ夫婦剣の素早丸(そはやまる)と連動解放することで500本の剣の雨で敵陣を蹂躙することができる」とある。おそらくは夫婦刀の意味で夫婦剣と設定したのだろう。

余談

徳川家康妙純傳持ソハヤノツルキウツスナリ「ソハヤノツルキ」と略して呼ばれているのは偶然必然か。ソハヤノツルとソハヤノツルと、たった一文字違いである。

家康のソハヤノツルキの読み方は「そはやのつるぎ」との解釈もあり、その紛らわしさわけがわからないよ

とか言ってたら『刀剣乱舞』ではソハヤノツルキ(読み:そはやのつる)として妙純傳持ソハヤノツルキウツスナリが登場したことで、その紛らわしさに拍車がかかっている。

ーー多少の混同はご愛嬌。

物語の中のソハヤノツルギ

『鈴鹿の草子(田村の草子)』

田村俊重将軍の子・俊祐と益田ヶ池の大蛇との間に産まれた日龍丸は、近江国見馴川の倉光・喰介という大蛇退治を命じられるが、この時は先祖よりの神通の鏑矢と角突弓を用いている。

日龍丸が藤原俊仁と名を改めたある日、妻の照日の前が陸奥国高山の悪路王に奪われたが、鞍馬寺の多聞天の守護と、多聞天より授かった剣により悪路王を討伐して妻を取り返した。その後は唐土へと攻めたが、恵果和尚の率いる不動明王の降魔の利剣に対し、不動明王が多聞天に掛け合って俊仁の神通の剣は光を失い、不動明王の剣に首をはねられた。(『田村の草子』)

『田村三代記』

<初代>

平安京の空に現れた煌々と輝く大星(妖星)が砕けて降り注いだところに、目の中に観音像が映る玉のような童子がと鏑矢を持ち座っていた。加茂康則(諸本によっては安倍晴明蘆屋道満)から「天からの賜り物、この国の大切な方」と占われ、帝から星丸と名付けられた童子は、成長して田村利春を名乗る。

<二代>

田村利春と繁井が池に住む大蛇・龍佐王との間に産まれた大蛇丸は、今瀬ヶ渕の毒蛇退治を命じられる。神通の鏑矢で眉間をい抜くと毒蛇は水中へと消えていき、母の形見の鏑矢を失ったため渕へ飛び込み先祖からの名剣素早丸で退治して鏑矢を取り返した。

諸本によっては帝よりの名剣とあるが、星丸の誕生と共に生まれた剣が帝を経由して利春へと渡ったためで、何れにせよ先祖からの名剣となる。

毒蛇退治の功で田村利光と名を改め、奥州大将軍として奥州争乱の鎮圧に出征するが、素早丸の太刀を佩いき、漣という名馬にまたがって奥州利府へと向かった。

<三代>

田村利光と九文長者屋敷の水仕・悪玉との間に産まれた千熊丸が坂上田村丸利仁将軍を名乗り、帝より鈴鹿山に天降った天竺第六天魔王の娘・立烏帽子の討伐を命じられ、立烏帽子との剣合わせで先祖よりの名剣素早の剣を用いるも、三明の剣を持つ立烏帽子に敵わず、押しきられて夫婦の契りを交わし、立烏帽子を妻にした。

田村丸将軍は立烏帽子と共に明石の高丸大嶽丸を討伐するが、いずれも素早の剣と三明の剣を投げ掛けて、雨霰となっな剣が振りかかって家臣の鬼たちごと首を斬ることで討伐している。

田村丸将軍が亡くなった立烏帽子を取り戻すため、地獄探し閻魔大王獄卒牛頭を斬った時に田村丸将軍が投げ掛けたのは立烏帽子の形見の大通連小通連だったりする。

  • 『田村三代記』では田村丸将軍がソハヤノツルギを投げ掛けると、立烏帽子が大通連を投げ返し、互いの剣が神通力で鳥になったり、火炎や水になって空中戦を繰り広げるなど和風ファンタジーのような描写がされる。

『神道集』

桓武天皇から奥州の悪事の高丸追討を命じられた稲瀬五郎田村丸が清水寺の千手観音に祈願すると、鞍馬寺の毘沙門天を拝むように示現があった。田村丸が鞍馬寺に参拝すると毘沙門天より三尺五寸の堅貪(けんどん)という剣を授かった。高丸との戦いの時に、田村丸が堅貪を鞘から抜くと、剣は自ら高丸に切りかかり首を落とした。

  • 『神道集』より少し先に成立した『諏方大明神画詞』では、「坂の上の田村丸」が諏訪大社の加護で高丸を退治するという同種の語りだが、鞍馬寺の毘沙門天から剣を授受するという部分がない。
  • しかし『神道集』になると、諏訪大社の加護で高丸を退治をしたのは「稲瀬五郎田村丸」となっていることから、お伽草子『田村の草子』の主人公である「稲瀬五郎坂上俊宗(のちの坂上田村丸俊宗)」が「坂の上の田村丸」を上書きしたことがわかる。この頃に諏訪大社が『田村の草子』を縁起に取り込んでいた証明ともなる。
  • 『田村の草子』では、鞍馬寺の毘沙門天から剣を授かるのは田村丸将軍の父・俊仁将軍であり、討伐するのは悪路王であるため、諏訪大社がお伽草子を縁起に取り込むときに元の縁起に合わせて設定を変更している。それと同時に堅貪という名称も付与している。

関連キャラクター

神咒神威神楽

⇒ソハヤ丸

坂上覇吐の大剣

白猫プロジェクト

⇒ソハヤの剣

帝国陸軍大尉トモエのモチーフ武器

関連記事