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マクギリス・ファリドの編集履歴

2019-10-22 02:10:38 バージョン

マクギリス・ファリド

まくぎりすふぁりど

マクギリス・ファリドとは、TVアニメ「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」の登場人物である。

友情・・・愛情・・・信頼・・・そんな生ぬるい感情は・・・残念ながら私には届かない。「怒り」の中で生きてきた、私には


CV:櫻井孝宏 / 藤原夏海(幼少期)


概要

治安維持を目的とした武装組織「ギャラルホルン」に於いて、組織内の調査を目的とした監査局に所属する特務三佐。

明晰な頭脳と冷静な判断力、そして鋭い洞察力を持ち合わせ、小さな綻びや不正も決して見逃さないなど監査官として高い手腕を誇る。

また、戦闘に於いては専用にカスタマイズされたシュヴァルベ・グレイズに搭乗し、その頭脳を以って状況を解析し、敵を確実に追い詰めるなどパイロットとしての実力も確か。

歴史に対しても造詣が深く、ギャラルホルンの成り立ちやガンダム・フレーム、阿頼耶識システムの開発経緯やその特性など、厄祭戦当時の情報にも精通している。阿頼耶識研究所の存在やバエルの阿頼耶識規格を知っておりその知識は表のそれのみでなく裏に隠された歴史にまで到達している、が経緯等の詳細は不明。

強大な影響力を持ちながら内部の腐敗が進むギャラルホルンの現状を憂い、組織の改革を望んでいる。

しかし彼自身もまた、モンターク商会代表という裏の顔を作っているなど、清廉潔白とは言い難い。必要に応じて二つの身分と様々な「顔」を使い分け、時として知人すらも欺く事から彼が胸に抱く真意を見抜く事は難しい。


ギャラルホルンを束ねる「セブンスターズ」の一家門ファリド家の跡取りだが、当主イズナリオの実子ではない。

元は彼によって男娼として拾われたストリートチルドレンであり、イズナリオのハーレムに迎えられた後、その中から容姿や能力の優秀さを認められ養子として引き取られた(モンタークは当時の旧姓である)。その後も彼から性的虐待を受け続けていたため成人した今でも義親子とはいえ関係は芳しくはなくイズナリオを極力避けている。

元々孤児であった為、世間体を気にしたイズナリオによって「妾の子」という身の上を用意されているが、彼との間に血の繋がりが無いのは周知の事実となっている。

同じセブンスターズの出身であるガエリオ・ボードウィンカルタ・イシューとは幼馴染であり、カルタからは子供の頃より想いを寄せられている。また、ガエリオの妹・アルミリアは親同士が決めた許嫁の関係にある。

支配に抗う孤高の強さとして、三日月・オーガスのことを評価し取り込もうとしていたが、その戦いは共にある仲間ありきのものであると気付いたことから、最後には「自分には出来ない生き方だ」と諦めている。ある意味三日月達の対・陰と言える存在である。


ギャラルホルン改革を志したのは、幼少期から人間の負の面を強く意識させられる境遇に置かれていた事と、ギャラルホルン創始者アグニカ・カイエルの伝記に影響を受けた事に起因している。

貧困層で生まれ育った影響もあって富裕層に対する劣等感が強く、それ故に権力や暴力といった強大な力に強い執着を示すが、一方で愛情や友情といった人の情に対する関心が薄く、「友」に対して特別な感情を抱く事もあるが、必要であればそれすらも利用し切り捨てる非情さも覗かせる。

また、これらの経験の蓄積によって「人間は過去に縛られる事で未来の目標が決定づけられる」という持論を確立し、それを応用した人心掌握術にも長ける。

ただしこの過去からは自らも逃れられないという事も自覚しており、ラスタル・エリオンからはその執着を断ち切れぬまま育ってしまった姿を、「大人になれない子供」と評された。

上述した冷酷な暗躍の原動力として、自由や幸福を奪った世界に対する憎悪が、彼の奥底では絶えず煮え滾っている。時折「」という外面を破り、顔を出す「」の激情こそが、あるいはマクギリスという男の、最大の凶器であったのかもしれない。


何故に力を欲するのか?何をされたが故に怒っているのか?では何を欲していたのか?など、二面性という言葉ですら表しきれない、複雑に捻れた心理構造を有している。

終盤まで核心に触れられることがなかったことも手伝って、彼を理解するのは非常に難しくなっており、演じている櫻井孝宏氏ですらも、途中で「設定が変わったのだろうか」と思ったことがあったとのこと。


ガエリオと共に監査官としてギャラルホルン火星支部に派遣され、そこでガンダム・バルバトスを擁する鉄華団と邂逅。火星軌道上での戦闘で彼らと浅からぬ因縁を持つ事になり、同時に上述どおり、バルバトスを駆る三日月に興味を抱き始める(これと前後して桜・プレッツェルの農園で偶然ではあるが三日月と遭遇しており、彼の戦士としての資質を見抜いている。なお、その際の騒動から彼は三日月からチョコレートの人と呼ばれるようになる)。

その後、火星での監査を終え地球圏に帰還するとモンタークとして鉄華団に接触。彼らを腐敗したギャラルホルンの組織改編の為の外的要因に成るであろうと期待を寄せ、陰ながらに支援を開始。同時にギャラルホルン内に於いてもマクギリスとしての立場を利用して暗躍し、ガエリオやカルタを言葉巧みに操り、計画を進めた。このさいマクギリスは自身の本名がモンタークだと劇中で名乗っているが、それがどういった意味での「本名」なのか詳細は不明。

また、彼の経営するモンターク商会は老舗の商会とあるが、彼は幼少期ストリートチルドレンであったことから偽りの情報であった可能性が生じる。


そしてエドモントンでの戦闘に於いて、グレイズ・アインが市街地に侵入したのを頃合いとばかりにグリムゲルデに乗り状況に介入。ガエリオに対して真実を語ると共に激昂した友に刃を突き立てた。


鉄華団の勝利とガエリオの死を見届けた後、イズナリオを失脚させファリド家とボードウィン家を手中に収めるとギャラルホルン改革の為に奔走。

そして、カルタの後任として地球外縁軌道統制統合艦隊の司令に就任し、准将へと昇進。同艦隊をより実戦向けな部隊として再編した他、艦隊の主力機であるグレイズリッターの改良を行うなど、その才覚を多方面に発揮した。

艦隊司令官就任後も。オルガ・イツカに火星支部の権限譲渡の話を持ちかけ、鉄華団との関係を維持しつつ、ラスタルら他のセブンスターズらと水面下の駆け引きを続けるが、ラスタル派に対しては自ら策を仕掛ける事はせず、「セブンスターズという特権階級の存在」とギャラルホルン本来の理念から逸脱した振る舞いをするその在り方に不満を抱く者達を取り込み一勢力を築き上げる事に専念。逆に自分を陥れようとしてくるラスタル派の策に対処しながらその違法なやり方の証拠を掴むという形で彼らの立場を脅かす鉄華団を取り込んでいこうとする。

そして、自らに阿頼耶識システムを施術した後、革命の理想に共鳴するライザ・エンザ一派を動かしてギャラルホルン本部「ヴィーンゴールヴ」を武力によって制圧。

施設地下に封印されていたガンダム・バエルを手中に収め、その威光を以って組織の全権掌握を図るが、時を同じくして仮面を外し自らと敵対する決意を固めたヴィダール(=ガエリオ)とラスタルが自身に敵対する事を表明。更に自身が過去にしてきた裏の所行を白日の元に晒される事となった。

これに対抗する為に残りのセブンスターズに圧力をかけ戦力供出を要求するが、各家が中立の立場を示した事で交渉は失敗。結果、二倍近い戦力差を埋められないまま鉄華団と共にアリアンロッド艦隊と剣を交える。ラスタル派の策略と物量の前に多くの部下と武装を失い敗走。火星支部の戦力を頼りに火星に撤退するも既にラスタルの手が回されており、組織内での全権限を剥奪され、一転して追われる立場となる。


真実の思い

クーデターを起こしバエルを手中に収め、革命軍を率いて鉄華団と共にアリアンロッドと戦うも、敗戦。腹心である石動を失い、ギャラルホルン内での全権を剥奪されたマクギリス。火星の鉄華団本部に身を寄せることになったが、ラスタルによって犯罪者として国際指名手配され、おまけに鉄華団本部はアリアンロッドのMS部隊に囲まれてしまう。

利用していた鉄華団にも長く行動をともにする中で情はあったようで、オルガやクーデリア達が車でクリュセへ脱出できるよう包囲部隊にいたイオク・クジャンを挑発して戦闘を起こすことで一時期警備を手薄にさせた。オルガ達の脱出を見届けて彼らに別れを告げ、最後の戦いのため一人宇宙に飛び立つ。


もはや勝ち目を失ったマクギリスは、残った部下を全員逃がし、ガンダム・バエルに乗り込み1人で突撃。ラスタルを単騎で討ち取ることで、組織の力ではなく、研ぎ澄まされた純粋な1人の力で世界を変えられることを証明しようとした。


感情をむき出しにし、バエルを操り鬼神のごとく敵MS部隊や艦隊を次々と撃破していく。そして

それを防がんとするガエリオとの壮絶な一騎討ちの末に敗北。

重傷を負うが、それでも諦めきれずにバエルを降りてラスタルの座乗艦に潜入し、彼を銃殺しようとする。

だが、その行動を読んでいたガエリオに銃で撃たれ致命傷を負い、完全に野望を絶たれてしまった。


今際の際にガエリオに詰め寄られたマクギリスは、自身の心境をガエリオに打ち明けた。

ガエリオやカルタに本当の友情を持っていたが、それを否定しなければ今まで抱いてきた自分の思いを見失ってしまいそうで、あえて友達ではないふりをしたこと。

アルミリアのことも野望の道具としてではなく本心から愛しており、第一期の最終決戦でガエリオに言い放った「アルミリアの幸せは保証しよう」という言葉を現実にしたかったこと。


そんなマクギリスの想いを聞いたガエリオは無意識に涙し、最後にマクギリスが何か言おうとしているのを首を締めながら遮り


「言うな! 言わないでくれ…お前が言おうとしている言葉が俺の想像通りなら…言えば、俺は許してしまうかもしれない…だから言わないでくれ。カルタのために、アインのために…俺はお前を…!」


と、敵意と友情の間で葛藤していることを訴える。それを聞いたマクギリスは、ガエリオに看取られ静かに事切れた。


最期にはこれまでの主義主張をかなぐり捨てるように、世界に混乱を起こすための戦いに臨んだマクギリス。

結局のところ、口にし続けた新たな秩序も、ただ目的を叶えるための手段に過ぎず、それにより得られる自由が本当の望みであったからこそ、彼は混沌の中でも笑えたのかもしれない。


後に、マクギリスが起こした一連の騒動は「マクギリス・ファリド事件」と呼ばれるようになった。

この騒動を機にギャラルホルンは失いかけていた社会的地位を回復するが、7家の内、イシュー家、クジャン家、ファリド家の半数を断絶により失ったこともあって、セブンスターズを廃止。セブンスターズによる合議制からより民主的な組織へと再編され、その初代代表にラスタル・エリオンが就任。

ラスタルによるギャラルホルン火星支部縮小によって火星の経済圏は独立、火星連合が誕生、更にその初代議長となったクーデリア・藍那・バーンスタインと「ヒューマンデブリ廃止条約」を締結。


マクギリスが目指した「誰にも等しく権利を与えられる世界」という理想は、結果的に奇しくも彼を討ち破ったラスタルと生き残ったクーデリアの手によって実現しようとしていた。


マクギリスの戦略ミス

ガエリオ・ボードウィンの死亡確認を怠った

1期終盤、エドモントンでの戦いにおいてギャラルホルンの部隊と戦闘を3日間継続している鉄華団は疲弊していた。そこにグレイズ・アインを引き連れたガエリオの部隊が現れたのだからマクギリスが正体を隠し秘密裏にガエリオを始末しなければ鉄華団クーデリアが危うい。

結果、相手がガンダムフレームであるにも関わらず、自身の正体を明かし妹のアルミリアの話題を出すなどガエリオのメンタル面を揺さぶり、卓越した操縦技術でキマリスを撃破。ここでキマリスのコックピットに剣を突き刺したのはいいが、マクギリスが己の目でコックピットを覗き死亡確認をしていなかったのが仇となった。

そして2期の政敵であるラスタル・エリオンがガエリオを回収しヴィダールとして手元に置いていたことで、マクギリスは2期の最初から弱味を握られていたということである。


イオク・クジャンの「タービンズ襲撃事件」

マクギリスがイオク・クジャンの「タービンズ襲撃事件」の顛末をすべて把握しているのであれば、マクギリスはギャラルホルンに敵対する意思のなかった一企業に無実の罪を着せて襲撃したイオク・クジャンの非道と、彼を庇ってセブンスターズの会合に出頭しなかったラスタル・エリオンの監督不行き届きなどの罪状を国際社会に喧伝するだけでよく、3家の当主の身柄を拘束して戦力供出を強要する必要はまったくない。

マクギリスは3家の当主と語らってラスタルとイオクにセブンスターズに出頭するよう命令を出すだけでよく、出頭命令に応じないときに追討軍を組織すればいいだけの話である。もちろん、このような不名誉な理由によって逆賊の烙印を押されたアリアンロッド艦隊に士気が上がるわけはなく、マクギリスが勝者となって「ギャラルホルンの改革」を主導した可能性が高い。


厄祭戦から300年経過時のバエルの威光の影響力

クーデターによって、マクギリスが幼少期から憧れ遂に手中に収めたギャラルホルン創始者アグニカ・カイエルの乗機ガンダムバエル

この300年間誰一人起動させることが出来なかったこの機体を動かしたマクギリスは、我こそがギャラルホルンの頂点であり、ギャラルホルンの皆は席次や思想も関係なく自分に従わなければならないのだと宣言した。

バエルが起動しなかったのは人体の機械化を忌避するギャラルホルン内では既に厄祭戦時のフルスペックの阿頼耶識技術が残っていなかったからであり、この事実を隠蔽して研究を進め当時の性能そのままの阿頼耶識を自分に施術しバエルを起動させたマクギリスはギャラルホルンのトップに立とうとしていたのである。

しかし、300年も前の戦争に端を発したオカルト信仰では、さすがに上述したガエリオを陥れたという、現実的な嫌疑を払拭するまでには至らなかった。結果としてギャラルホルンを治めるセブンスターズは事態を静観する姿勢を取ってしまい、マクギリスは戦力を得ることが出来なかった。

エリオン家のラスタルは当然マクギリスと敵対することを選んだので、マクギリスは不十分な戦力でアリアンロッドと決戦を挑まなくなければなくなった。


SDガンダム外伝シリーズでは

新約SDガンダム外伝 新世聖誕伝説では、月の裏側のギャラルホルン帝国の皇子として登場。原作とは違い本当の皇子になっている


かつて悪魔の鎧であるエイハブメイルによって、月の悪と呼ばれる機重奇神ジークドミヌスに操らていたギャラルホルン帝国であったが、鎧の呪いが打ち切れた騎士バルバドス(人間であるミカが変身した姿)達と数名と共にジークドミヌスと戦った。


しかし鎧闘神戦記から数十年後に目覚めたジークドミヌスに洗脳され、仮面の騎士としてスダ・ドアカワールドの支配の先兵とされてしまい、ジークドミヌスの仮の姿である奇甲神デルガイヤーとリンクしていたが、神聖騎士ウイングとの戦いで正気に戻り、月光騎士ネオガンダムと騎士バルバトスと共にギャルホルン帝国を影で操っていた司令官ラスタル(正体は、ジークドミヌスの傀儡であり月の裏側に生息するモンスター親バグから派生した子バグが人間に化けた姿だった)と戦った。


ジークドミヌスに操られている自らの鎧が奇甲騎士バエルとして立ち阻むが、マクギリスはこれを撃破し、取り戻した自らの鎧を装着して機皇騎士ガンダム・バエルに変身。

機騎士ガンダムキマリス・ヴィダールとの戦いでガエリオを正気に戻し、鉄血の騎士の一員としてバルバトス、グシオンリベイク、フラウロス、キマリス、と共に、機重奇神ジークドミヌスに戦いを挑んだ。

そして戦いの後、月世界を復興するクーデリアのペンダントをミカから託されジークドミヌスと融合した赤き月の残骸を宇宙船に改造させて、月世界再興のために月へと旅立ち、その後、月の王国セレネスの王子月光騎士ネオガンダムの家臣となった。


SDガンダム外伝では、マクギリスは、本当の皇子でラスタルは、帝国を操っていたジークドミヌスの傀儡でモンスターであると立ち位置が完全に逆になっている。


関連イラスト

エデンの果実准将


関連項目

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ

ギャラルホルン

シュヴァルベ・グレイズ グリムゲルデ グレイズリッター ガンダム・バエル

ガエリオ・ボードウィン アルミリア・ボードウィン

カルタ・イシュー アイン・ダルトン 石動・カミーチェ

三日月・オーガス オルガ・イツカ ビスケット・グリフォン

モンターク トド・ミルコネン イズナリオ・ファリド

チョコレートの人


孤児 男娼 アンチヒーロー 哀しき悪役 ダークヒーロー アダルトチルドレン 双剣 超人 甘党 ニューリーダー病


シャア・アズナブル - リスペクト元。「組織を転覆させようと暗躍する仮面の男」という共通点を持つ他、人を率いる立場に就きつつも、本質的には個人の感傷の中でしか生きられないという不器用さも受け継いでいる。もっともマクギリスはシャアと異なり、由緒正しい血筋を持っていたわけではない。

ゼハート・ガレット - 幼少期は孤児であったこと、物語終盤で後戻りできなくなったこと、冷静さを失った故に親友との決戦で敗北する事などが共通。また、同じくシャアリスペクトキャラクターである。


ズ・ザンバジル…卑しい(皇帝の妾腹の子)身分から、奸計をもちいてボアザン帝国の皇帝に上り詰めた、ある意味マクギリスの同類


松ギリス - 松野おそ松との声優ネタで、おそ松風のガンダムバエルが作られたこともある。

明智光秀 - クーデターを起こしたはいいが、諸侯の協力を得られず、孤立無援になってしまった者同士。

石田三成 - 光秀と同じくクーデターを起こしたはいいが、人望の無さを自覚できなかった為に多くの人間を巻き添えにして自滅してしまった者同士。

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