「国際警察の旦那、いい所に…。あっしを、逮捕してくだせぇ…!!」
「姉御…。案外、いい人でやんすね」
概要
ギャングラーでありながら自ら自首して来た気弱なギャングラー怪人。
青い鳥を思わせる姿で、翼と尾羽がまるで角の様に頭から生えており、肩には卵に似た装飾を持つ肩当てを付けているが右肩の上の卵だけ赤いカラーリングをしている。
扉に見える顔面はいつも困った様な表情をしている上、ポーダマン達にボコボコにされるほど自身の戦闘力も低く、今まで登場したギャングラー怪人と比べあまり恐ろしさは感じられない。
江戸っ子の様な喋り方が特徴。
そんな彼だが、実はザルダン・ホウと同じ、銀色金庫を2つ所有する『ステイタス・ダブル』に分類されるギャングラー怪人である。
当初は腹部左右にルパンコレクションを収納する金庫を備えていたが、とある実験の為にギャングラー怪人から金庫を掻き集めているゴーシュによって左側の金庫をもぎ取られてしまい、1つだけになってしまっている。
後述する様に自ら開けてしまった為、暗証番号は不明だったが、後に左側が「408」、右側が「410」である事が判明した。
自身の事を気にかけてくれたつかさに恩義を感じたり、ギャングラーから足を洗って新しい身分を手に入れたら静かに暮らしたいと願うなどギャングラーとしてはあり得ないほど良心的な性格をしている。
活躍
ゴーシュが保有する研究所内で左側の金庫をもぎ取られてしまい、もう1つの金庫をもぎ取られそうになったが辛くも逃亡(この時包帯も持ち出している)。
ルパンレンジャーとルパンエックスが巨大改造ポーダマンとゴーラムと戦っている裏で、ダメージが残る腹部を押さえつつ(ゴーシュが向かわせたと思われる)ポーダマン達から必死に逃げるも、どこかの駐車場で捕まり袋叩きにあう。
そこへ通報を受けたパトレンジャーが駆けつけると、いつもと様子がおかしい事に首を傾げていたが、ひとまずヨシーを襲っていたポーダマン達を撃破。危機を脱したヨシーはパトレンジャーに自分を逮捕して欲しいと自首。ギャングラーの口からその様な発言が出た事に驚くパトレンジャーの3人だが、身柄を確保して国際警察へと連行する。
国際警察で取り調べを受けるヨシーは、信じてもらえるならギャングラーの重要な情報を教える代わりに罪を見逃して欲しいと司法取引を持ちかけるが、罠を仕掛けている可能性があると疑うノエルはこれに反対。しかしギャングラーの情報が少しでも手に入るならこのチャンスは滅多にないと戦力部隊は頭を悩ませる。
司法取引をせずとも情報を聞き出せるという咲也のアイデアで、圭一郎とベテランの刑事の格好に扮した咲也が「母さんの歌」を流しカツ丼を食べさせてヨシーの心に語りかけるというベタな刑事ドラマの取り調べをしたり、ヒルトップ管理官にあのロボ刑事のコスプレを、ジム・カーターにデトロイトの刑事のコスプレをさせたりと、ヨシーに情報を吐かせようとあの手この手を試すが失敗。
それでもめげない咲也はつかさとノエルに違うコスプレをさせようとしたが、つかさは却下。代わりに通常の取り調べで情報を吐かせると同時に、ノエルへヨシーの金庫に手を出さない様忠告して取り調べ室へと向かう。
名前以外なかなか口を割らないヨシーに対しつかさは司法取引と新しい身分申請の書類を用意するが、包帯を巻いた腹部を見てヨシーが傷を負っている事に気付く。
ヨシーは「この傷は、ただやられただけでやんすよ…」とゴーシュに金庫を取られた事を隠して誤魔化したが、それを気にかけた彼女に徐々に心を開いていく。
こうしてつかさを中心に取り調べを続ける事にしたが、ノエルは先程の取り調べ中にヨシーの持つコレクションの力が発動していた事に気づく。これ以上ヨシーに関わらない方が良いとつかさに忠告するが、「彼が本心で罪を悔いてるなら、司法取引する価値は十分にあると思う」と忠告を聞き入れなかった。
その夜、つかさはヨシーに身分申請の書類が受理された事を伝える。喜ぶヨシーはつかさが用意したカツ丼を彼女と一緒に食べつつ身分を手に入れたら青春を謳歌してみたいと学生生活やつかさと幸せな家庭を築いた妄想を膨らませていた(※この妄想は彼の犯罪技『青春の妄想』らしい。…学生服はともかく、夫役で男装したつかさの違和感が無さ過ぎる)が、ゴーシュによって自身の金庫を取られて腹部に傷を負い、それを使ってとんでもない事を行おうとしている事をつかさに伝えた。
しかし翌朝、つかさはヒルトップからフランス本部からヨシーの移送命令が下された事を聞かされる。すぐさまノエルの仕業だと感づいたつかさは彼の元へと向かうが、その真意を話す事なくその場を去ってしまったので、悔しさを噛み締めつつ任務としてヨシーを移送する事に。
つかさに今までの事を感謝し礼を言うヨシーだったが、その先である怪人からの知らせを聞きつけた、ヨシーを狙うポーダマン達が襲撃。圭一郎はつかさにヨシーの事を任せて咲也と共にパトレンジャーに警察チェンジし、ポーダマン達に応戦する。
つかさはヨシーに安全な場所へ逃げるよう促し、自身も警察チェンジしてポーダマン達の所へと向かおうとするが、
「姉御! このまま別れるなんて、あっしには出来やせん!」
ヨシーはつかさを呼び止め、今まで自分の事を気にかけてくれ、一緒にいてくれたつかさにせめてもの感謝の気持ちとして金庫の中のコレクションを手渡す。
別れを惜しむつかさだったが…
彼の本性
「あれ? おめぇ誰だ? ていうか、俺のお宝返しやがれっ!」
「人間どもがぁ! 皆殺しにしてやるぅぅ!!」
データ
身長/181cm
体重/193kg
犯罪歴/司法取引詐欺
犯罪技/青春の妄想
ルパンコレクション/「ひっくり返す~À l’envers~」
顔の扉が開いて鳥の頭が飛び出すと鋭い牙を生やした恐ろしい形相をつかさに見せつけ豹変、口調も粗暴な物に変わってしまう。
更に手渡したコレクションをつかさが奪ったと思い込んで襲いかかり、彼女の首を強く絞めあげようとするがノエルがそれを妨害し、つかさは危機を脱する。しかし、つかさはさっきまでとは全く違うヨシーの姿を見て衝撃を受ける。
彼の本当の姿はカッコウに似たギャングラー怪人であり、今までのギャングラーと負けず劣らずの極悪非道な本性を持っていた。
善良な性格だったのは腹部の右側の金庫に入っていた善と悪の心を入れ替える力を持つプレートのルパンコレクション「ひっくり返す~À l’envers~」の能力が発現した為であり、悪人であればあるほど善人に見えてしまう。
なお元の性格に戻った時に善人であった頃の事を覚えておらず状況を把握できていなかったので、彼自身はコレクションの力を知らなかった模様(前述の実験の際におとなしくさせる為、ゴーシュが仕込んだ物である可能性がある)。
犯罪歴の司法取引詐欺自体は彼の意思ではなくコレクションの力で結果的にそうなっただけである為、元々は何の犯罪を得意としていたのかは不明である。
コレクションの力を抜きにしてもステイタス・ダブルとして相応の実力を持つと思われるが、劇中の状況が状況だけに畳み掛けられる形でパトレンジャーに倒された為不明瞭に終わっている。
ノエルはコレクションの力を考慮した上で、ヨシーの本性をつかさに知られない様わざと遠くの場所へと移送しようとしていたのだ。
真実を聞かされて驚きとショックを隠せないつかさだが、ノエルに「たとえ騙されていたとしても、君の姿は気高く輝いていたよ」と励ましの言葉を受ける。パトレンエックスにエックスチェンジしたノエルは
ヨシーと戦い始め、ポーダマンを片付けたパトレン1号と2号も駆けつける。
つかさはまだショックを受けていたが、心を通わせたとしても、一人の警察官として人々を脅かすギャングラー怪人であるヨシーを倒す事を決意。パトレン3号へ警察チェンジし、それに続いて1号と2号と共に戦いへとなだれ込む。
ヨシーは4人に圧倒(グッドストライカー曰く「すごい気迫」)され、1号、2号、3号は現れたグッドストライカーの力でパトレンU号へと合体。最期はそのままパトレンU号のイチゲキストライクを撃ち込まれて撃破された。
しかし、破損した金庫は現れたゴーシュより巨大金庫化を施されず、デバイスのコレクション「燃えるような恋~Ton amour brulant~」を入れられた上で異形の怪物・実験体の胸部に移植されてしまい、結局はゴーシュの実験に利用される末路を迎える事になってしまった(ちなみにこの際、つかさはこの実験についてのヨシーの発言が事実であった事を知り驚愕している)。
上述通り本来の性格は粗暴であったとはいえ、コレクションの力で一時的に善人となり人間との交流すら見られただけに、ギャングラー怪人でありながら仲間に利用された彼もまた、ギャングラーの被害者と言えるのかもしれない。
次話で実験体が人間大で倒された時にヨシーの金庫2つも含めて巨大金庫化を施されたが、実験体の姿で巨大化しヨシー(と残りの金庫3つの本来の所持者達)の姿にはならなかった。
余談
名前の由来は単純に『善し』『裏』を捩った思われ、『善い怪人に見えるが実際は性格が裏返っただけ』と言う意味合いも込めたネーミングだとも考えられる。
また、この話の脚本を担当した大和屋暁氏の師匠である脚本家・浦沢義雄から来ている可能性もあり、特に妄想のイメージシーンがかつて過去作で浦沢が担当した回の怪人のものを彷彿とさせる。
カッコウがモチーフの特撮怪人はヨシーが初めて。恐らくモチーフになったのは絶滅した(体色が青い)マダガスカルジカッコウだと思われる。
肩当ての卵の色が1つだけ違うのはカッコウの托卵の習性を、顔はもともとカッコウが鳩時計に使われていた事を取り入れている。
ギャングラー共通の骨の意匠は肩にある卵。
ルパンコレクションのモチーフは『特捜戦隊デカレンジャー』のSPライセンス。パトレンジャーの大先輩である警察モチーフ戦隊のアイテムだが、それがこうしたビターな結末を迎えるエピソードの小道具に使われたのは切ない(※デカレンジャーの方も類似した話がある)。
名前の由来はジャック・ジョンソンの楽曲『Upside down』を和訳した物と思われる。
次回予告や東映公式HPの写真では横や後ろ姿の写真を多用したり顔から下は映さない形で、彼が「ステイタス・ダブル」や本来の凶悪な顔つきである事等のネタバレ防止を施されている。
今エピソードでは戦隊シリーズとしては恒例と言っても良い、戦隊メンバーと敵怪人との交流が描かれる形となった。
スーツは同じく鳥類モチーフのギーウィ・ニューズィーの改造。ピッチ・コックから継承されていた巨大な左腕が無くなり、肩のパーツが小型化するなど全体的にすっきりとしたフォルムに改造されている。
後に#43に登場するトカゲイル・ナクシャークに改造された。
設定画では羽の生えた鳩時計の形をしたアックスが描かれているが、劇中では未使用。
声を担当した松野氏は東映特撮の常連であり、ヨシーと似た面を持つキャラをこれまでにも複数演じている。
- シュリケンジャー:容姿と共に言動が一変する。専用マシンは鳥モチーフ。
- キグナス・ゾディアーツ:気弱で優しい人格と凶暴な人格を持つ。モチーフも同じ鳥類。
- デーボ・バティシエ:当初は無害だったが、後に凶暴化した戦隊怪人。こちらは外部からの悪影響によるもの。
- 画材眼魔:ヒーローサイドと交流を持ったライダー怪人。こちらは最後まで生存。
関連タグ
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー ギャングラー ギャングラー怪人
デビルバッター ワタリドリボーマ/オヤクシャボーマ OOバットン クリスマスオルグ/クルシメマスオルグ:同じく組織を追われたor抜けた裏切り者としてヒーロー側に保護され、メンバーの1人と交流したが全く改心してもいなければ組織を抜けた訳でも無かった繋がり。ワタリドリボ―マ/オヤクシャボーマは鳥モチーフである点も共通。
デギウス:所属する組織の思惑によって捨て駒同然の扱いを受けた繋がり。但し、こちらは(不本意だが)巨大化させて貰っていた。
フェニックス(ファントム):同じく人間と交流して改心したと思いきや全くそんな事は無かった怪人繋がり。交流相手も同じく女性の刑事だった点も共通。