概要
宇宙警察捜査官の一般的な装備(一部例外もアリ)である警察手帳兼身分証。3つの基本モードを含めた多彩な機能を実装し、事件の捜査や犯人へのジャッジの際に用いられる、デカレンジャーにはなくてはならないアイテムである。
前述した位置付けから、配属先の惑星や組織・部署などによってカラーリングにも様々なバリエーションが存在するのも特徴の一つであり、キーアイテムの差異によるものなどを除けば、スーパー戦隊シリーズでもトップクラスにバリエーションの多い変身アイテムである。
デカスーツ装着時には、腰後ろのベルト留めに設けられたホルスターに、スワットモード使用時には胸部アーマー(スワットベスト)の右胸のスロットに、それぞれセットされる。
事件の捜査中にSPライセンスが破損した場合は、再発行として新たな物が支給される。実際に作中でも、センちゃんの所持していたライセンスが「再発行」されている(第41話)。
機能
チェンジモード
「エマージェンシー!デカレンジャー!」(※)のコールに合わせ、特定のポーズを取りつつカバーを開くことにより、デカベースから形状記憶宇宙金属「デカメタル」が微粒子状に分解・転送され、持ち主の身体の表面で定着、全身を包む「デカスーツ」として変身を完了する。変身完了の際にはヘルメットの形成に合わせて「フェイスオン」とコールする。デカスーツは、持ち主の身体に合わせて採寸されて作られたものであるため、他の者が装着することは不可能。
デカスーツだけでなく、物語後半より実装されたスワットモードへの多段変身にも使用され、その際には「スワットモード・オン!」のコールにより、各種強化装備が増設される。変身前の状態から直接変身することも可能で、その際は「エマージェンシー!スワットモード・オン!」とコールする。
チェンジモードは変身に用いられるモードであると同時に、一般的な警察手帳と同様の身分証としての機能も備えており、カバーを開いた際には本体側に宇宙警察のエンブレムが、カバー側に持ち主のパーソナルデータがそれぞれ表示される。
(※ コールに関しては「エマージェンシー!」と省略される場合や、そもそも何も言わずにカバーを開くことで変身する場合も多い。例として、第46話でのウメコは「エマージェンシー…」と言っただけでスワットモードに直接変身した。)
フォンモード
デカベース、およびライセンス同士での通信をするモード。変身前、後を問わず使用可能。フォン(PHONE)と称されているものの、携帯電話のように耳に当てる訳ではなく、トランシーバーのように口に当てて通話を行う。また通信のみに留まらず、データ検索や分析、それに内蔵された小型カメラによる撮影機能も搭載。TVシリーズ終了後に制作されたVシネマ『スペース・スクワッド』では、汚れたものを綺麗にする機能も新たに実装されている。
これらの機能はタッチパネル式での操作となっており、本体側に各種アプリケーションが、カバー側に入力キーがそれぞれ表示される。
ジャッジモード
宇宙最高裁判所に対し、被疑者の起訴と即決を求める際に使用。こちらも変身前後を通して使用可能。歩行者用信号機をモチーフとしている。
ジャッジメントに要する時間は10秒間(※1)で、その間本体側の赤い「×」マークと、カバー側の青い「○」マークが交互に点滅、判決が下された場合にはそのいずれかが発光するようになっている。
ジャッジモードは、あくまで危険な凶悪犯と戦闘状態になり、直ちに現場でデリートの判決が必要だと判断された場合に使われるモードであり、もし相手が素直に投降した場合は普通にそのまま逮捕の上、凶悪犯の場合は留置後に改めてデリート判決が下される。
また、デリート不許可の判決が下された場合でも即無罪という訳ではなく、その場で死刑にならないだけでそのまま逮捕・拘留され、宇宙最高裁判所に送られた上で、そこで改めて有罪・無罪や有罪の場合の具体的な刑罰が決められる。
(※ 後年制作されたVシネマ『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』では、この極めて短時間でのジャッジメント(判決)について、地球よりも200万分の1の時間の速さとなっている「ゴワシチョル星系」に宇宙最高裁判所(と、宇宙検察庁)が置かれている都合上、実際には8ヶ月もかけて審理が行われていることが言及されている)
ミラージュディメンション
フォンモードに付随した機能の一つで、ヴァーチャル空間を作り出して相手を閉じ込め、炎や水といった森羅万象などの幻覚により幻惑させることが出来る。
また、特定の人物の姿や声・質感を写し取り、使用者がその人物に変身するといった用途にも用いられることもあり、その精度は変装と早変わりを得意とするウメコですら見破れなかったほど。
作中ではTVシリーズにおいてデカイエローが、『10 YEARS AFTER』ではデカレッドがそれぞれ使用。
変装モード
画面上に表示された服装を選択し決定することで、一瞬のうちにその服装へと早変わりする事ができる。
その他
デカマシンを始めとするビークル類の起動の際、コンソールにセットすることで起動キーとしての役割も果たす。
また追加の機能として、囚人護送の際の逃走防止を目的に、ライセンスからの操作により電撃を施錠に送ることも可能となっている。
バリエーション
SPライセンス
一般的なバージョンで、作中ではデカレンジャーの5人が使用。
本体カラーは白と黒、カバー部の「S.P.D」のロゴと各モードを示す文字は白となっている。
マスターライセンス
ドギー・クルーガーが使用するライセンスで、機能自体は一般的なライセンスに準ずる。
本体カラーは黒で統一されている他、「S.P.D」のロゴも黒地に金の縁取りが施されたものとなっている。
この他、チェンジモードで表示される宇宙警察のエンブレムも、通常のライセンスより装飾が増えたものとなっているのが特徴である。
デカスワン仕様
白鳥スワンが使用するライセンスで、こちらも機能は一般的なライセンスと同様。
本体カラーとカバー前面が白となっている他、「S.P.D」のロゴはオレンジ色となっている。
デカゴールド仕様
マリー・ゴールドが使用するライセンス。
本体カラーとカバー前面は白、「S.P.D」のロゴは赤色となっている。
ファイヤースクワッド仕様
新設の特別チーム「ファイヤースクワッド」隊員に配備されたもので、作中ではTVシリーズ最終回やOVにて、同チームに配属されたバンが使用。
カラーリングは本体色が黒、カバー前面が赤とされ、白色のロゴも「S.P.D」の下に所属チームを表す「F.S」の文字が追加された二段組のものとなっている。その他チェンジモードのエンブレム、フォンモードの画面などにも一部変更点が存在する。
カバーのデザインについてはTVシリーズと後年のVシネマ版で差異があり、前者ではS.P.D F.Sのロゴ以外の要素が廃されているが、後者では文字の下に配されていた線が再度施されている。
SP1ライセンス
プレミアデカレッド専用で変身に使用される。20thファイヤーボール・ブースターに登場。
パワーレンジャー・S.P.D.
通常のSPライセンスは「デルタモーファー」、クルーガーの物は「パトロールモーファー」、キャットの物は「キャットモーファー」として登場する。
変身コードは「SPD・エマージェンシー!」で、原作と違い上部のボタンを押してライセンスを展開して変身判定ではなく、このコードの音声認識で変身を判定しているようで23話ではこのコールのみで自動変身していた。
外見的には原作と全く変わらず、展開時の身分証明の写真のみが入れ替えられている。
ミラージュディメンションや写真といった便利機能は登場していない代わりに、犯罪者を反物質と融合させカード化して捕らえる機能が追加されている。
なお、原作ではスーツはそれぞれの体格に合わせて作られているという設定があったため、他人のSPライセンスを使用することはできなかったが、今作では無くなっているようで劇中でブルーであるスカイがレッドレンジャーのモーファーを使って変身している。
キャットモーファーは1時間の制限が付いた使い切りのモーファーであり、一度変身すれば以降使用することができなくなる。
ジャッジメントモードは裁判を行うのではなく体温と脈拍を測って有罪か無罪かを判定する。
ただしこの判断は別に犯罪者でなくとも行うことが可能で簡易的な判別機能に近い物となっており、その後の判断は所有者に委ねられるため、原作とは違って無罪判定でも逮捕したりと絶対的な物ではなくかなり設定が曖昧である。
玩具
放送当時になりきり玩具として、「変身手帳 SPライセンス」「変身手帳 マスターライセンス」の2種類が発売されている。いずれも主要な3モードを再現できる他、後者にはデカレンジャー5人の音声も追加で収録されている。
また、マリー・ゴールド仕様のSPライセンスも、てれびくん2004年10月号(小学館)誌上でのプレゼント企画の抽選品として製品化された(100名限定)。
パワーレンジャー・S.P.D.では日本版よりも一回り小さいサイズで商品化されている。
デザインが若干アレンジされており、SPDのロゴの下に制服をイメージした星型の刻印が入っている。
なお、劇中で存在するにもかかわらず簡略化の影響かフォンモードの部分が無くなっており、展開すると変身時の上画面+フォンモードの下画面となる。
音声は完全にSPライセンスの流用で劇中と全く異なり、ジャッジメントモードも待機音が省かれ有罪時の音声しか流れないようになっている。
また、パトロールモーファーも劇中では原作と同様にエンブレムに装飾が追加されていたが、金型流用の都合でただのリカラー品となっている。
この他、放送終了後の2017年から2018年にかけて、「戦隊職人」レーベルより前出の2バージョン、更に「ファイヤースクワッドver.」が新規造形で発売された。いずれもキャストによるボイスの増加や作中の主要なBGMの収録など、音声周りがより強化されている他、チェンジモードの身分証部分がシールからプラパネル差し替え式に変更、ジャッジメントモードでもパネルの発光が追加されるなど、ギミック面でもさらなる充実が図られた仕様となっている。
そして2023年、初期メンバー用のSPライセンスがMEMORIAL EDITIONとしてバージョンアップ。前述の仕様から更にアップデートがなされており、特にジャッジモードには判決を任意決定できるモードが搭載されている。更に、20周年記念のVシネクスト「ファイヤーボール・ブースター」のBD・DVD初回生産限定版にはSP1ライセンスが付属。
関連タグ
機動刑事ジバン - メタルヒーローシリーズの一作。同作でも変身アイテムではないものの、通信や身分証明の機能を持つ「電子ポリス手帳」が登場しており、SPライセンスは「21世紀の電子ポリス手帳」というコンセプトでデザインされたことが関連書籍にて言及されている