E7系・W7系
いーせぶんけいだぶりゅーせぶんけい
概要
北陸新幹線の長野駅〜金沢駅間開業に伴う車両増備にあたり、東京駅〜上越妙高駅間を管轄する東日本旅客鉄道と上越妙高駅〜金沢駅間を管轄する西日本旅客鉄道が共同開発した新幹線車両。初代北陸新幹線(長野新幹線)車両のE2系がベースとなっており、車両デザインはE6系の車両デザインを監修した奥山清行氏が監修している(そのためか、ライトの位置や塗装デザイン(色は正反対だが)がE6系と似ている)。東日本保有分がE7系、西日本保有分がW7系を名乗る。北陸新幹線は電源周波数が50Hz、60Hzの区間を跨ぐが、車内電源は60Hzに統一されている。
W7系については、昼行列車としては「JR西日本所属車が営業運転でJR東日本の線路を経由して東京駅まで乗り入れる」JR史上初の車両でもある。(夜行列車も含めればサンライズ瀬戸・出雲用の285系0番台の前例がある。ただしこちらはJR東海の路線を介しての東京駅乗り入れとなっている)
1編成12両で、MT比は10M2Tとなっている。定員は934名→924名※。設計最高速度は275km/h、営業最高速度は260km/h。JR東日本で活躍するE5系で好評だったグランクラスが設置されている。2013年秋にE7系第1編成、2014年春にW7系第1編成が落成、金沢延伸開業前にはE7系17編成とW7系10編成の合計27編成体制になったが、その後も追加増備を行っている。
※荷物置場の設置により、乗車定員を変更。
E7系とW7系、どう見分けるか?
両者は以下の4点を除き全く同一仕様となっている。
エンブレム付近
「JR EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」(画像右)または
「JR WEST JAPAN RAILWAY COMPANY」(画像左)という表記があり、「EAST」がE7系、「WEST」がW7系である。
編成番号
乗務員室(運転席付近)に編成番号が振られているのが確認できる。「F1」〜のF編成がE7系、「W1」〜のW編成がW7系である。
車両の番号
車外・車内からも確認でき、かつ一番確実な方法。新幹線の車両番号は基本的に「XXX-XXX」と数字のみ表記されており、そこに「E」「W」「H」が先頭につけられることがある。E7系・W7系の場合は「E7XX-XXX」がE7系、「W7XX-XXX」がW7系である。
車体
『和』をイメージした外観とカラーリングとなっている。
車体色は、北陸の空をイメージした「空色」、日本の伝統工芸をイメージした「銅色(カッパー)」、気品や落ち着きを表す「アイボリーホワイト」の3色が使用されている。
先頭車の車体形状は「ワンモーションライン」という、新幹線車両のシンプルな形状でありながら、高速走行と騒音抑制を両立している。
車内
グランクラス
12号車。金沢・新潟寄りの先頭車で、定員18名のグランクラス(航空機で言うファーストクラス)となる。
デッキパネルは日本の春夏秋冬(グリーン車寄りは春・夏・秋、運転席寄りは冬)をモチーフとしており、座席は本革張り、各座席のコントロールパネル操作による最大45度のリクライニングが可能で、コントロールパネルでアテンダントの呼び出しも可能。収納式テーブルやシューズトレイ、読書灯などの装備が充実。
さらに、座席には「フルアクティブサスペンション」(動揺防止制御装置)を採用しているため、走行時の揺れが少なく、より快適な旅を愉しむ事ができる。
専任アテンダントによる軽食やアメニティサービスもE5系「はやぶさ」同様に行われるが、一部列車(はくたかの一部、およびつるぎ全列車)はアテンダントサービスのない座席のみの営業、もしくは非営業となる。
グリーン車
11号車。青を基調とした2×2の座席となる。
アームレスト下にあるボタンでリクライニングが可能、背面と座面が連動して動く。
グランクラス同様、各座席に読書灯がついており、点灯・消灯もボタンで行える。コンセントも完備。
普通車
1号車〜10号車。2×3の配置となる(一部車両は車両端が2×2となる)。
座席は赤を基調として格子柄をあしらった、色彩豊かな空間となる。
なお、新幹線の普通車で初めて全席にコンセントが設置されている。
車内設備
照明はすべてLEDを使用しており、省エネルギーに貢献。
トイレは車椅子に対応した、広い多目的トイレが設置されるなど、バリアフリーを追求。使いやすさを向上させている。
各車両の情報案内装置、デッキ、通路に防犯カメラ、各車両及びトイレに非常通報装置が設置され、セキュリティを強化している。3号車と7号車には公衆電話も設置。
投入路線
東北新幹線の運用
2016年11月には仙台〜金沢を直通する列車が団体臨時列車として運転された。
使用されたのはE7系で、列車は大宮駅でスイッチバックの上、乗り換えなしで運転した。
ちなみに、この時がE7系の東北新幹線(大宮以北)における初の運行例となった。
JR東日本では、今後も需要によっては同様の形で運行するとしている。
上越新幹線への投入
2017年4月4日のJR東日本定例記者会見で、2018年度よりE7系を11編成を製造、上越新幹線(東京-新潟間)に導入し、E4系を2020年度までに置き換え、同新幹線はE7系とE2系に統一すると発表した。
車体や塗装、性能などは北陸新幹線のE7系全く同じ仕様。
2019年2月7日に、デビューから1年間限定でE7系2編成に、朱鷺色の帯と朱鷺の羽と稲穂をイメージしたシンボルマークを貼り付けると発表。当時新車だったF21・F22編成にラッピングされた。また、3月には新潟駅などで展示会も実施。
2019年3月16日のダイヤ改正より運用開始。とき4往復、たにがわ1往復で運転。上越新幹線もグランクラスを導入した。朱鷺ラッピングの2編成は上越新幹線専属運用車となる。(他の編成は北陸新幹線と共用)
2019年5月8日、上越新幹線の大宮ー新潟間の最高速度を240km/hから275km/hに引き上げる計画を発表。所要時間を最大7分短縮し、上越新幹線の車両を全車E7系に統一する計画も発表された。
2019年10月、令和元年台風第19号被害が発生(後述)。北陸新幹線のE7系・W7系が不足したため、上越新幹線向けに製造したE7系を北陸新幹線へ充てる処置が取られ、配備計画に変更が発生した。
被災車両は、廃車の解体設備がある仙台や新潟への移動が困難なこと、トレーラーなどによる搬出も難しいことから、長野新幹線車両センターの屋内にて解体作業が行われた。
廃車日は編成によって異なるが、2020年3月31日までに全ての被災編成の除籍が完了し、2021年1月に全車両の解体が終了した。
また、これらの影響で当初2020年度に廃車予定だったE4系を当面の間、延命させることも決定している(2021年秋に引退予定)。
P17・P52の2編成が延命措置が取られ、復活全検出場式も行われた。
2020年9月16日、JR東日本の「2020年度 設備投資計画」にて、被災したE7系8編成(96両)を2022年度末までに新造し、復旧させる計画を発表した。
同年10月16日には、JR西日本も被災したW7系2編成(24両)を2021年度に代替新造し投入すると発表した。
これらの車両は、新しいバリアフリー基準を満たすために、7号車と11号車に「車椅子スペース」が増設される予定。
2021年3月13日のダイヤ改正で、上越新幹線のE7系運用を増便。とき8往復、たにがわ3往復で運転。これによりE4系による16両編成運転は越後湯沢以南のみとなった。また、朱鷺ラッピングだった2編成も、このタイミングで剥がされ、全車共通運行されるようになった。
引き続き増備を行い、2021年秋までにE4系を置き換える予定。
上越新幹線高速化試験の一環として、2017年前半頃から11月頃までE7系F13編成にパンタグラフカバーが取り付けられていた。
車両基地の配属
※2021年1月1日現在
E7系
- F3〜F6、F9、F11〜F13、F15、F17、F19、※F23~F27編成(16編成):長野新幹線車両センター所属
- F20〜22編成(3編成):新潟新幹線車両センター所属
※2021年1月1日付でF23~F27編成(5編成)を新潟新幹線車両センターから長野新幹線車両センターへ転属。
W7系
- W1、W3〜W6、W8〜W11編成(9編成):白山総合車両所所属
災害による廃車と代替新造
2019年10月に発生した令和元年台風第19号では、長野新幹線車両センターの近くを流れていた千曲川が決壊し、長野新幹線車両センターが冠水。この影響でE7系8編成、W7系2編成の合わせて10編成(120両)が冠水してしまった。
被災編成は、F1、F2、F7、F8、F10、F14、F16、F18、W2、W7。
当該車両の点検の結果、
- 電気系統のダメージがある
- 「碓氷峠」といった路線の特性上、車体の輸送が難しい
- そもそもダブルスキン構造のアルミ車体であったため、泥水が車体のスキマに侵入し車体に傷がつき腐食の恐れがある
以上の見解から、2019年11月6日に当該車両を廃車させる計画を発表した。
- JR東日本は被災車両と同数のE7系8編成を今後メーカーに追加発注する。さしあたっては減便や上越新幹線に投入予定であった編成を北陸新幹線に転用する事で年度末までのダイヤ完全復旧を目指す考えを示している。(→復旧済み)
- JR西日本も被災車両と同数のW7系2編成をメーカーへ発注する。
被災車両は、廃車の解体設備がある仙台や新潟への移動が困難なこと、トレーラーなどによる搬出も難しいことから、長野新幹線車両センターの屋内にて解体作業が行われた。
廃車日は編成によって異なる(鉄道ファン7月号より)が、2020年3月31日までに全ての被災編成の除籍が完了した。
また、これらの影響で、当初2020年度に廃車予定だったE4系を当面の間、延命させることも決定している。
現在、P17、P52の2編成が延命措置が取られ、復活全検出場式も行われた。
2020年9月16日、JR東日本の「2020年度 設備投資計画」にて、被災したE7系8編成(96両)を2022年度末までに新造し、復旧させる計画を発表した。
同年10月16日には、JR西日本も被災したW7系2編成(24両)を2021年度に代替新造し投入すると発表した。
一部のE7系の7号車・11号車に「車椅子スペース」を設置する計画を発表。
その他
新幹線変形ロボ_シンカリオンにて、E7系F1編成をモデルにしたロボット「E7かがやき」が登場している。
碓氷峠を越える装備からの連想でパワータイプという設定。
運転士(パイロット)は大門山ツラヌキ。