概要
現代では女子学生の制服として知られているが、女性の洒落着(マリンルック)として着られることもある。元々は19世紀末頃から採用された船乗り・水兵(Sailor)用の制服であり、実際に日本に入ってきたのも海軍経由である。
現在でも世界各国の水兵服装として洋の東西を問わず着用され続けている。海上自衛隊の自衛官候補生制服もセーラー服であり、「本職の提督候補生が、艦これアーケードをプレイしに来た」ことで一時期話題になった。
世界的にもセーラー服とスカートは日本を代表する制服と見られることが多いが、日本統治の時代がある韓国や台湾では現在もセーラー服の学校も一部にある。中国では従来のジャージタイプの制服の悪評を受けてブレザータイプに変更した学校が多いが、一部でセーラー服を採用した学校もある。
歴史
戦前
戦前の女子の洋服の制服としては明治時代からごく一部でドレスを採用した学校もあったが不評で、大半の女学校では振袖に袴着用であった。
日本に初めて学校制服としてセーラー服を採用したのは諸説あるが、1920年(大正9年)の京都の平安女学院と言われるが、これはワンピースタイプで一般的なスタイルとは異なる(現在の同校の制服はブレザーに変わっている)。のちに一般化したツーピースタイプを最初に採用したのは、翌大正10年の福岡女学院であった(現在でも同校は当時と同じスタイルの制服を採用しつづけている)。当時としてはとてもモダンなセーラー服は好評をもって迎えられ、瞬く間に普及した。セーラー服が採用された理由としては、男子学生の学ランが陸軍の軍服を元にしたものであったのに対応して「では女子は海軍の軍服にしよう」という発想があったようだ。昭和初期にはセーラー服は女学生を象徴するものとしてすっかり定着するが、当時は洋服の既製品がない時代であり、仕立屋に頼むのは高くつくため、洋裁の心得のある母が娘のためにセーラー服を拵えたり、上級生が洋裁の勉強をかねて下級生のために作ったりする場合もあったという。
戦後
戦後、(新制)中学校が義務教育として発足した際、多くの中学校が(旧制)中学校と女学校にならい制服を詰襟の学ランとセーラー服と定めた。戦前の女学校は進学者が限られており、セーラー服は比較的ゆとりのある階層の子女が着るものだったのだが、これにより一気にセーラー服が大衆化したわけである。昭和20年代にはナイロンやポリエステルのような化繊による既製品のセーラー服が出回り始め、戦前には高額だったセーラー服が、普及価格帯になってきたこともセーラー服普及の追い風となった。
ツッパリ世代
1980年代、校内暴力が社会問題化していた時期に、いわゆるスケバンなどの不良生徒が踝までを覆うほどの長さを持つ改造スカートを履いていた事から、セーラー服のイメージが悪化。着崩すことが難しい制服として、ブレザーとチェックのスカートの組み合わせへと変更する学校が出始めた。チェックのスカートは丈を延ばすとまるで安手のカーテンのようになり格好が悪いため改造する者が激減し、「どうせ行くなら、かわいい制服の学校に」という女子が制服を変えた学校に集まったことで結果的に偏差値が上がり問題の多い生徒が減るなどの効果があったため、1980年代後半から1990年代にかけて特に郊外や地方都市の私立高校を中心に制服をブレザーに変更する学校が続出した。
現代
近年では制服のスタイルが多様化しており、伝統的なセーラー服スタイルの学校は減っている。他のスタイルとの折衷で「夏服のみ洗濯が効きやすい生地のセーラー服にする」「セーラーブラウスのブレザー」「セーラーブレザー」というデザインの学校もある。
2010年代以降になると、学生服にもジェンダーレス化の潮流が現れる。そうした流れの中で、セーラー服からスラックスタイプを選べるブレザー服に移行する学校が現れ、「セーラー服は将来的に消滅するのではないか」という議論さえ聞かれるようになった。こうして、セーラー服は伝統を守る名門校、お嬢様学校のシンボルとしてのイメージが強くなっている。
デザイン
各部は機能的な造りになっており、大きく逆三角形の開いた胸元は海に転落した際に水分を含んで重くなった服を破いて泳ぎやすくする為。胸元に結ばれたスカーフも元々はタオル代わりに汗をぬぐう為の物であった。また、広い襟の部分は本来は襟を立てて遠くの船から発せられる声を聞きやすくする為のものという説がある。(下図参照)
他にも「汚れ(フケ)よけ」説などがあるが、もちろんこれらは「水兵の制服」としてのセーラー服が持っていたとされる機能である。
ちなみに胸元にあるV字の開きが小さいのが関東襟、逆に大きいのが関西襟と呼ばれている(大きいからといってエッチなわけじゃない。隠すために胸当てが付けられている)。
例として、
関東襟はらき☆すた。
関西襟は涼宮ハルヒの憂鬱。
と言えば分かりやすいだろうか?
他にも札幌襟、名古屋襟など亜種が存在する。
上着は軍服のそれを踏襲してはいるものの、スカーフの代わりにネクタイやリボンタイが採用される場合やセーラーカラーのみの場合もある。また、ボトムスはズボンではなくスカートであり、主にプリーツスカートが採用されている。近年ではファッション性を取り入れたデザインのセーラー服も徐々に見受けられるようになった。
冬服・夏服両方がセーラー服の学校と、夏服だけがブラウスの学校があるようである(夏服のブラウスがセーラーカラーである場合も)。
サブカルチャー
現実世界では主流ではなくなったセーラー服だが、サブカル界隈では根強い人気があり、オタク文化系では、フィクションの『学園もの』の影響で学ランとセットで人気の萌え属性の一つとなっている。他に、ゆめかわいい雑貨などで「乙女』の象徴として使われていることもある。
セーラー服はしばしばコスプレの題材になったりと、(特定の層にとって)フェチシズムを刺激するものではあるが、それがかえって批判を呼んでしまうこともある。セーラー服を着たコスプレAVは(少なくとも表向きでは)規制対象になっている。
別名・表記ゆれ
水手服(中国語)
関連タグ
女の子 少女 女子中学生 女子高生 スケ番 オリジナル モノクロ
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