ウルトラシリーズに登場する惑星についてはウルトラの星を参照。
概要
1997年8月9日放送。
脚本には昭和ウルトラマンシリーズで長く関わった上原正三を起用、ウルトラマンティガと初代ウルトラマンの夢の共演、在りし日の円谷プロの様子、EDが『ウルトラマン』のダイジェスト映像とファンサービス満載の一作。
平成ウルトラマン初の昭和ウルトラマン客演回であり、後の『メビウス』『Z』の先駆けともとれるだろう。
ストーリーの内容は実際の円谷プロと空想の物語であるウルトラマンティガの世界が入り混じり、『ウルトラマン』誕生の秘密を語ったメタフィクションとなっている。
登場怪獣
第49話予告
時空を超え、怪獣ヤナカーギーを探す謎の男チャリジャ。
彼は円谷英二を訪ねて1965年へ旅立つ。
次回ウルトラマンティガ「ウルトラの星」お楽しみに
あらすじ
山高帽をかぶった謎の男が海に向かって呟いていた。
「ヤナカーギー、お前はどこへ行っちまったんだよ…」
男の正体は「怪獣バイヤー」を名乗る異星人チャリジャだった。彼は子供が遊んでいた怪獣の玩具を譲ってほしいと頼む。子供たちに「円谷プロに行けば貰えるかもしれない」と言われたチャリジャは円谷プロ本社に現れ、怪獣を買いたいので円谷英二に会いたいと受付に告げるが、円谷英二はすでに故人だった。
そのころ特捜車両シャーロックに乗ってパトロールをしていたマドカ・ダイゴは、バックミラーに映った男の姿が宇宙人であることを突き止め、後をつけていた。
「1965年の円谷プロに行けばいい」と言われたチャリジャは、謎の機械を使って何処かへ消えてしまった。ダイゴは仕方なく本部に戻り報告する。
円谷英二とは誰なのかと尋ねるヤズミ隊員に、サワイ総監は特撮の神様と呼ばれるその男についてひたすら懐かしがりながら語る。
「円谷英二を知らないのか!?ゴジラ、モスラ…夢中になったもんだ…」
時代は1965年。
この時代にタイムスリップしたチャリジャは、ここでも怪獣を買いたいから円谷英二に会わせろとスタッフの一人熊ちゃん(プロデューサーの熊谷健氏が元ネタか?)に迫る。困り果てた熊ちゃんは脚本家金城哲夫に助けを求める。だが金城は悩んでいた。今度円谷プロが始めようとしている『ウルトラQ』に続く怪獣もの特撮の脚本を任されたのだが、中々いい案が出てこないのだ。その隙にチャリジャは円谷プロの中を探し回る。
一方チャリジャが消えた場所の調査をしていたダイゴは、謎の空間に吸い込まれチャリジャと同じく1965年にタイムスリップしてしまう。
円谷プロ内を探索し始めたダイゴは偶然撮影スタジオに入ってしまい、スタッフから助監督の「長野」と間違われ、カチンコを持たされてしまった(ちなみに、この「長野」というのはダイゴを演じている長野博が元ネタであるのは言うまでもないだろう)。
ダイゴ「長野って誰だよ…」
撮影が始まり、監督の円谷一がOKを出したがそれに待ったをかけた者がいた。誰であろう円谷英二である。
再び撮影が始まり、今度こそ英二からOKが出た。撮影が終了し、休息をとっていたダイゴは何と壁からチャリジャの顔が突き出ているのを発見。別のスタジオまでチャリジャを追いかけ目的を問うが、チャリジャは持っていた傘でダイゴを攻撃する。壮絶な撃ち合いの末、チャリジャは何処かへ消えていった。
そのころ金城は円谷一から完成したばかりの脚本を突き返されてしまい、またしても悩んでしまった。
そんな彼の様子を見た円谷英二は金城を自宅に招き、謎の赤い石を見せる。
それは、昔、英二が竜ヶ森湖周辺を散歩していた時、M78星雲からやってきた異星人「ウルトラマン」を目撃し、彼から友好の証しとして貰った「ウルトラの星」と呼ばれるものだった。
そしてウルトラマンは竜ヶ森湖に宇宙怪獣を封じ込めていたという事を語った。
だがこの話はチャリジャに盗み聞きされていた…
早速チャリジャは竜ヶ森に向かい、湖の底に封じ込められていた怪獣ヤナカーギーを復活させてしまう。
街を攻撃するヤナカーギーに気付いたダイゴはティガに変身。しかしヤナカーギーのパワーと光線吸収能力を前に徐々に追いつめられていく。もはやこれまでか…
その時、戦いを見ていた英二の思いがウルトラの星に届き、奇跡が起こった!
チャリジャ「ウ、ウルトラマン!? 懐かしいーーーーー!!」
そこに現れたのは、かつて英二が竜ヶ森で見た宇宙人「ウルトラマン」だった。
ウルトラマンはティガにエネルギーを託し共闘。スペシウム光線とゼペリオン光線の同時攻撃でヤナカーギーを倒したのだった。
チャリジャはウルトラマンにリベンジを誓い去っていった。
ティガとウルトラマンは固い握手を交わし、ウルトラマンは再び空の彼方へと飛び去って行った。
全てを目撃した英二は、金城に告げる。
「ヒーローが必要なんだよ、金城君。ヒーローが必要なんだ。ヒーローが…」
その言葉を聞いた金城は彼の言葉に答えるべく脚本を書きはじめる。
監修:円谷英二 脚本:金城哲夫 監督:円谷一。こうして番組が始まった。その番組の名は…
『ウルトラマン』
ナレーター「ウルトラの星はみんなに大きな勇気と力を与えるため、いつも空の彼方で瞬いている…」
一方、現代へと帰還したダイゴに出動命令が下る。
それがこれから始まる最大最後の戦いの序曲だったとも知らずに……
余談
ヤナカーギーが封印されていた竜ヶ森湖は、『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」でウルトラマンから逃亡したベムラーが身を隠していた湖である。
平成ウルトラマンと昭和ウルトラマンの共演というコンセプトは、後に『ウルトラマンメビウス』や『ウルトラマンギンガ』などへと受け継がれていくことになる。
ウルトラマンティガと初代ウルトラマンは、それぞれシリーズ最初のウルトラ戦士という共通点もあってか、その後も何かと共演・共闘する機会が比較的多い(『大決戦!超ウルトラ8兄弟』、『ギンガ』、『きたぞ!われらのウルトラマン』など。前者では、変身前の姿の共演も実現した)。
知っての通りハヤタ役の黒部進氏の実子は『ティガ』でレナ役を演じる吉本多香美であり、並行世界を舞台とした『8兄弟』ではダイゴがレナと結婚しハヤタの養子になっている。
また、能力的にも相性が良いのか、『きたぞ!われらのウルトラマン』のベータスパークアーマーや、『ウルトラマンオーブ』のスペシウムゼペリオンなど、初代マンとティガの力をミックスさせた戦闘フォームが、後年のシリーズでいくつも登場している。
チャリジャが子供が遊んでいた怪獣の玩具を譲ってほしいと頼んでいたロケ地は、お台場である。
あらすじでも触れられているが、ティガの世界ではゴジラやモスラなどの東宝怪獣映画が公開されている。
この回およびマルチ・スペシウム光線を使用した第41話同様、過去作要素がないと言われがちな『ティガ』のTVシリーズでの数少ない過去作要素の絡んだ展開となっている。