概要
型式番号PMX-003。ティターンズの新たな指導者となったパプテマス・シロッコ大佐が専用機としてジュピトリス内で独自に開発した重モビルスーツ。
名前の由来は「theology(神学)」の略語であり、それが意味する所は「神の意志」である。
従来のMSの面影を感じさせない程、非常に大型で重厚なシルエットが特徴(クワトロ・バジーナ曰く、『ジュピトリスのダルマ』)だが、その外見とは裏腹に、各部に合計50以上装備された姿勢制御用のアポジモーターを大型艦並の出力を誇るジェネレーターにより稼働させている他、簡易サイコミュの一種であるバイオセンサーが搭載されている。これはZガンダム等に搭載されている同名の物とは異なり、シロッコが独自に開発したシステムであり、彼以外には使用できないとする説が存在する。これにより本機は同時期の他MSと比べ圧倒的なまでの反応速度、追従性能を得ている。しかしこの操作系統を持つが故に、圧倒的なニュータイプ能力とバイオセンサーなどのサイコミュ装置を持つ敵にはシステムをハッキングされて機体制御を乗っ取られる危険も孕んでおり、最終決戦ではそれが決定的な敗因となった。
重厚な外見ではあるが過剰な装甲が施されているわけではなく、各部アーマー内に大量のスラスターやプロペラントを積載した結果であり、機動力を重視した設計になっている。
一方で、Ζガンダムやガブスレイのような変形機構やキュベレイのようなサイコミュ兵装は有しておらず、その重厚な外見に反して機体構成は簡素なものとなっている。
本機は宇宙空間での運用に特化している為、脚部を二重関節にするなど独自の実験的機構を採用している。設計上、1Gの重力下における歩行が可能とされるが、実際の運用記録が存在しないため、評価は不明である。
グリプス戦役終盤において、シロッコの専用機として戦線に投入。エゥーゴのΖガンダムや百式、アクシズのキュベレイなどと激戦を繰り広げ、最後はΖガンダムの特攻によって破壊された。
また、シロッコの戦死によって本機の直接的な後継機は開発されていないが、その性能はジェネレーター直結式メガ粒子砲を持たない点を除けば、後の第四世代MSの先駆けといえるものを持つ。
武装
前述の設計思想の通り、基本兵装は大型ビームライフルとビームソードという、オーソドックスな構成となっているが、ソードは片側にバイアスの掛かり反り返った(日本刀の用な)形にすることにより、従来のサーベルと同程度の出力でありながらビーム刃を大型化させており、ライフルも同様に出力を抑えながら火力を上げていたりと、本職がエンジニアなシロッコらしい独自の改良が施されている。
武装面での特徴として、通常のマニピュレーター同様のエネルギーサプライシステムを内蔵し、ビーム兵装が使用可能な「隠し腕」をフロントスカート内に搭載している点が挙げられ、これを駆使する事でトリッキーな格闘戦が可能となっている。
また、劇中では使用されず他のゲーム媒体でも使われたことは無いが、実は設定画には胸部上肩側のスラスターの外側にバルカン砲らしき装備が1門ずつ存在している。
ガンプラでもこのバルカン砲ははっきりと存在し、マスターグレードに至ってはこの部分がしっかりと別パーツで造形されている。
バリエーション
タイタニア
SDガンダム Gジェネレーションシリーズに登場するゲームオリジナル機。型式番号PMX-004。
ジ・Oの発展型として、シロッコがジュピトリス内で独自に開発した機体。
サイコミュとファンネルを搭載しており、これを使ったオールレンジ攻撃が可能。シロッコがどのような経緯でサイコミュとファンネルを入手したかは不明だが、一説にはアクシズとの癒着によって入手した説が挙げられる。
ジ・Oの象徴的装備である隠し腕は両肩に2対、合計四本装備され、主腕と合わせて六本のビームサーベルを同時に使う事もできる。
シロッコの掲げた「女性による世界統治」を象徴する機体として開発が進められていたが、グリプス戦役でシロッコが戦死したため、実機は開発される事は無かった。
機体名称はシェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」に登場する妖精の女王から。
詳細はタイタニアを参照。
オーヴェロン
機動戦士ガンダムヴァルプルギスに登場。型式番号AGX-11。
ジ・Oと似た外部装甲を持つ機体。
外見は(細部のディテールが異なるものの)白いジ・Oそのものだが、バックパックにコア・ポッドをドッキングする事で、本来の姿となる。
主なパイロットはフィオリーナ・フィリー、マシロ・オークス。
機体名称はタイタニア(ティターニア)の夫である妖精の王から取られている。
詳細はオーヴェロンを参照。
立体物
「機動戦士Zガンダム」のラスボス的存在だが、前作のラスボス格であるジオングとは違い、放映当時はバンダイからプラモデルも発売されず当初はマニア向けのガレージキットとして少数生産商品が販売される程度だった(が、その金額は五ケタ代だっためモデラーにとっては痛手の代物だった)。
後にバンダイのプラモデル商品としてGジェネレーションBB戦士シリーズにラインナップされ、隠し腕が自由自在に動くギミックが再現されたキットが商品化された。更に月日が流れHGUCシリーズにラインナップ、劇中同様のギミックが仕込まれているほかビームソードエフェクトパーツが複数付属するZガンダムと並べられる1/144サイズのキットがようやく発売された。
余談
小説版や近藤和久のコミカライズでは内蔵火器として小型メガ粒子砲を機体各所に装備しているが、これは当初テザイナー本人がメガ粒子砲を搭載したホバー移動地上用機体としてデザインしていたことに由来する。
上述のように機体制御にサイコミュ(=バイオセンサー)を活用しているニュータイプ専用機なのだが、ファンネルなどの分かりやすいサイコミュ兵器の類は持っていないためかゲーム作品などではノーマル(オールドタイプ)のパイロットでも扱えるモビルスーツとして描かれることも少なくない。何せ、武装そのものは量産機と大差ないのだから、無茶苦茶スペックの高い量産機みたいな扱いもむべなるかなと言える。
スーパーロボット大戦シリーズでは本来のパイロットであるシロッコが乗ることが大半であるが、一部では何故かオールドタイプである上に原作で本機やシロッコと直接的な関りが殆どなかったはずのジェリド・メサが乗ってくることがある。また非常に稀ではあるが、機体を入手して自軍で運用できる作品もある。そして重要な事なのだが、必殺技的な武装が中々付かず、ボスとしては力不足(どれくらい力不足だったかというと距離を開けられるとνガンダムに完封されてしまうくらい)と見なされたためか、初期の作品ではシロッコはジ・Oを捨てて乗り替えていた。どちらも明らかにジ・Oとは真逆のコンセプトとなっており、これらの作品ではジ・Oはシロッコからも力不足と見なされてしまった事になる……
そんなわけで最近のゲーム作品では必殺技的な武装を付けることで力不足を解消している。よかったね、ジ・O。