THUNDERBIRDS
さんだーばーど
概要
2065年の地球を舞台に、アメリカ空軍から宇宙開発局を経て国際救助隊を組織したジェフ・トレーシーと彼の息子達が、スーパーメカに乗り込んで地球全土を舞台に発生する災害や事故に対応する姿を描いた特撮人形劇。
5号からカウントダウンするようにサンダーバード各機が登場し、「5.4.3.2.1…Thuderbirds a Go!」とナレーションが入るOPが特に有名。
サンダーバードのタイトルで日本では浸透しているが、タイトルのスペルの通り正確には「サンダーバーズ」である。
プロデューサーのジェリー・アンダーソンが、ドイツで発生した落盤事故における災害救助のニュースから発想した企画で、ジェリーの妻シルヴィア・アンダーソンが製作した操り人形に、事前に録音した音声を連動させるシステムを組み込んだ「スーパーマリオネーション」により、5頭身の人形ながらとても活き活きとした動きとリップシンクを見せる。
劇中に登場するメカニックのデザインは非常に洗練されており、国際救助隊のサンダーバードシリーズは勿論のこと、各話に登場する未来重機やガジェットも大変魅力的である。また、これらのガジェットは非常にリアルな汚し塗装が施されており、世界観に説得力を持たせている。当時の模型少年達の心をがっつり掴んだサンダーバードのメカ達のプラモデルは飛ぶように売れ、今は無き今井科学からリリースされたサンダーバードの模型たちはモデラーの間ではことに有名である。現在は今井科学から引き継いだアオシマによってサンダーバードのプラモデルは販売されている。
ちなみにトレーシー兄弟が着用している制服も当時は斬新かつ最先端のファッションデザインだったりする。
本国イギリスでのヒットに続き、子供向け番組ながら1時間枠と言う長さ等の問題でアメリカでの売り込みに失敗する中、日本では大ヒットし、オリジナリティあふれるデザインの救助メカや、その発進シークエンスは、世界中の特撮業界に多大な影響を与え、日本の特撮番組『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、『マイティジャック』も本作の影響を色濃く受けている。
2004年には実写映画化されたが、時代設定は原作の2065年から2020年に変更され、かつてのオリジナル版や映画版を見たことがない世界の大多数の人々のために、国際救助隊の「トレーシー・ボーイズ」の5男アランの成長を描きながら、『サンダーバード』を紹介するストーリーとなった。しかし興行成績は不調に終わり、続編製作には到る事は無かった。
この実写映画版においては、V6が国際救助隊トレーシーファミリーの日本語吹き替えを担当している(字幕版主題歌は「Thunderbirds Are Go!」だが、吹き替え版主題歌は同じくV6が歌う2004年発売シングル「サンダーバード-your_voice-」)。
ちなみにメンバーの一人、長野博は1996年から1997年にかけて『ウルトラマンティガ』の主人公マドカ・ダイゴを演じており、いわば原点への逆上陸を果たす形となった。
そして…
時は流れてリアルタイムから半世紀が流れようとしていた2015年、リメイク版『Thunderbirds Are Go!』が放送される事になり、実物大のサンダーバード4号がテムズ川を航行するというプロモーションを展開している。
日本でもNHK総合において『サンダーバード ARE GO』のタイトルで2015年秋からの放送が決定。それに先行する形で8月15日の第1話、8月16日の第2話の放送を含め、旧作の傑作選も数回に渡って放送され、その後10月から本放送が開始された。加えて旧作全32話も並行してスターチャンネル1で字幕版、スターチャンネル3で吹替版の無料放送が実施された。
ジェフ・トレーシーの不在、新メンバー・ケーヨの存在(正確にはミンミンの再設定・置き換え)、国際救助隊改めインターナショナル・レスキューの存在が一般に認知されている。おばあちゃんのメシマズ化等一部設定が変更されている他、それぞれのメカにも細かなリニューアルが施されている。
『ARE GO』ではメカやキャラクターが3DCGで描かれ、ミニチュアセット上で合成して動かすというスタイルを取っている(シーズン2以降はメカもミニチュアが使用されている部分がある)。また、各種メカにも新解釈が加えられ、オリジナルより短い30分番組となった事でよりスピーディーな展開になっている。
1シーズン26話、全3シーズンの78話が制作され、2020年2月22日に最終話が放送されて完結した。
尚、制作国のイギリス及びニュージーランドではシーズン3までの全話が放送されたが、日本で地上波放送されたのはシーズン1のみで、シーズン2以降はCS放送の海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」でのみ放送されている。
生誕55周年目の奇跡
サンダーバード誕生から55周年目の2021年、なんと原点である特撮人形劇としてのサンダーバードの完全新作が制作されることが決定した。
これは生国イギリスの熱心なファン達がクラウドファンディングで制作資金を調達し、初代サンダーバードにて使われた当時の特撮技術とスーパーマリオネーションを現代に蘇らせて制作した、正にサンダーバードの正統続編と呼べる作品である。ストーリーは当時ラジオドラマとして書き起こされた脚本を元にしており、55年を経て初めて映像化されることとなった。
全3話が制作されたが、日本では特撮監督の樋口真嗣監督が映画として再構成したものが劇場公開されることが決定した。
邦題は生誕55周年を祝し、『サンダーバード55(GOGO)』と名付けられた。
国際救助隊
国際救助隊は国家の壁を越えて人命救助を遂行するためにジェフ・トレーシーが組織した私設団体である。活動資金はジェフの私財とお抱え科学者のブレインズの持つ特許料で賄われており、いかなる国家の干渉も受け付けていない。一方で国際社会からはその存在を認知されており、救助の際には現地の救命組織と協力している。
華々しい発進シーケンス等から意外と忘れられがちだが、国際救助隊は原則秘密組織である。
その為、本部がどこにあるのかも秘匿扱いであり連絡手段も限られている(※)。通常はトレーシー一家が所有するプライベートアイランドに偽装されており、外観は巧妙にカモフラージュされている。機材を修理する際も部品の調達で足が付かぬよう、それぞれ個別の会社に発注をかけることで存在を悟らせないようにするなど、細心の注意が払われている。
ここまで秘密主義を貫いているのは国際救助隊が持つ科学力が世界最先端であることと、保有する数々のメカが優秀であるがゆえに、軍事転用される事を恐れている為である。実際、悪人フッドからたびたび付け狙われている。
国際救助隊は組織としては小さいため、一般的な救助活動で解決する事故等には基本対応せず、困難かつ高度な技術が必要な場合のみ出動する。また、何度も同じ事故を起こす不可解な事件には救助の枠を越えて調査に乗り出した事もある。
リメイク版の『ARE GO』においてはトレーシー・アイランドの位置こそ秘匿されているが、組織自体は上述通り一般にも認知されている。
※…無線通信の場合は宇宙ステーションである5号があらゆる無線通信を傍受(盗聴)する形で行っている他、手紙のやり取りでは絶対にトレーシー島ではなく、要請先にある郵便システムからの投函で秘匿していたりと徹底的に秘密保持がされている。
登場人物
トレーシー兄弟の父で、国際救助隊の総司令。
アメリカ空軍を経て宇宙局事業団に在籍し、その後、ブレインズの特許等で巨万の富を得て国際救助隊を組織した。
『サンダーバード ARE Go』ではフッドの謀略によって事故にあい、行方不明になっている。
ジェフ・トレーシーの長男で、サンダーバード1号のパイロット。
アメリカ空軍を経て国際救助隊員となり、サンダーバード1号で現地の指揮を執る。
彼以下5兄弟の名はアメリカで初めて宇宙飛行士に選ばれた7人の男「マーキュリー7」にちなむ。
ジェフ・トレーシーの二男で、普段は宇宙ステーションであるサンダーバード5号で一人暮らしをしている。
ジェフ・トレーシーの三男で、輸送機サンダーバード2号や各種救命機器の操作を担当する。
ジェフ・トレーシーの四男で、水中作業用のサンダーバード4号を担当。ジェリー・アンダーソンが手掛けた『海底大戦争スティングレイ』に登場する組織WASPに所属経験がある。
ジェフ・トレーシーの五男で、サンダーバード3号のパイロット及びサンダーバード5号の交代要員。ブレインズの助手のミンミンと恋仲。
- ブレインズ(ホラチオ・ハッケンバッカー)
国際救助隊のメカ及び、設立に関わる利益を得た特許を生み出した天才科学者。
- ペネロープ=クレイトン・ワード
イギリス貴族の子女にして、国際救助隊に協力している諜報員。国際救助隊の裏方担当であり、情報戦で活躍している。
ペネロープに逮捕された後に使用人となった金庫破りで、主にペネロープの車FAB1の運転手を務める。
本作のヴィランズ。世界的な武器商人であり、国際救助隊の保有する科学技術を付け狙っている。怪しげな秘術を使いこなす怪人であり、目的のためなら手段を問わない典型的な悪党である。一方でどこかコミカルなところがあり、物語のオチを担当することもしばしば。
メカ
サンダーバード1号
災害や救助現場で指揮をとる為に、真っ先に現場に向かう原子力ロケット。ロケットだが、単独着陸可能で現実のロケットよりはスペースシャトルのような着陸もできる。
トレーシー兄弟の長男スコットが操縦する。
モグラー
ドリルで地底を掘り進む救助メカ。日本では「ジェットモグラ」の名で知られているが、これは玩具化の際につけられた名前に過ぎず、本編では機体に「MOLE」としか書かれておらずさらに「モグラー」としか呼ばれない。
第一次ガンプラブーム時にコミックボンボンに連載された漫画『プラモ狂四郎』にも登場し、モーターライズパワーと作中のギミックを再現したプラモの出来により大活躍した。
4号同様に2号のコンテナに格納可能。
その他のメカ
サンダーバードS号(Thunderbard Shadow)
『Thunderbirds Are Go!』に登場する新機体で、機体名の「S」はShadowの意。
こちらも新シリーズから登場する女性メンバーのケーヨが操縦する事、ステルス偵察機である事以外の詳細は謎に包まれている。本来は6号にあたるのかもしれないが、特殊任務機で通常はシャドウと呼ばれる。
デザインは超時空要塞マクロスや創聖のアクエリオンで知られる河森正治氏が担当。バルキリーと違って変形こそしないが、『キスダム KISS DUM -ENGAGE planet-』に登場するNES-1ヴァイパーのようにコックピット部が分離して小型バイクとなる。
サンダーバード6号
劇場版「サンダーバード6号(Thunderbard 6)」に登場するサンダーバード。実は他のサンダーバードと違ってハイテクの塊のメカではなく、公開当時でも時代遅れだった複葉機の「DH82A タイガー・モス」である。ちなみに撮影では実機を使っていた。
パロディ
サンバーダード・・・とんねるずのみなさんのおかげですの番組内で放送されたコント。オチは自爆するか、被害を拡大して逃げるかのどちらかで本家と違いろくな救助活動はしていない。
ヨンダーバード・・・とんねるずのみなさんのおかげでしたの番組内で行われたコーナー。各種ランキングの1位から4位の順位を当てるゲーム。
バージル(トレーナー)/チーム・イーブイ・・・アニメ版ポケモンBW2(ベストウィッシュシーズン2)に登場したバージル・トレーシーのオマージュキャラクター。ただし容姿は全く似ていない。