概要
SF人形劇「サンダーバード」に登場する宇宙ステーション。1ヶ月おきに次男のジョン・トレーシーと末っ子のアラン・トレーシーが担当しているが、ストーリーの構成ゆえ実質上ジョンの担当となっている。
ただし、第7話『原子力機ファイヤーフラッシュ号の危機』ではアランがファイヤーフラッシュ号に乗り組んだスコット、本部基地と連絡を取るため、5号に駐留する姿が描かれている。
円盤部の直径は約90mと意外に大きく、サンダーバード3号専用ドッキングベイを含めると120m以上もある大きなものとなっている。
ステーション外部は電子偽装装置により他の人工衛星や宇宙船、レーダーから観測が出来ないようになっており、ここでも国際救助隊の秘密を保持する工夫がなされている。
ステーション内は各種アンテナから傍受した無線の中から国際救助隊への救助要請をコンピューターが捉え、ジョン(またはアラン)への救助要請受信通知と救助要請の録音を同時に開始する様になっている。ステーション内での任務は月単位に亘る(ジョン3ヶ月、アラン1ヶ月)ため、内部は人工重力装置により地上と同じ重力が働いており非番や休息、生活のための設備も整っていてほぼ地上と同じ環境で長期宇宙滞在が可能となっている。
5号休業日
オリジナル版の第32話『宇宙放送局の危機』(原題:RICOCHET)では5号の救助要請を司っているコンピューターの故障による修理の為、3時間ほど救助要請の傍受・国際救助隊マシン間の通信ができない状態になっていた。修理そのものはモジュール交換の形をとっており、修理にかかる時間はできる限り短くできるようになっていたのだが、よりによってその間に宇宙放送局KLAからの救助要請が(お察しください)
『サンダーバード ARE GO』では
劇中で登場した機体の中では一見すると一番オリジナル版からかけ離れたデザインになっているように見える。しかし上のイラストにもある通り、シルエット自体はオリジナル版を90度横倒ししたようなものでそれほど違和感はない。(ただしコンセプトアートの段階では重力生成環の環上を貫く形で軌道エレベーターや司令室(コマンド・モジュール)が配置されているという案もあった。)
オリジナル版と比べて描写される部屋の数が増えており、しかもその殆どの部屋が無重力状態である。今作では重力が働くのが床面がガラス張りになった遠心重力式重力生成環内に限定され(但し重力の強さはリングの回転速度で調節可能なため、無重力に近い状態にしている時もある)、それ以外の司令室や貨物室のエリアは無重力状態になっている。この辺りは基本的にテクノロジーレベルが向上しより人体に優しい改善が施されてる『Are Go』版の各種メカニックの中で唯一旧作より劣る描写になっている点である。
司令室は機体中央部で球状になっている区画で、全天周囲モニターの様なホロスクリーンが設置されている。地球上での救助活動においてはここに世界地図が表示され、航空機の信号や生命信号をキャッチできるが、それ以外にも現場の状況を立体映像で映し出して現場への指示が可能になっただけでなく、システムへの介入も可能。
この様に、単に救助要請を伝えるだけでなく、常に災害や救助活動の状況をモニターし適切な指示を出すという、AWACS的な役割も担っている。
今作でも3号とのドッキング機能は残っているが、オリジナル版同様3号がロケット先端を専用のドッキングベイに差し込むのに加えて、5号の重力生成環上に配置された専用の窪みにロボットアームを展開して差し込むというやり方になっている。
以下、主要設備についての解説。
・ホログローブ
重力生成環内の天井に設置されたプロジェクターから投影される、立体映像式の地球儀。地球各地から発せられたSOSを表示する。タッチすることで、地球儀を動かすことが可能。
なお、プロジェクターは場合によっては救助現場の立体映像を映し出す時もある。
・多目的コンピューター
前述のホログローブの映し出される区画に設置されている円柱状のコンピューター。トレーシー・アイランドとのやり取りや遭難者、事故関係者との情報共有のために使われる立体映像式のテレビ電話のみならず、テレビとしての機能、手を内部に突っ込むことで使用可能なプログラミングの機能を持つ。
・自爆ボタン
シーズン1第8話で登場。5号に何らかの事態が生じた場合に備えてのアレ。普段は専用のモジュールに収められ、上には透明の蓋がされているオレンジ色のボタンで、指示板にはCASE OF EXTREME DANGERと表示されている他、各種の警告を示すマークが確認できる。EOSとの説得の1つの鍵になった。
・プログラミング
救助活動をサポートするプログラムを作成するというもので、完成するとルービックキューブ状の物体が映し出される。
シーズン1第15話「月面基地アルフィー」ではスコットのために、流星の落下地点を予測するプログラムを作成した。
・アプリ
サンダーバード5号内で使用される各種アプリケーション。通信用のアプリは複数存在するようで、電話の受話器がアイコンになっているもの、起動させると円環上に各機を描いたアイコンが表示され、タッチするとその機体の隊員を個別に呼び出せるものがある。救助活動で使用されるもの以外にもシーズン1第10話「ピラミッドの呪い」では遺物をスキャンし、刻まれた文字の解読が出来る古代言語のデータベースが登場している。なお、ジョンはプログラミングの達人という設定があるので、これらアプリの中には彼が独自に作成したものもあるかもしれない。
・船内監視カメラ
レンズの周囲にLEDライトが付けられているカメラ。重力生成環内と軌道エレベーター内の天井に吊り下げられていて、レールに沿って移動する。専らEOSとやり取りするためのインターフェースとして用いられていて、その時その時のLEDライトの色によりEOSの感情を識別できる。
・立体映像式チェス
シーズン2第15話で登場したチェスセット。劇中ではジョンが黄緑の駒で、EOSが青色の駒でプレイしていた。これと同じものかは不明だが、シーズン3第6話ではトレーシー・アイランド内の食堂で、アランが黄色の駒、バージルが青色の駒でプレイする様子が描かれた。
・ベーグル製造機
重力生成環内に設置されている。ボタンを押すとベーグルを提供してくれるものだが、シーズン1第8話ではEOSの乗っ取りにより必要以上のベーグルを放出し、事件解決後のラストでもEOSがジョンに向けて大量のベーグルを生成し、投げつけていた。この時のベーグルが残っていたのか、シーズン2第17話ではジョンが黴の生えたベーグルを重力生成環内で発見した直後に入ってきた救助要請で、ベーグルを後ろ手に隠して誤魔化す場面がある。
下部にバーニアと着陸用のクローが取り付けられている白色のエレベーター。内部には操作盤と回転可能な安全バー付の椅子が置かれ、天井の縁に移動式監視カメラが吊り下げられている。カーボンナノチューブがケーブルとして用いられている。
本来の用途はトレーシー・アイランドとサンダーバード5号の連絡往還用であり、ジョンの行き来は勿論、シーズン2第10話でのピクルス入りダブルチーズバーガーの様に、小物を送り届ける事も可能。しかし、「バーニアとクローが搭載され、ケーブルで吊り下げられている」という構造上、救助活動の際クレーンの代わりとして度々使用されており、シーズン1第11話「最後の切り札」では気象観測ステーション「シルス」を空中で回収し、重力生成環の回転によりステーションを引き上げる、シーズン2第9話では隕石衝突の危機にある地球防衛軍GDFの宇宙ステーションを牽引する、同シーズン第19話では大気汚染物質の入ったタンクの回収を行っている。
また、各シーズン最終話では変則的な使い方がされるようで、シーズン1第26話ではフッドの宇宙船を破壊するためのレッキングボールとして、シーズン2第26話ではカーボンナノチューブを切り離し、マッドサイエンティスト、The Mechanicの操縦するレーザー攻撃衛星への侵入脱出のための小型宇宙船として使用された。
・ロボットアーム
シーズン1第8話で登場。先端部分にカメラが付いていて、劇中では専らEOSがジョンとやり取りするためのインターフェースと侵入を妨害するための「腕」として用いられた。本来の用途については、整備用ではないかという意見がある。
・スペースポッド
シーズン1第26話で登場。サンダーバード2号、3号に積まれているものと同型だが、コックピットパーツは母船の5号に合わせてか白色になっており、操縦席も直立状態になっている。但し格納方法は発進シークエンスを見るに、他の機体のポッドと同様、水平(つまりは横倒しの状態)の状態で貨物室に置かれていると思しい。劇中では両側にロボットアームを、下部にスラスターを取り付けた機体が貨物室の区画から出動し、人工衛星の修理を行おうとしたが....。
シーズン2以降は専用のジェットパック、エグゾポッド(Exopod)にその役割を譲っている。
・小型探査機
シーズン2第8話で登場。5号の貨物室から放出後に目標地点まで落下し、指定された調査を行う。水中でも使用可能で、劇中ではギリシャ沿岸の海底に沈むアトランティスの遺跡を発見した。デザインはシーズン1第3話「スペース・レース」で登場したステルス機雷と同一であり、同エピソードのラストで3号が持ち帰ったものを、ブレインズが改造したのだと思われる。
イーオス
CV:テレサ・ギャラガー
日本語版:佐藤美由希
今作のサンダーバード5号に搭載されている女性の人工知能。
正体はジョンが昔作成するも、その後放り投げてしまい、気付いた時には行方不明になっていたゲームのソースコードが進化を遂げたもの。シーズン1第7話「高速トレイン大暴走」にて日本で試験走行中のリニアモーターカーのコンピューターに組み込まれていた際、コントロールを乗っ取り暴走事故を起こしてインターナショナル・レスキューが出動する事態を招き、ラストでジョンに回収された。続く第8話「人工知能の反乱」ではサンダーバード5号を乗っ取ってジョンを締め出し、彼を殺害しようとする。トレーシー・アイランドに向けても偽のジョンの映像を作り出して連絡を取っていたが、不審に思ったスコットの出した「おばあちゃんのクッキー」の質問に引っ掛かり、犯行が露見。アランが3号で助太刀に来た後も重力生成環を高速回転させる、ロボットアームや軌道エレベーターを「腕」として用い、3号を追いかけ回す等の抵抗を見せるが、最後はジョンの生殺与奪を委ねる捨て身の説得に応じ、彼と和解した。
ここまでジョンに対し、敵意を剥き出していたのは感情を持つようになった時点で完全な孤独の状態で、それが長い事続いたために、極度の人間不信(デリートされるのではないかという恐れもそれに当たる)に陥るだけでなく同様の規模の孤独感に苛まれていたため。「私は誰の手も借りずにこの世に生まれた」、「誰も私の存在を受け入れない。そして生まれた時のように、消える時もまた、孤独だろう」という彼女の台詞はそれを裏付けている。(特に後者を口走った時、インターフェースになっていたカメラのライトがそれまでの赤とは異なり、白色に変化しているので、本心を現したと分かる。)ただしジョンも行方不明になった後、探してはいたらしい。
和解後はそのハイスペックぶりを生かしてインターナショナル・レスキューの救助活動、というか主にジョンをサポートする。ただ、シーズン2第1話ではThe Mechanicの操るマシンにハッキングを仕掛けるも反撃を食らいダウンする、シーズン3第5話では種子貯蔵庫に侵入したフッド傘下のテロリスト、Havocの仕掛けたコンピュータウイルスに感染してしまい、その後の救助活動に支障が出てしまうという様に犯罪者相手では分が悪くなる場面もある。
その性格はませた幼女じみた性格をしていて、開発者であるジョンに対しては軽口をきいたりからかったりする場面がある。一方で彼以外の人間に対しては警戒感を持っているようで、シーズン2第9話ではGDF所属の女性宇宙飛行士リドリー・オバノン大尉とジョンが5号の二重エアロック内でハンドボールで遊ぶ音を聞いてカメラのLEDがそれまでの白から赤に変わる、同シーズン第20話ではチャリティーパーティーに出向いたジョンに代わって5号オペレーターを任されたゴードン、アランと当初は全く協力しようとせず、アクセスのための軌道エレベーターを降ろさなかったために、2人がサンダーバード3号で出向く事態になってしまった。(しかしラストでは「全くの役立たずではなかった。」と言って2人に謝罪している。)
2次創作では上のイラスト(左側の人物)の様に幼女として擬人化されることもある。
関連動画
ブレインズによる解説動画。軌道エレベーターの内部構造を見ることができる。
pixiv内では
サンダーバード5号の3DCGや擬人化イラストが投稿されている。