イゾウ
いぞう
「我々は残りますよ!! この船が好きだからここであなたの帰りを待ちます!!」
「菊…!! 立派な“侍”に なったな…!!」
概要
“世界最強の男”として名高い四皇の海賊“白ひげ”ことエドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団で16番隊隊長を務めた男。“新世界”の鎖国国家「ワノ国」の出身で、女形のような姿をした二丁拳銃使い。
かつてはワノ国の郷の一つである「九里(くり)」の大名・光月おでんの家臣であったが、白ひげの船に乗り込もうとするおでんを止めるためにモビーディック号に乗船。そのまま船に馴染み白ひげの仲間に加わることになった。
プロフィール
人物
女形の装いや、他の船員に比べて華奢な印象を受ける体格だが、「ワノ国の侍」として非常に勇猛果敢な性格で、海軍本部(当時)のあるマリンフォード頂上戦争においても三大将を相手に決して臆することなく戦った。
かつて孤児となっていたところをおでんによって救われ、更には九里の再建に協力したことで兄弟共に家臣(侍)として取り立ててもらった経緯から、おでんへの敬愛は強く、それ故に、おでんの乗船を諦めさせようと無理難題を課して苦しめた白ひげのことを当初は憎悪していたが、数年間共に航海する中で打ち解け、他の船員同様に「親父」と呼び慕うようになった。
おでんがロジャー海賊団と共に“歴史の本文(ポーネグリフ)”を解読する旅に出ることを決めた際には「この船が好きだから」という理由で白ひげ海賊団への残留を申し出ており、白ひげや仲間たちに強い愛着を抱いていた模様。その後、最後の島上陸を果たしたおでんから、ロジャーを介して「白吉っちゃんをたのむ」と伝言を受けてからは、故郷に帰らず現在まで白ひげの船員として活動していた。
ネームモデルは幕末の土佐藩郷士・岡田以蔵とおもわれるが、得物を刀から拳銃に持ち替えた経緯は同じく土佐出身の坂本龍馬の逸話が由来とおもわれる。
(ちなみにワノ国編には同じく以蔵をモデルとした人斬り鎌ぞうが登場している。)
戦闘能力
「『大将』一人に止められてんじゃねェ!! 一緒に来い!!!」
おでんの家臣の頃は銃と刀を使用していたが、現在は帯刀しておらず二丁拳銃を武器に戦う。その実力は多数の敵に囲まれると流石に負傷してしまうが、囲っていた敵をすべて倒し、負傷した状態でマスクをつけたCP‐0の構成員と戦えるほどである。
ワノ国にいた頃は刀を使っていたが、あまり剣術は得意ではなかった。
(ただ康イエの計らいにより錦えもん達と日々鍛錬を積んでいたので多少なりとも腕はあると思われる。)
しかし射的は百発百中の腕前で、白ひげの船で余興で見せたところ、ビスタからその腕前を褒められ、主君を守るために刀を捨てて銃を使うようになったとのこと。
(ただし、頂上戦争終戦時には刀を携えている姿が描写されている。)
技
弾斬丸(だんぎりがん)
弾を高速回転させながら敵に撃ち込む射撃技。
活躍
過去
舞踊を生業とする「花柳流(はなやなぎりゅう)」家元に生まれ、弟の菊の丞と共に、幼少期より舞踊の手ほどきを受けながら育つが、あるとき父親が罪人として裁きを受けて一家離散してしまい、以降は菊の丞を連れて「鈴後(りんご)」で路上芸をしながら暮らすことになる。見窄らしい姿でも懸命に舞を踊る二人にも行き交う人々の反応は冷たく、満足に食事にもありつけない極貧の生活が続いた。
41年前、父親である時の将軍・光月スキヤキに勘当されたおでんが、九里を目指す旅の道中に鈴後を経由し、彼らの野宿の際に作っていたおでんを勝手に食べたことで飢えから救われ、以降はおでんを慕って兄弟共々勝手に家来となる。
おでんが九里にてアシュラ童子一味を懲らした後、九里を復興させる計画に協力。2年後、その功績によりスキヤキから九里大名の地位を与えられたおでんにより、これまで復興に尽力た家来たちと共に大名家家臣として“侍”に取り立てられる。
30年前、白ひげ海賊団の船が九里の伊達港に漂着。長年海外へ出てみたいと考えていたおでんはすぐさま船長の白ひげに出会うと乗船を希望するが断られ、イゾウら家臣団もこれを引き止めていた。
しかし二週間後、夜中にこっそりワノ国を出港しようとした白ひげ海賊団の行動を読んでいたおでんは、「厠」だと嘘をついて城を抜け出し、鎖分銅を船に巻きつけ乗り込もうとした。
そしておでんの嘘を真っ先に見抜いたイゾウは、彼を追って咄嗟に背中にしがみつき、二人はそのままワノ国を出立することになる。
白ひげは、そこまでやるなら海賊のやり方でいかせてもらうと、船員たちに命じてイゾウだけを船に担ぎ入れると、おでんに対し丸三日間その鎖を手放さなかったら乗船を認めるという条件を突きつけた。縛られながらも反発するイゾウをよそに、おでんはこれを了承。以降、おでんは連日船に引きずられ、ときには岩礁や海獣による危険に晒されながらも耐え続けるが、その姿を見守るしかできないイゾウは、敬愛する主君にこのような責め苦を与える白ひげに怒りを顕にし、涙ながらに憎悪の言葉を向けた。
おでんは三日間達成一時間を切ったところで女の悲鳴を聞きつけ、鎖を離して近くの島に駆けつけてしまう。
しかし、おでんの乗船に最も難色を示していた白ひげに、女一人を助けるためにチャンスを棒に振るおでんの器量を認められて乗船を許されることとなり、助けた天月トキ(後に彼の妻となる光月トキ)、おでんが白ひげの船に乗り込むと予想して同行するため密航していたイヌアラシ・ネコマムシと共にイゾウも正式に白ひげ海賊団へと迎えられた。
その後、おでんはトキと結婚し、28年前には第一子光月モモの助が誕生。この期間のうちにおでんもすっかり海賊としての有名人となっており、イゾウは常々、奥方やご子息のためにも早急に帰国するよう進言していたが、おでんからはまだ踏ん切りがつかないとして拒まれ続けることになる。また、船員の増加に伴って組織を隊に分割する方針が立てられ、おでんは(初代)二番隊隊長に、イゾウは16番隊隊長に就任した。
(ただしイゾウの隊長就任はおでんの就任より更に後の可能性がある。)
26年前、ロジャー海賊団との交戦後に催された宴会の席において、相手方の船長ゴール・D・ロジャーの誘いを受けたおでん一家は、一年間の条件付きで彼らの船に乗り込むことを決意。このときイゾウは白ひげへの義理立てや白ひげ海賊団への愛着から船に残ることを申し出ており、おでんからも「お互い海賊なんだから自由にやろう」と許しを受けたため、一年後の再会を約束して別れることになった。
……なお、イゾウはイヌアラシたちも白ひげの下に残ると踏んでいたようだが、二人は例の如くロジャーの船に密航しておでんたちについていってしまい、結局一人で白ひげ海賊団に居残ることになってしまった。
1年後(25年前)、おでんたちロジャー海賊団は偉大なる航路の最果てである“最後の島”に上陸する偉業を成し遂げ、間もなく船長命令で解散することになる。おでんはそのままロジャー海賊団の船でワノ国に戻ったが、イゾウは一味解散後に白ひげを訪ねてきたロジャーから主の伝言を預かり、以降も白ひげ海賊団の船員として活動した。
第1部『超新星編』
事実上の本編初登場となったのはマリンフォード頂上戦争編で、白ひげ海賊団の仲間であるポートガス・D・エースを救うため、船長である白ひげや他の隊長たちと共に海軍本部&王下七武海連合軍を相手に戦った。しかし、海軍大将“赤犬”の手でエースは殺害され、白ひげもまた、裏切り者であるマーシャル・D・ティーチ率いる黒ひげ海賊団の手にかかり命を落とすことになる。その後、心身への多大なショックで危篤に陥った「エースの弟」ルフィをなんとか戦場から脱出させようと、マルコや他の隊長たち一丸となってルフィを守り抜いた。
終戦から1年後、白ひげ海賊団の残党達と共に、黒ひげ海賊団を相手に「落とし前戦争」を勃発させるが、能力者の力を封じてしまうヤミヤミの実、さらには白ひげから奪ったグラグラの実の能力を持つティーチや、インペルダウンLEVEL6から解放された選りすぐりの船員たちの前に大敗し、他の仲間達共々、その後の消息を絶った。
第2部『新世界編』
ゾウ編において、打倒カイドウのために麦わらの一味・ハートの海賊団・モコモ公国の同盟が結ばれ、ネコマムシはさらに協力者を増やすため、白ひげの故郷スフィンクスで暮らすマルコの下を尋ねる。共に冒険した当時を懐かしむ両者であったが、マルコは先の落とし前戦争により白ひげ海賊団が散り散りになってしまったことや、“白ひげの息子”を名乗るエドワード・ウィーブルが遺産を狙ってこの故郷へ攻め入ろうとしている現状を説明。しかし、同志でもあったおでんを死に追いやった仇敵カイドウを討つことにも、頂上戦争で散ったエースの弟ルフィを助けることにも快く応じ「遅れるが必ず行く」と約束を交わした。
そして、赤鞘たちが討ち入りを決めた火祭りの夜当日、既に錦えもんたちがカイドウのいる鬼ヶ島へ攻め入っている頃に、ネコマムシとマルコは同じタイミングでワノ国に到着。国の玄関口である滝を昇っていたビッグ・マム海賊団の船を再び転落させる。
そんな彼らの傍らにはイゾウの姿もあった。
実はマルコは落とし前戦争後も彼の居所を把握していたらしく、ワノ国へ乗り込む上でおでんの旧臣でもある彼を誘っていたとのこと。大凡の外見は2年前と変わっていないが、右眉尻には2年前にはなかった切り傷跡があり、背中にはコート、手には手袋を着用しているなど、以前よりも風格が増した雄々しい姿となっていた。
ネコマムシが先に鬼ヶ島に向かっているイヌアラシと通信し、現在の戦況やこれからの作戦について伝え聞き、彼らが向かっている島の裏門にて落ち合うことを約束。飛行能力を持つマルコにネコマムシ共々運んでもらい、実に30年ぶりに弟や同心たちと再会を果たした。菊の丞も当時はすでに割り切った様子を見せていたが、兄の姿を確認すると子供のように大泣きし、暖かく彼を迎え入れた。
その後、マルコは移動中に海上にて見かけた怪しい影を警戒して飛び去り、イゾウは表門から潜入した錦えもん・傳ジローを除く赤鞘たちと共に裏門を潜ろうとするが、オロチの内通者であったカン十郎改め“黒炭カン十郎”と百獣海賊団の軍勢、更にはカン十郎が能力で生み出した二体の首なし武者が待ち受けていた。自身らを裏切り、尚且つ幼いモモの助をいたぶったことや、彼が今正にカイドウの手で処刑されようとしていることなどを嬉々として語るカン十郎に静かな怒りを抱きつつも、一行は飽くまでも冷静に眼前の敵へと焦点を定め戦いに及んだ。
カン十郎たちを倒して間もなく、別行動で表門から廻って裏門に到着した錦えもん・傅ジローと再会。イゾウの姿を見て驚く二人だったが、すぐに笑顔で握手を交わし再会を喜び合い、同時に錦えもんから「ここでいいのか?死に場所は」と覚悟を問われると「もう死に損なうのは御免だ」と力強く応えた。奇しくも生前のトキが最期に詠った予言の言葉通り、赤鞘の8人にイゾウを加えた「九つの影」は、共に裏門をくぐりカイドウの元へと急いだ。
磔にしたモモの助を処刑せんとカイドウが金棒を振り上げたその瞬間、錦えもんたちは彼らの背後の壁を切り破って突撃。驚く大看板たちの中で即座に構えたキングの刀を銃ではじき飛ばし、先頭を切ってカイドウの胸ぐらに飛び込む錦えもんや傅ジローたちを援護した。
屋上で始まった決戦では弾斬丸でカイドウの注意を引くことで赤鞘の侍を援護し、錦えもんたちの桃源十拳がカイドウの古傷に直撃するもカイドウの傷は開かず、一方的に蹂躙されてしまった。
カイドウが能力で鬼ヶ島を飛ばし始めたあとに屋上に到着した最悪の世代にカイドウを託し、赤鞘の侍はトラファルガー・ローの能力で城内の宝物殿に避難させられる。
その後、何者かの手当で僅かながら回復。戦線に復帰しようとするが、目の前に死んだはずのおでんが現れる。しかしその正体は意識を取り戻していたカン十郎が遠隔操作していた絵であり、偽物であった。偽物の自爆攻撃を阻止するためにアシュラ童子が犠牲になってしまった。
その後宝物殿を抜け、遭遇した大看板のジャックと福ロクジュはそれぞれイヌアラシと雷ぞうが引き受けたことでイゾウたちは城を進む。そして、各地に戦力を分散させるためにイゾウは河松と共にライブフロアに向かった。
ライブフロアに到着後は限界を迎えていたマルコを救出し、しばらく戦い続けていたが途中で「城を燃やしながら進み続ける妖怪」が出現したことを耳にする。妙な胸騒ぎがしたイゾウはマルコの協力の元、再び城内へ向かう。
そして1階の屋根裏で重症を負った錦えもんと菊の丞を発見。彼らを取り囲んでいた百獣海賊団を時間稼ぎのために相手取り、救護に駆けつけていたウソップに二人を託す。
自身は更に負傷を重ねてしまうも何とか敵を仕留め、屋根裏から脱出するも、今度はニコ・ロビンを追うCP‐0に遭遇。麦わらの一味に用があるCP‐0はイゾウを見逃すことにしたが、イゾウ本人は麦わらの一味を狙うCP‐0を見逃すことはできず、彼らと戦闘になる。刺し違える覚悟で挑んだ結果、CP‐0のマハを撃破し、自身もダウンした。
そしてマハとの戦いが原因か、カイドウとの戦いの後、死亡したことが判明した。「故郷の土に眠らせたい」というマルコの頼みから、他の英雄たちと共にワノ国に祀られることになった。