概要
(画像左)
基礎データ
太陽からの距離 | 59億1510万km |
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直径 | 2370km |
表面積 | 1764万6000km² |
質量 | 1300兆t |
重力 | 0.07(地球を1とする) |
公転周期 | 247.740年 |
自転周期 | 6.39日 |
表面温度 | −223℃ |
分類 | 準惑星 |
衛星の数 | 5 |
太陽系で海王星の外側を回る準惑星。太陽からの平均距離59億1510万キロ、すなわち39.5402天文単位、公転周期247.740年。
1930年2月18日、米国ローウェル天文台のC=W=トンボーが発見し、長らく「第9惑星」とされていた。
しかし、1992年以降周囲に似た軌道を持つ小惑星が数多く発見され、中には冥王星に近い大きさの天体もあり、「冥王星だけが惑星」とする状況に強い疑問が持たれ、更に2005年に当時は冥王星より大きいと思われたエリスが発見されたことで惑星の定義を明確に定める事になり、2006年8月24日に国際天文学連合により新たに準惑星に分類された。
ちなみに、昭和17(1942)年発行の『子供の天文學』(恒星社)の『冥王星の生ひ立ちは?』の項目には、どうもこの星は、木星や土星や天王星や海王星などと同類に置くべき大遊星(遊星=惑星。巨大惑星の意味と思われる。)ではなくて、むしろ小遊星(小惑星)級の星です。火星と木星との間に小遊星の群がつてゐる地方があるやうに、わが太陽系には、海王星の外側に今一つ小遊星帶(小惑星帯)があるのかも知れません。との記述があり、「海王星の外側にもう一つの小惑星帯があり、冥王星はそれに属する天体の一つ」とする説が、既にこの時代から存在していたことが分かる。なお、元は海王星の衛星だったとする説も当時は有力だった。
軌道は離心率が大きく、海王星の内側になることもあり、公転面も大きく傾いている。最大光度13.6等。直径は2370キロ、質量は地球の0.0022倍。
カロン、ニクス、ヒドラ、ケルベロス、ステュクスの5衛星をもつ。
また、衛星ではないが、衛星のように冥王星の周りを回っているように見える天体(準衛星)としてアラウン(1994 JR1)がある。しかしながら、最近の研究によりこれを否定する説も出ている。
当初は地球より大きい星であるとも予想されたが、観測技術の発達により水星以上火星以下だと考えられ、さらにその後、直径の過大評価の原因となっていた衛星カロンが1978年に発見されることで大幅に下方修正され、月よりも小さい事がわかって来た(径:約69%、質量:約0.177倍)。
衛星カロン(冥王星の約半分の径を持つ)との二重準惑星的な関係が注目される。
発見国での呼び名はプルート(Pluto)といい、ローマ神話の冥界神(ギリシャ神話では冥王ハデスに対応)から名づけられた。この名を発案したのはヴェネチア・バーニー・フェアという英国の少女である。研究者たちの賛同を得て、命名権者のローウェル天文台所長ヴェスト・スライファーによって採用された。その和訳に「冥王星」を提案したのは天文研究家の野尻抱影である。
降格
2006年、冥王星が第9惑星から「準惑星」に分類された事実は、「準惑星に分類された=惑星から降格された」という強い負のイメージとして伝わっている。
特にアメリカ人が唯一見つけた惑星であったということもあるためアメリカでの反発は大きい。冥王星を題材にしたストーリーやキャラクターに対して愛着を持つ人たちにとっても、今回の準惑星への分類は「暴挙」と見ており、あえて「冥王星は惑星だ」と主張している人もいる。
過去において、同じく惑星から"降格"された天体として、小惑星帯の幾つかの天体が存在する。この内ケレス(セレス)は冥王星降格とともに昇格された。また古くにおいては、太陽と月も惑星の一種と捉え、五惑星と合わせて七曜とする考えも有った。
発見された時点では、太陽から最も遠い天体だったことから、氷に閉ざされた死の天体、というイメージが一般的であった。しかし、2015年にアメリカの探査機ニュー・ホライズンズが接近探査に成功し、冥王星が薄い大気を持ち、表面が絶えず更新される「生きた天体」であることが判明した。
かつて描かれた想像上の冥王星
長年に渡って実態が謎であったため、想像で描かれていた。
松本零士ワールドの冥王星
青い、氷に覆われた星として描かれている。
ケロロ軍曹における冥王星
アニメ放送中に準惑星降格が確定したため、それを題材としたエピソードが放送された。
146話『冥、おぼえていますか であります』にて、地球人の「冥王星への想い」が美少女・九条冥の姿をとって出現した。
キャプテンフューチャーにおける冥王星
氷と雪に覆われた極寒の惑星で、毛むくじゃらの外観を持つ冥王星人が原住している(この作品では太陽系内の殆どの天体に生物が住んでいる、という設定になっているが)。またケルベロス、カロン、ステュクスの3つの衛星を持ち、ケルベロスは太陽系凶悪犯を収容する刑務所の所在地として、ステュクスは〈魔術使い〉ステュクス人の住む星として、それぞれ原作エピソードにおける重要な舞台になっている。
これら衛星の設定は冥王星で実際に衛星が発見される以前に考えられた(1940年代)ものだったが、その後1978年にカロンが発見・命名され、そして2013年に残るケルベロス、ステュクスの2衛星が一般公募を経て本当に命名されるに至った。
探査当時の盛り上がり
ニュー・ホライズンズによる冥王星探査は、科学者や宇宙好きのみならず、多くの人々にとって注目の的になった。
冥王星クソコラグランプリ
ニュー・ホライズンズ探査機の冥王星最接近当日の2015年7月14日から数日の間、Twitter上では怒涛のクソコラグランプリが繰り広げられ、それらのまとめも多数作られた。
海外に於いても#PlutoFlybyのハッシュタグで様々な冥王星のコラ画像が投稿され、その様子はBBCにも取り上げられた。(但し、PlutoFlybyのハッシュタグ自体はクソコラ用のタグではない。)
ちなみに、これ程までに天体のクソコラグランプリが盛り上がったのは非常に稀な例で、他の例としては精々世界で初めてブラックホールの撮影に成功した時にブラックホールのクソコラがいくつか投稿されたくらいである。
セーラームーンの予言?
ニュー・ホライズンズによる探査によって、表面に大きなハート型の地形(トンボー地域)が発見されたが、セーラープルートが持っているガーネット・ロッドの頭部がハート型であることから、「武内先生は冥王星にハート型地形がある事を予言していた…?」と、一部で話題になった。
関連動画
関連タグ
宇宙 太陽系 惑星 準惑星 ニュー・ホライズンズ カイパーベルト The_9th 反射衛星砲 グランスフィア
プルトニウム …冥王星にちなむ元素名。
スーパーロボット大戦W …「(旧西暦時代に)冥王星が準惑星に分類された」事が物語中で重要なファクターとして扱われている。
準惑星エリス 準惑星ハウメア…冥王星と共に、「冥王星型天体」(海王星より公転周期が長い準惑星。この他にマケマケがある)に属する。