首輪(くさり)を斬(き)れ! 牙(きば)を剥(む)け!
概要
デザイン・演出雨宮慶太、メインシナリオ浦沢義雄、キャラクターデザインは篠原保と阿部統と、東映特撮作品に詳しいものであれば驚愕のスタッフによる、現代日本を舞台にした主人公がパルという名前の飼い犬であるという変わった設定のRPG。
1997年4月25日に東北新社・東映ビデオからプレイステーション用ソフトとして発売された。
ノスタルジックな昭和の日本を彷彿させる世界観や演出は、雨宮の作品『キバクロウ』や『鉄甲機ミカヅキ』を、浦沢の脚本はゲームといえどもブレずにナンセンスで生々しいセリフや描写(浦沢投石も完備)がある東映不思議コメディーシリーズを思わせる内容。
RPGとしては謎解きが難しい部分もあり、システムを理解した上でキャラクター育成をしておかないと終盤の高難易度で詰んでしまうことも多いため、神ゲーにもクソゲーにもなり得る人を選ぶ作品であると評するものも多い。
あらすじ
優しい少女カオルに拾われ育てられた子犬のパルは、この世界の実権を握る「ノストラダムス委員会」によって、世界の存亡を担う存在であるとさらわれてしまったカオルを救うため、神々の元で修行し人間の姿と神の力を手に入れる。
ノストラダムス委員会の目的とは何か、果たしてパルはカオルを救えるのか、世界を巡る大冒険が始まる。
登場人物
パルと仲間たち
- パル
主人公。カオルに拾われた子犬だったが、カオルをさらったノストラダムス委員会に野良猫のパレ共々斃されてしまうも、七福神に助けられ神の国で修業を積むこととなる。
パレとの戦いの果てに「えんせいじゅの実」を食べ「神犬戦士」となり、カオルを助けるため旅をする事となる。
主人公らしく攻撃・術の扱いともにバランスが良い。
終盤には1人で戦うことになるため、巻物を持たせた術を積極的に使って術のLVアップをしないと苦戦を強いられることとなる。
- 貧乏神
神の国に住む神様。金にがめつい所はあるが親しい者に対しては優しい一面も持つ。
七福神の命でパルに同行することとなる。
術の扱いは得意だが、攻撃は不得手。
- 山の神
神の国に住む神様。貧乏神の妻で、ふくよかな体格の持ち主。
七福神の命でパルに同行することとなる。
攻撃力は高いが、術の扱いは苦手。
- ユキト
カオルのボーイフレンド。最初はパルたちを怪しむも、ノストラダムス委員会が襲撃してきたことで考えを改め、パルたちに同行することとなる。
術は使えないが料理を作ることができ、パーティー全体の回復などに活躍する。
料理はレベルアップのほかにも、各地の飲食店で特定の料理を食べる事でも習得できる。
その他の人々
- カオル
パルを拾った心優しい少女。両親を亡くしており、性格の悪い叔母にパルを捨てるよう言われたことから物語は始まる。
- パレ
カオルに恩義を感じている野良猫で、パルと協力し戦うが斃され、神の国で共に修行した。
神の国での最後の修行の際、パルとの戦いの果てに倒れ、「必ずカオルを助けてくれ」と伝え息絶える。
- 寿々木
カミシマにある「寿々木そば」の店主。店をノストラダムス委員会の戦車に壊されたことを機に、パルたちに助力することとなる。
後に店が再建された際には、3度カミシマに戻ってきたパルたちを温かくもてなしてくれた。
- 船長
モナリザじじいの最期の一撃で、海に吹き飛ばされ漂っていたパルを助けた「船長丸」の船長。
人情味と男気のある性格。
サメから助け出した山の神に一目惚れすることになる。
- 副長
「船長丸」の副長。アルマン島探索の際に同行して一緒に戦ってくれることとなる。
ユキトが作れない「てんぷらうどん」を作って、パルたちをサポートする。
- 船員
「船長丸」の船員。アルマン島探索の際に同行して一緒に戦ってくれることとなる。
大柄な体の見た目通りに、攻撃力が高い。
ノストラダムス委員会
連邦政府によって権力を委託され世界の実権を握っている謎の巨大組織で、メンバーは過去の偉人の名とイメージを誇張された姿を持ち、カオルを攫ったばかりか各地で様々な事件を引き起こしている。
パルたちと対峙した時の決まり文句は「このノストラダムス委員会で最も○○な男(女)!(メンバー名)がお前たちを○○してやる!」。
なお、ノストラダムス以降の紹介順はパルたちと対峙する順番である。
- ノストラダムス総統
- コペルニクス三等兵
- ダビンチばばあ
- モナリザじじい
- マルコポーロ男爵
- ワット女史
- アルキメデス法師
- ニュートン婦人
- コロンブス大使
- ピカール伯爵
- キュリー二等兵
- ガリレオ大佐
- ライト姉妹
- ダーウィン仙人
- ゲルニカ男
- ピタゴラス大僧正
- ガウディ技師
- スチーブンソン親方
- エジソン大将軍
余談
- グラフィックは同時代のゲームと比較すると地味目。しかし分かりにくいが細部の作り込みや、ボスがアニメーションするなど凝っている部分も多々ある。
- 宣伝文句は「100時間遊べるRPG」とあるが、普通に遊べば平均的な長さの家庭用RPG程度である。
- シュールな展開やメッセンジャーの独特の言い回しなど、浦沢脚本を噛みしめ、クリアに必須のパルの育成、ユキトの料理の習得と活用などの要素でそれなりに長く遊べる。
- 敵として登場するのは、とある理由から感情的になった街の人々や野生動物、浦沢脚本の定番である意思を持った物体、ロボット、バイオモンスター、精霊や幽霊の類いなど非常に幅広い。
- 街はフィールドを兼ねるため、モンスターが出現するので探索に気が抜けない。
- 某RPGのようにモンスターの系統ごとに戦闘曲が異なる。
- 上記のように終盤はパルの一人旅となり、それに伴い難易度が急激に上昇するため、アイテムの準備や術の育成が非常に重要である。
- そうしてたどり着いた先にいるラスボスは、数あるロールプレイングゲームの中でも極悪な強さを持つことで知られる。
- キャラクターデザインの篠原・阿部両名は雨宮が阿佐美のOBを集めて結成した有限会社クラウドに、外部から才能を見込まれ入社した生え抜きで、戦隊怪人のデザイン担当として知られる。
- 音楽は多くのアイドルや歌手に楽曲提供している、ベーシスト・作曲家・編曲家として知られる後藤次利によるもので評価が高い。
- EDテーマ曲は椎名へきるが歌っている。
- 雨宮自身が監督した今作の実写プロモーション映像に登場する、主人公パルの強化形態のひとつである「アーマードパル」は、後に氏の代表作となる『牙狼-GARO-』を彷彿させる姿である。
関連タグ
※現代風の世界が舞台のRPG
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