ペルム紀
ぺるむき
概要
二畳紀(にじょうき)とも呼ばれる古生代最後の地質時代で、約2億9,900万年前から約2億5,100万年前にあたる。ユーラメリカ大陸、ゴンドワナ大陸(ペルム紀初期にはユーラメリカと衝突)、シベリア大陸が次々と衝突し、この時代の末期には超大陸パンゲアを形成する。
初期には寒冷な氷河時代であったが、この時期に木材の分解ができる菌類(木材腐朽菌)が出現し、酸素を消費して二酸化炭素が大量に放出されたため後期になるほど地球温暖化が進んだ。ペルム紀初期の大気中の酸素濃度は35%だったのが減少の一途をたどり、気温も上がっていく。更に超大陸の形成もあって、陸地は乾燥化が進んだ。
2億5,100万年前には深海のメタンハイドレートが大量に溶け出して温室効果が暴走し、地球史上最大規模の大量絶滅が発生した(P-T境界事変)。
生物相
前期では単弓類・盤竜類や両生類や軟骨魚類やシダなどが、中期・後期では単弓類・獣弓類やカメの祖先ではないかともされた原始的爬虫類やソテツ類、イチョウ類などの原始的な裸子植物が栄えていた。
節足動物では三葉虫やウミサソリなど、古生代を特徴付けるものは衰退し、P-T境界事変で絶滅した。代わりに陸棲節足動物と植物の密接な関係が構築され、完全変態を行う昆虫の中では最初の蜂と甲虫がこの頃に進化した。
単弓類(哺乳類の祖先)の隆盛に対し双弓類(爬虫類の祖先)は押され気味だったが、この中から恐竜、ワニ、鳥類の共通祖先である主竜類が出現。P-T境界事変を生き延びた彼らは次代の三畳紀で隆盛を極めることになる。
大量絶滅
ペルム紀末の大量絶滅(P-T境界事変)は、海洋生物の96%、地上の生物の約90%が姿を消す、史上最大の大絶滅であった。
この絶滅は2段階あり、2億6,000万年前(ペルム紀中期・ガダルピアン期末)に超大陸パンゲアが分裂をはじめ、これに伴う巨大な火山活動(スーパープルーム)により寒冷化と海水準の低下が起こり、地上の植生の多くが消滅するとともに、浅い海に生きていた多くの生物が絶滅した。又、陸上では当時までの陸上動物史上、最大級の体躯を誇っていたモスコプスはじめとする生態系の最上位を占めていたディノケファルス類(ディノケファルス亜目)などの大型動物などが消えた。この火山活動の跡の一つとしての候補が、現在の中国の四川省にある峨眉山である。
1回目の大量絶滅から約900万年が経った約2億5,100万年前、ペルム紀後期末に再び大規模な火山活動が起きた。現在の中央シベリア高原はこの大火山の跡地とされる。これもあって二酸化炭素濃度が急上昇し、これがメタンハイドレートの溶解を引き起こし、2回目の大量絶滅の引き金がひかれた。激しい気温上昇と乾燥化、大気中の酸素濃度の低下が起こり、地上の生態系に壊滅的な打撃を与えた。またこれに伴い海中の酸素も激減(海洋無酸素化)し、1回目の大絶滅を生き残っていた多くの海洋生物の息の根を止めた。
更にこれらより小規模かつマイナーではあるがペルム紀は前期末~中期序盤にも既に大量絶滅が起きていたようである(オルソン絶滅事変と呼称される)。著名なディメトロドンなどが姿を消したのはこの時であった。ぺルム紀はまさに大絶滅の時代であったといえる。