「致命的だぜ」
巻頭ポエム
毒々しくって、
眩々するだろ?(68巻)
概要
星十字騎士団のメンバーで、皇帝・ユーハバッハの親衛隊の一人。ユーハバッハから賜った聖文字は"D"。
飄々とした物腰で、常に冷静かつ慎重に行動するラテン系の男。
好物はカフェオレ。女の価値の判断基準は顔ではなくオシャレか否か。
人物像
風変わりな人物の多い騎士団の中では珍しく、まともな感性の持ち主。お気楽でつかみどころのない性格をしており、戦闘中にもよく会話を挟んでくる。
また、「俺はどんな時でも余裕のある男でいたい」という理由で、彼はキツい言葉遣いを使用せず、ユーモアのある言い回しをしたり、カフェオレを戦場でいつでも飲めるよう水筒に入れて携帯しているなど、様々な場面で余裕を見せる言動が多い。例え自身の敗北が確定しても恨み言ひとつ吐かずに勝者を称える潔い男。
ユーハバッハへの忠誠心は彼曰く、「ポメラニアンの倍程はあるつもり」らしいが、彼は忠節だけで動いているのではなく、ユーハバッハが三界を壊した後、どのような新世界を創造していくのか見てみたいという彼自身の興味から行動を起こしている。
一方で、超然とした人間ではなく、霊王の力を取り込んだユーハバッハの異様な姿、そんな姿に顔色一つ変えないハッシュヴァルトに怖気づいてしまったり、侵入してきた黒崎一護一行に鉢合わせした際は数的不利で逃走するも、グリムジョーに追われて全力疾走で逃げ回ったりと人間臭さとコミカルさをもっている。
戦闘集団の中でとりわけ人間味に溢れたキャラクターとして登場し、逆に異彩を放っているという意味では孤独な十刃と似通っているかもしれない。しかし本質的に甘く敵であっても見逃そうとするスタークに対して、標的の殺し方に拘り一見幼い相手であっても無慈悲に任務を敢行するナックルヴァールという決定的な差異がある。
能力
- 致死量(The Deathdealing)
聖文字"D"の能力。
生物が物体をどのくらい摂取すれば死亡するかの値を致死量という。
たとえばふぐ毒、テトロドキシンのヒトの半数致死量は0.01mg、ニコチンは1~7mgである。
(条件を管理した生物たちに投与した場合、半分が死ぬ量)
ナックルヴァールの能力は、「標的個人の」「絶対致死量(摂取すれば100%死に至る物質量)」を正確に計測し、その数値を操作することができる。つまり、100kgとらなければ人体に悪影響を及ぼさないような物質も1mg摂取しただけでその効果を発揮することができるのである。人体の中にある物質にも効果を発揮でき、相手の体内に瞬時に毒を生み出せる強力な能力といえる。
この能力から逃れるためには致死量を操作された物質を体内から完全に除去しなければならない。
能力の応用で、ナックルヴァール自身が能力を適用すればその物質に免疫がつくようになり、不死身に近い状態になる。
作中では、個人ごとに異なる「霊圧」を対象にして使用し、難攻不落の耐久力を披露した。
欠点としては、操作したい物質を大量に取り込まないといけない。つまり一度はダメージを受け切らなければならず、即死したら発動できない。
ナックルヴァールはそんな自身の能力を少し嫌っている節がある(本人曰く「この能力のことを考えると、いつだって俺は致命的な気分になる」)が、性能自体には自信があるようで、「自分の能力を存分に用いて敵を倒す」ことを戦闘スタイルとしている。
詳細はリンク先を参照。
技
- 毒入りボール(ギフト・バル)
能力で対象となった物質を含んでいるボールを相手に向けて投げつけ、喰らった相手を「致死量」で蝕む技。
グリムジョーと四楓院夜一に対して使用し、夜一の場合は「霊子、窒素、酸素」の三種を致死化させたハイブリッドボール。
ギフト(Gift)とは英語で贈り物、スペイン語で毒を意味する。
- 毒入りプール(ギフト・バート)
対象を致死未満のレベルまでに下げる空間を形成させる技。
作中では「霊子」に設定させ、交戦した一護と彼を助けに来たチャド、井上織姫の三人を重度の霊子中毒に陥れた。地に足が着くことが条件で、空中では射程内でもカウントされない。
劇中の行動
第一次瀞霊廷侵攻後
石田雨竜の次期後継者指名に不満を抱くバズビーを諌めるハッシュヴァルトだったがバズビーがつっかかり私闘が始まろうとしたところに毒入りボールを投げ込む形で彼らを諫める。
第二次精霊廷侵攻
「見えざる帝国」の二回目の侵攻で技術開発局に侵入するも、騎士団員が影から自由に出入りできることを看破し、局長室や自分にも影が出来ないよう対策を施した涅マユリが現れた為、マユリのことを面倒な相手と認識して撤退、交戦はしなかった。
その後はペペと共にグレミィと更木剣八の戦いをサンドイッチを食べながら観戦したり要所要所で登場。
VS零番隊
霊王宮においてユーハバッハの親衛隊として、瀞霊廷を襲撃していた騎士団の中で唯一召喚される。
他の騎士団員が特殊能力主体で戦う中、武器として久しぶりに弓を持ち出した。他の親衛隊が二枚屋王悦に一撃でやられる中、攻撃をぎりぎりで躱しており、能力に頼らないその実力がうかがえる。
能力で王悦を追い詰めるも麒麟寺天示郎が用意した対象者の血液を入れ替える「赤の湯」によって復活した王悦に切り伏せられて死亡。
しかし倒された直後、陛下の「聖別」により瀞霊廷に残された騎士団の力を得て復活。
アニメ版ではその後の戦闘が補完され、相手を変えて今度は麒麟寺と交戦。速力で劣りながらも器用に立ち回り、湯の中に混じらせた毒を踏ませて動きが鈍った所を背後から撃ち抜いて勝利する。
しかし卍解を解禁した修多羅千手丸によって、剣山のような金属に覆われて他の親衛隊共々封じられてしまった。
真世界城形成後
侵入者の討伐命令を受けて迎撃に向かうも一護らと鉢合わせした時は逃走するも追いかけてきたグリムジョーを毒入りボール(ギフト・バル)で戦闘不能に追い込む。
小さい頃教わらなかったか? 知らない人からモノ貰っちゃいけませんってな。ママの言いつけ守れないなんて アンタ 致命的だぜッ
再び一護の前に姿を現れて交戦。
能力を発動したジェラルドの姿を見ては親衛隊の事を少し話し、一護に向き直す。
そう思うだろ?一護
──────って
もう聞こえちゃいねェか
一護はナックルヴァールの毒入りプールによる霊子中毒で、うつぶせになって倒れていた。
助けに来た織姫、チャドも同様に行動不能に陥れるも背後にいた夜一と交戦。
遅れて駆け付けた四楓院夕四郎も加わり、2人からの瞬閧による攻撃を食らうも霊圧耐性をつけて、反撃に出て夕四郎を戦闘不能、夜一も毒入りボールの中毒で行動不能に追い込む。
が、浦原喜助が登場。
自身の能力の抗体を夜一に施され、さらに「瞬鬨・雷獣戦形 “瞬霳黒猫戦妃” 」となった夜一に自身の能力さえ通じず怒涛の猛攻の前に完聖体を発動。
一秒間に48回変化する黒猫戦妃夜一の霊圧も、この完聖体で一秒だけ攻撃を食らって解析し、全48種感染完了(コンプリート)。
さらに、猛毒領域(ギフト・ベライヒ)で浦原達の脱出を封じる。
ナックルヴァールの行動に疑問をもった浦原の問いかけに「陛下が3つの世界を壊し、新たに創った世界はどんなものなのか見てみたい」と答え、浦原にも誘うが科学者の理念としてその誘いを断る。
浦原の答えを聞いた後は彼を称賛するが敵という形で全力で始末することを選び、猛毒の指輪(ギフト・リング)で両目を即死させる。
この窮地に浦原は卍解を発動し、効果に圧倒されるが効果範囲が遠くない事を見抜き、結界内の毒の濃度をあげて倒しにかかるも、猛毒領域は「侵入は不可能ではない」という点を突かれて復活し、帰刃したグリムジョーを猛毒領域の中にいるナックルヴァールのもとに誘導するという策にグリムジョーに心臓を抉り取られて敗北。
浦原、夜一、グリムジョーの連携により倒されたが、最期の力を振り絞り相討ちに持ち込み死亡した。(殺害には失敗したが、倒して敵戦力は削いだ)
アンタにゃ敬意を表してえが……こればっかりはどうしようも無ェ……
アンタらにゃもう逃げる力なんざ残っちゃいねェだろう…すまねェな…
とは言え…アンタならきっと…何とかしちまうんだろうなあ…
全く……癪だから…致命的だとは……言わないでおくぜ……
余談
上記のような濃いキャラクター性から「致死量さん」「アスキンさん」と読者から慕われている。
浦原さんを戦闘不能状態にまで追い込んだことから、はんぺん形態の藍染惣右介よりも強いかもしれない(超越者藍染も浦原さんを倒してはいるが、無月の頃には普通に復帰しており、戦闘不能にまでは追い込めていない)。
小説『Can't Fear Your Own World』では出番こそなかったが、ナジャークープの口から名前と、もし彼がこの場にいたら何と言ったかを想像した台詞「アンタ、致命的だぜ」のみ登場した。
ソーシャルゲーム『BLEACH Brave Souls』で星十字騎士団の第一弾参戦メンバーとしてバンビエッタ、キャンディスと共にプレイアブル参戦。