機体データ
型式番号 | MVF-M11C |
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全高 | 17.82m |
重量 | 46.88t |
装甲 | 不明 |
動力 | バッテリー |
開発 | モルゲンレーテ社 |
所属 | オーブ国防軍 |
武装 |
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概要
第1次連合・プラント大戦においては沿岸部~上陸後の水際防衛を主軸としていたオーブ軍であったが、陸地を主体とした防衛ドクトリンはリスクが増大した事から、オーブの国境線たる領海以遠への外征が可能な戦力が必要とされた。その流れで短距離飛行型のM1アストレイから、本格的な可変航空型MSであるムラサメが開発された。
M1アストレイの後継主力機として開発されたため、陸戦能力は同機のそれを受け継ぐ。ただし、戦闘機型モビルアーマー(MA)形態への変形機構を採用している。イージスを製造したオーブだけあって同時代の他勢力の機体よりも構造が複雑化している。汎用機としては原型以上に優秀な機体であり、MS形態でも重力下での単体飛行が可能なほどの推力を持ち、更にMA形態での高速戦闘や長距離移動もこなせる。また、国土の防衛が目的であるが汎用性も考慮されており、宇宙空間での運用も可能である。
また、飛行性能向上のためにただでさえ軽量なM1アストレイから更なる軽量化が施されており、そこにMA形態への変形機構も合わさって、機動性、加速能力、航続距離などあらゆる点においてかなり高いレベルを獲得しており、可変機としては連合・ザフト双方の機体と比較してもトップクラスの性能を誇る。武装面の火力も十分あるため、ザフトのザク系MSや地球連合軍のウィンダムなどの最新鋭量産型MSと互角に渡り合える。劇中ではさらに、イケヤ・ゴウ・ニシザワの3機編隊が連携戦法で地球連合軍のカオスを撃破する大金星も挙げた。
モルゲンレーテ社は本機の開発により蓄積した戦闘機型可変機のノウハウを活かしてイモータルジャスティスとライジングフリーダムを開発している。なお、両機とも腹部にシールドを設置するという点こそ共通だが、専用の機首パーツを用いて頭部を覆うことにより機体本体の変形を最小限に抑える仕様となっている。
機体構成
頭部
形状はM1アストレイとほぼ共通している。
胴体部
左の腰部サイドアーマーの側面に「70J式改ビームサーベル」用のマイントラッチを備えている(マウント方式はストライクフリーダムと酷似している)。
腰部フロントアーマーの内部には「68A式空対空ミサイル ハヤテ」用のミサイルポッドが搭載されている。
コックピット
従来のMSと同じく腹部に搭載されている。一方、本機が戦艦に収容されている時はMA形態であり、この時コックピットハッチが機首の根本上面に移動するため、乗降用のワイヤーロープなどは用意されていない。
内装は2年前に開発された初期GAT-Xシリーズから続く神経接合方式用の共通仕様となっている。
変形構造
腹部にシールドを設置することにより底部とし、脚部を少し折り畳み、頭部を胴部へ格納することにより変形する。この形態で戦艦に着艦できるように下部にライディングギアを装備している。
武装
M2M5D 12.5mm自動近接防御火器
同時期の連合製MSにも採用されている近接防御機関砲。頭部に2門、左右の主翼基部に2門ずつの計6門を装備する。
口径こそM1アストレイに搭載される「75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン」の6分の1しかないが、弾芯や装薬の改良によって威力の低下は2分の1に抑えられている。
72式改ビームライフル「イカヅチ」
中距離射撃用のビームライフル。
M1アストレイに装備された「71式ビームライフル」をベースに開発されたムラサメ専用装備であり、フォアグリップが廃止され、ベースよりも破壊力・運用性が向上している。
MS形態時の主武装として使用される他、MA形態時にも右翼の根元下部にマウントされることにより固定砲台(マウントラックの可動により、ある程度の射角は確保可能)としても使用できる。MS形態時はトリガーを引くことで作動させるが、MA形態時はマウントを介して発射信号を送り、作動させる。
シールド
対ビームコーティングが施されたシールド。M1アストレイやストライクに装備された「対ビームシールド」の改良型。
MA時の機首を兼ねており、内部には着陸脚も収納されている。作戦行動中にこの装備を失った機体はMA形態に変形できず、以後はMS形態のみでの行動に制約される。
70J式改ビームサーベル
左腰部に1本装備されているビームサーベル。M1アストレイに搭載されていた「70式ビームサーベル」の改良型。
改良によって整備性・信頼性が向上し、省電力化を図ったことと併せ、70式に比べて30%から40%の駆動時間延伸に成功した。
72式高エネルギービーム砲
背部スタビレーターに1門装備されるビーム砲。
機体と同時開発された装備であり、MA形態時の主砲として使用される。出力は「イカズチ」とほぼ同等である。MS形態時の使用はできないが、電源が切断される形で安全装置がかけられた状態になるため暴発の心配はない。
68A式空対空ミサイル「ハヤテ」
C.E.66年にオーブが制式化した国産空対空ミサイル。左右の腰部フロントアーマーに2門ずつ計4門内装された発射筒に装填されている。
MA形態時で特に重宝され、在来航空機などの軽装甲航空目標に対しては絶大な威力を誇る。
空対地ミサイル「ドラッヘASM」
海上の艦船や地上の拠点への攻撃などに用いるミサイル。「ドラッヘ (Drache) 」とはドイツ語で「竜」を意味する。
左右の主翼下に2か所ずつ設けられたハードポイントへ合計4発を装備できる。また、地球連合軍製のMS用飛行オプション装備AQM/E-A4E1 ジェットストライカーに搭載されているものと同規格にあたる。
バリエーション
ムラサメ(アンドリュー・バルトフェルド専用機)
型式番号MVF-M11C。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場。
MS戦力を実質キラ・ヤマトのフリーダムに頼り切りだった状況を少しでも補うべく、前線復帰したアンドリュー・バルトフェルドが乗り込んだムラサメのカラーバリエーション。
かつての彼の異名である『砂漠の虎』にあやかり、黄色系統のカラーリングに染められている。
機体色と片腕を失ったバルトフェルドでも操縦出来るようコクピットが改修されている点以外は、通常のムラサメと全く性能の差ははない。
バルトフェルドが宇宙に上がった後はアークエンジェルに保管されていたが、カガリ・ユラ・アスハがアカツキで凱旋する際にレドニル・キサカが随伴するため搭乗した。
ムラサメ偵察型
型式番号MVF-M11C。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場。
偵察や情報収集に用いるべくムラサメを改修したバリエーション機。背部にレドームを装備しており、その都合上ビーム砲が廃されているが、それ以外に通常のムラサメとの大きな仕様差はない。
オオツキガタ
型式番号MVF-M12A。
雑誌企画『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV』に登場。
ムラサメを元に開発された、宇宙戦に特化した可変MS。
ムラサメ改
型式番号STTS/F-400。
映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場。
本機の基本構造や武装を踏襲しつつ、形状や変形機構をアップデートした改修機。機翼の形状が前進翼から後退翼へ変化している。
余談
前任のM1アストレイ同様、(OSの都合上)ガンダム顔なのにガンダムとは呼ばれない量産機な上、しかも複雑な可変機構を持ちながら普通に量産されているという、それまでのシリーズの常識を打ち破ったMS。
その変形方法はΖガンダムの大気圏内用飛行装備であるウェイブシューターそのままである。ウェイブシューター方式の変形はフライングアーマーを下面に覆えない構造であるため、剥き出しになる部位はシールドでカバーする形式をとった。また、Zの変形では何気に面倒なフロントアーマーの格納は行わず、腕部収納はフロントアーマーブロックを開いて再度折り畳む方式をとっている。
宇宙世紀では終ぞ本格的な量産ができなかったこの可変機構を普通に量産できたオーブの技術力に驚いたファンもいたのではなかろうか。
このように、後発だけあって元ネタの可変プロセスを洗練してはいるのだが、如何せんZタイプの変形は立体ではスケールが小型であるほどに強度不足の問題が発生するため、差し替えが基本となっている(これはこれでポージングとディスプレイが両立できるメリットもあるが)。
ちなみに、変形スタイルはZガンダム系列とほぼ同じであるため、模型誌では1/100スケールをスクラッチする際に1/100ガンダムアストレイのキットとMGのZプラス系キットをニコイチする手法がとられることもあった。
カオスガンダムを撃墜したイケヤ(CV:望月健一)、ゴウ(CV:小田久史)、ニシザワ(CV:高橋裕吾)の三名はその後の劇場版にも全員台詞無しだが登場。
キサカと共にラクス・クライン救出の為の白兵戦に参加した。
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