『藍の円盤』ネタバレ注意
概要
テラパゴスがステラテラスタルした姿にして、DLCのタイトルになっている「ゼロの秘宝」の正体。
そして「藍の円盤」のラスボスである。
経緯
当初テラパゴスは長い休眠状態に入っており、エリアゼロの最深部・ゼロの大空洞の最奥に、小さな六角形の石となって眠っていた。
最深部に辿り着いた主人公一向がテラパゴスを眠りを覚ます方法を探す中、未だ主人公に勝つ事に固執するスグリによって掘り出された事で目を覚まし、そのままマスターボールで捕獲される。
そのまま「藍の円盤 テラパゴス」としてポケモンバトルをする事になるのだが、まだ力の半分も出しきれていないテラスタルフォルムであったため、あっさり倒されたことでいったんは気絶。
ブライアに「テラスタルエネルギーが足りないのではないか」と指摘され、すぐさま実行するよう煽られたスグリはテラパゴスを即座にテラスタルさせ、結果ステラフォルムにする事に成功。
だが、気絶した状態で無理やりエネルギーを供給させた結果、パニックに陥ったテラパゴスは暴走。
慌てたスグリはテラパゴスをボールに戻そうとするが、何とテラスシールドで回収光線を防ぐどころか、マスターボールを破壊してスグリから事実上逃げてしまった。
結果的にはネクロズマやムゲンダイナ同様、人間の欲望のせいで本来であれば大人しい伝説ポケモンが暴走し、災厄と化してしまった形である。
このままテラパゴスを放っておけば大変なことになると、主人公とゼイユは先陣を切り「ゼロの秘宝 テラパゴス」との戦闘に臨む。
戦闘
「ゼロの秘宝」との戦闘はともっこさまとの戦闘と同じくゼイユとタッグを組んでの戦いになるが、このバトルはなんとテラレイドバトルとほぼ同じ仕様である。
テラパゴスは戦闘開始時にエネルギーを集め、レイドボスのようにHPを保護するバリアを張るため、テラスタルしていないポケモンの攻撃ダメージを大きく軽減してしまう。
ただし通常のテラレイドと違い、テラスタルしたポケモンで攻撃すると猛攻に耐え切れず態勢を崩し、バリアが解除されるため普通に攻撃が通るようになる。また、全体攻撃技が味方に当たるのも地味に通常のテラレイドと異なる点。
極め付けはテラスタルしたターンの終了時には何とエネルギーを奪い取ってテラスタルを強制的に解除してしまう。つまり事実上テラスタルが1ターンしか持たない。
しかし、空間内の膨大なテラスタルエネルギーの恩恵により、ターンが過ぎると再びテラスタルが可能になるため、事実上「テラスタルで攻撃」「テラスタルで防御」の応酬となる。
また、エネルギーを吸収する度に自らのタイプを変化させてくる(一回目→エスパー、2回目→みず)。分からなくても、背景の結晶の色を見れば判別可能。
テラパゴスは専用技「テラクラスター」を中心に「しねんのずつき」などで猛攻をしかけて来るので、ゼイユのヤバソチャが支援してくれるとは言え消耗が激しくなりがち。
しかも、テラパゴスの居るエリアまでの過程でゼイユに話しかけ続けているとわかるのだが、この時点で瀕死を免れているゼイユの手持ちはヤバソチャのみであり、そのヤバソチャも1度目のバリアを貼られる前後で強制的に瀕死に追い込まれる(有志の検証により、何らかの手段で「がんじょう」「きあいのタスキ」をヤバソチャに持たせて発動しても、発動した上で必ず戦闘不能になると判明している)ため、主人公は孤立無援の状態に追い込まれてしまう。
しかしゼイユの必死の激励、主人公の呼びかけによって2度目のバリア破壊と同時に覚悟を決めたスグリが加わり、カミツオロチで加勢してくれる。こちらは6匹フルメンバーなので、よほどの事がない限りバトル終了まで脱落する事はないだろう。
HPを赤ゲージまで削るとテラスエネルギーの吸収とバリア展開が出来なくなり、見事撃破するとノーマルフォルムに戻り確定捕獲チャンスとなる。好きなボールに収めることが可能なので、ボールの種類に拘りたいのであれば事前に準備しておくこと。
なお、DLC前編のオーガポンと同様、性格と個体値は完全に固定されており、一連の演出に繋がる関係上、厳選は不可能。
性格はがんばりや、個体値はこうげきが「まあまあ」で他が「さいこう」となっている(所謂A2 5V個体)。性別もオス固定で、データ上はメスもいるが、色違い同様ブロックルーチンが掛かっており出現しない。
入手時のレベルは85。当初は本作の野生ポケモンの中で最も高かったが、後に登場したとあるポケモンにすぐ塗り替えられた。(他にも、キタカミの里の鬼角岩の近くの池にレベル100程度のコイキングが出現する。)
捕獲し終えるとエンディングが流れてDLC後編のストーリーはクリア。
また、ブルーベリー学園に戻った後でブライアに話しかけると、地上よりも膨大なテラスタルエネルギーに当てられ続けた影響で、主人公の持つテラスタルオーブの性質が変化したことを告げられ、その後はチャージなしでテラスタルオーブを使うことができるようになる。さらに、エリアゼロでの一連の調査結果をまとめた著書「ゼロの秘宝」を手渡される。
そして、学園でのブライアとのやり取りを終え、テラパゴスをキタカミの里のてらす池に連れて行くと、あるイベントが発生する。
戦闘BGM
正式曲名:「戦闘!ゼロの秘宝 テラパゴス」
作曲者:一之瀬剛
本編におけるオーリムAI/フトゥーAIとの戦闘曲「戦闘!ゼロラボ」のアレンジであるほか、エリアゼロのBGM特有のコーラスも含まれている。
中盤の箇所には18/4拍子というとてつもない変拍子が使われているが、これはポケモン全18タイプと同じ数、つまりテラパゴスが全てのタイプの力を持つ存在であることを示しているのではないかと考えられている。
スグリが加勢するシーンになると曲調が変化。テラレイドバトルのBGMのフレーズが大々的に使われ、負ける気がしない戦いを後押ししてくれる。
楽器を変えつつも分散和音が多用されており、これはゲーム音楽としては特に同時に使える音数の少なかったゲームボーイぐらいの時代に多くみられた特徴である。そしてそれとは別に時折ゲームボーイを強く意識したであろう音色で構成されたノイズも挿入されており、明らかに9世代のBGMでありながらも曲全体を通して初代のBGMを連想させる演出が為されているといえる。
かつて古代/未来に憧れた博士たちの造り上げたタイムマシンが、ゲームボーイに酷似した構造を一部有していることに、きっと無関係ではないだろう。
余談
「藍の円盤」では早くからエリアゼロにも再びスポットが当てられることが明言されていたことから、プレイヤーの間ではパラドックスポケモンやテラスタルの秘密といった、ストーリーの根幹に関わる謎が遂に明かされるものと期待されており、恐らくはテラスタルの根幹であろうテラパゴスがストーリー内で重要な役割を果たすものと推測されていた。
しかし実際に蓋を開けてみると、主人公とスグリの因縁にストーリー全体の比重が割かれており、本編や前編で提示された伏線の数々が未回収のまま終わってしまった為、特に設定面の補強を期待していたプレイヤーを大いに落胆させることになった。
配信前には幾つかのキャラが黒幕を疑われていたが、作品全体を通して観ても、せいぜいスグリが暴走したか、ともっこたちに黒幕がいたくらいで、プレイヤーが期待していたような大それた悪役がいなかった点も物語の規模の小ささに拍車をかけてしまっている。
テラパゴスに関しても、発売前からDLCの目玉の1つとして話題になっていたポケモンの1匹だったが、「共に冒険する仲間」としてプレイヤーから多大な愛着を得たコライドン・ミライドンやオーガポンとは異なり、ストーリー内では碌に交流する事がなく、設定の掘り下げも殆どされなかったため、テラパゴスがどんな存在だったのかは、両バージョンの図鑑説明を完読しなければ読み解くことが出来なくなってしまっている。
これについては「アニメ若しくは将来的にLEGENDSシリーズの方で補完することにしたのではないか」「へんげのどうくつの様な、ゲーフリ定番のお蔵入り要素となってしまったのか」等、様々な憶測を呼んでいる。
ファンが過剰な期待を抱きすぎたのか、開発側が現時点でそこまで深く設定を考えていなかったのか…。
真相はどうあれ、ここ最近の開発側とプレイヤーの温度差を示す事例の1つとなってしまったことは間違いないだろう。