概要
鉄道駅のホーム(プラットホーム)に設けられたドアのことである。
(不意の)落下事故などを防ぐことを目的に設けられている。
地方では新幹線を除き珍しいので修学旅行で驚かれることもしばしば。
メイン画像は天井まで仕切られたタイプ。海外の路線では天井までか、首の高さ程度まであることが多い。
しかし日本での主流は約半分の高さのみをカバーするホームゲートタイプ。不意の落下事故を防ぐという目的ではこれでも十分であるためである。また全面タイプの場合、既存のホームが(補強しても)ホームドアの重量に耐えられない、予算や工期の関係で新規路線以外の導入が極めて困難であることに起因している(逆に韓国ソウルメトロでは3年間で既存駅も含む全ての路線・全ての駅・全てのホームに全面タイプを完全設置しており、一概には言えない)。
ただやはり中途半端な感じは否めず、乗り出した場合最悪即死してしまうため、ホームドアがあるのに警報音を鳴らすという本末転倒な状況になっている路線もある。
仕切りがあることでホームの端だということをつい忘れがちだが、くれぐれも手や顔を出したりしないように。また、駅員が安全確認のためホーム端をチェックする為、柵近くで長時間佇むのもいただけない。
▼以下が天井まで仕切られていないタイプ。
東日本と西日本で閉め方が違う。東日本は電車ドアと同時で閉め、西日本は別々で閉める事が多い。
撮り鉄の悩み
天井まで仕切られるタイプは世界的に新しい路線で採用されており、日本では新交通システムを中心に数例がある。
ただ鉄オタ的には撮影が難しくなるという問題がある。例えばこのために京都市交通局の50系車両は写真撮影が日本一困難となっている。
なおホームゲートタイプの駅であっても、上記のようにホームゲートに設置されているセンサーが動作して電車を止めてしまう場合もあるため、撮影の際にホームゲートに寄りかかったりカメラを載せての撮影は絶対にやってはいけない(最悪往来妨害罪などの刑事罰が適用されることもある)。
いずれにせよホームドアが原因で撮りにくくなる被写体となる鉄道車両は主に(オールロングシートの)通勤型車両がメインである。ではどうやって撮るのかというと以下の方法が考えられる。
- ホームドアのない駅で撮る
- ホームドアはあるがプラットホームが相対式の駅で撮る
- 走行中の車両を撮る
- 鉄道会社が開催するイベントで撮る。
また上記の通り中途半端な構造であることが祟って、ホームドア導入と並行して発着警報音が強化されることが多く、走行音を録音する音鉄にも影響は及んでいる。
デメリット
- 設置に多大なコストがかかる(最大の問題)。
- 停車位置がずれるとドアが開けられず、遅れが発生しやすい。2021年に京王線で発生した通り魔・放火事件では、停車位置のズレのためドア自体を開けることができず、乗客が窓からホームドア擁壁をまたいで避難している。
- ホームドアの規格に合った車両しか使えない(ロープ式で多少は解決可能するが、その分、事故抑止効果は激減する)。
- 半分タイプの場合、かえってプラットホームが狭くなる。
- 転落事故は防げても、ドアに挟またり巻き込まれたりする事故が発生する(ホームドアがあってもホームと車両の間に隙間があると子供の転落事故が生じる可能性がある)。
- 乗降時間の増大につながる(特に駆け込み乗車による再開閉)。
- 誤乗防止のためのラインカラーの塗り分けや横帯がわかりにくい。山手線のE235系が縦帯になったのはこのため。
- ラッピング広告、ホームの広告の効果が減る(そのかわりホームドアに広告を付けられる)。
保安装置
停車位置がずれないようにするために、線路側や車両側に保安装置が取り入れられている。
- 自動列車運転装置(automatic train operation:ATO)
- 地上の線路に設置されている地上子から地点情報を受信し、列車速度情報と照らし合わせ、車両側の車上装置にあらかじめ記録されている駅間距離情報や運転パターンに基づいた運転を行う。無人運転のタイプと運転士が乗務するタイプがある。運転士が乗務する場合ドアの開閉は運転台の横で行う。
- 新交通システムのほとんど、札幌市営地下鉄、仙台市営地下鉄、東京メトロ丸ノ内線・千代田線・有楽町線・副都心線・南北線、都営三田線、都営大江戸線、Osaka Metro長堀鶴見緑地線・千日前線、福岡市地下鉄、ドバイメトロ、パリメトロ14号線、サンフランシスコのBARTなどで採用。
- 停車駅に近づくと、ブレーキパターン制御を開始する地上子から停車位置にある定位置停止地上子までの距離を受信し、列車はブレーキパターン制御を開始。その後2つある地上子から残りの距離情報を受信し、列車側が記録している残り距離との食い違いを補正、速度と正確な距離に基づいてブレーキをかける。停車位置の地上子に列車が停車すると、目標の許容範囲を超えてずれている場合は位置修正、目標位置であれば車両側で転動防止ブレーキをかけ、列車の運行番号、行き先などの情報を地上に送信する。その後車両側の指令でホームドアが開き、車両のドアも開く。運行管理システムから出発指示が出て、ホームドアと車両のドアのどちらもすべて閉まったことをなど条件がそろうと、列車は出発できる。出発後は自動的に目標速度まで加速、そのままの速度で運転を行い、次の停車駅に近づけば自動で止まる。
- 定位置停止装置(train automatic stop-position controller:TASC)
- 運転士の技量に依存
なお、ATOやTASCが設置されている路線でも運転士の技量確保のため、列車を指定して手動運転を行う他、当然ながら見習い期間中の運転士も手動運転である。(各駅ごとに停止位置修正が続くとガチ泣きしたくなる……らしい)