「好きなんだ。生まれついて…。そういうのが」
解説
「新しい血族」を組織し、それ以外の人間の殲滅を企てた首領にして『絶対悪』。
名前の由来は「six(6)」と、病的な悪意という意味の「sicks」を掛け合わせたもの。
絶対悪と呼ばれている男で、新しい血族の最先端に位置する者。本作の黒幕にして脳噛ネウロの最後にして最大の敵である。
人物
祖先は約7000年前から武器製造(鍛冶屋)を営んでおり、職業柄人を殺傷する手段だけを考え続け、そのために必要な悪意の強いものに家督を継がせていった結果、代を経るごとに脳構造においてより『悪意』の定向進化が進んでいき、ついには外見こそ人間なのにDNAレベルで根本的に人間と異なる、常人には耐えられぬ強い悪意を持った新種が生まれるに至った。
絶対悪の名に相応しくその悪意の強さは筋金入りで、性格は「超」が付くほどの冷酷無比なサディスト。
生後間もなく父に握らされたカミソリで部屋の他の新生児達の頸動脈を掻き切って全員殺害、更には2歳の時に母親を、5歳の時に父親をも殺害している。
更には葛西善二郎でさえ怪しく心を揺さぶられた電子ドラッグも、「これのどこに人を惑わせる要素があるのかな?」とニヤニヤ笑いながら疑問に思っただけで全く効かない。
底なしの悪意を常に誰かに向けずにはいられず、嫌がらせで人の苦悶の表情を見ながら殺すことが心の底から大好きで、部下をも余興代わりに殺害する。
よって彼が他者に向ける価値は「自分を楽しませる玩具であるか否か」の1点のみ。
それは彼の懐刀である五本指であっても例外はなく、その内の一人であるDRは「普通の部下より強い使える捨て駒」程度にしか認識していなかった。
また、能力・成果至上主義でもあり、自分を不快にさせた部下や敗北した部下はたとえどんな状況であっても一切の躊躇いもなく殺害してしまう。
他人が不快になることにも楽しみを見いだせるため、下記の「茶会」でネウロから不快にされたと聞かされた際は「ありがとう。最高の誉め言葉だ」と楽しそうに返していた。
自らが「新しい血族」と見なした約100人以外の人類は全て滅ぶべきと考えており、それ以外の人間を滅亡させるために様々な大規模な殺戮、テロ行為を平然と行う。そして人間から生まれる謎を食糧源としているネウロは自らの食料である人間を守るために、シックスと人類の存亡をかけた戦いを始める。
シックスを蛇蝎のごとく忌み嫌っているネウロも、上記の彼の一族が成し遂げた進化自体は(一応)認めており「我輩は貴様に…ある種の感動を覚えている。人間は「悪意」にせよ何にせよ結果としてここまで進化できるのだと」「それだけの悪意を持っていれば究極の『謎』も作れたかもしれない」と最大級の賞賛を贈った上で、シックスの存在を間違った進化だと断じ、シックス抹殺に踏み切っている。
表向きの顔は世界最大の兵器メーカー「ヘキサクス」の会長兼死の商人ゾディア・キューブリック(この名が本名なのかどうかは不明。由来は「ゾディアック」と六面体を意味する「キューブ」を掛け合わせたものと思われる)。世界中に武器を売り込む一方で、製薬会社「グリーンX」の地下実験施設にて非人道的な人体実験を指導している。
また、日本の警察・軍事のトップとは「友人」として癒着関係にあるため、日本での悪行は罪に問われることはない。
怪盗Xの生みの親であるが、親としての愛情は皆無であり、ただの道具としてしか見ていない上、過去に秘密を探ろうとしたジャーナリストである父親と家族を惨殺して笹塚衛士が復讐に囚われるきっかけとなり、本城刹那を死に追いやり「電人HAL」が誕生する原因を作った張本人でもある。
一方絶大なカリスマ性の持ち主であり、人の心の隙間に巧みに入り込みその悪の魅力で多くの人間を虜にし、他の血族や信奉者達はその底知れぬ悪意に恐怖と魅力を感じ、結果として彼らの絶対的な崇拝心に繋がっている。
能力
「五本指全ての能力」を使える(劇中で使ったのはDR、テラ、ヴァイジャヤの能力)他、「合金と強化細胞の結合技術」を体に組み込んでおり、細胞を金属に変えることができる。
桂木弥子は「何千倍も強化された『元』人間」、ネウロも「フルパワーの我が輩でも手こずる相手」とすら評している。
また自分の周りにいる人間達を無力化させられるほどの強烈なプレッシャーを発したり、瞬間記憶能力により拷問で聞き出した相手の経験・能力・行動パターンを“覚え”、剥ぎ取った相手の頭の皮を被ることで完全になり済ますこともできる。
ネウロからは「弱点を的確に突き、相手より優位に立つことに関しては天才」と言われ、その能力は魔人でも適合する程である。
作中の行動
初登場時は自らの分身であり子供である怪盗Xを確保する為、アンドリュー・シクソンに成り済ますべくアンドリューを拉致し、アンドリューに対して身の毛のよだつような拷問を行い、アンドリューに関すること全てを瞬間記憶能力で覚えた後、本物のアンドリューから剥ぎ取った頭皮を変装マスクにして被っていた。
表向きは日本警察に接触・協力し、ネウロとXの二度目となる決戦後に本性を現し、Xのパートナーだったアイの蟀谷をピンポイントで撃ち抜き銃殺。
並びにアイが操縦していたヘリコプターを墜落させ、Xを確保した後、予め準備していたジェット機に捕まりその場を離脱した(本性を現した際に脱ぎ捨てたアンドリューの頭皮は日本警察に証拠品として回収された)。
その事件後ネウロを茶会(弥子曰く「ドSサミット」)に誘うが、彼との対談を通して人間に対する思想の違いで交渉は決裂しお互いを倒すべき敵と判断、ネウロと人類の支配権を賭けて組織を通しての死闘を繰り広げる事になる。
人類を効率良く殺す為、血族の人間の一人であるDRに堤防を破壊させ、大勢の人間を人為的な洪水に巻き込み溺死させたり、その後も(ネウロの活躍によって未遂で終わるが)大規模なテロを次々と企てる。
更に物語が進むと前エピソードのボス「電人HAL」が事件を起こすに至った原因である本城刹那の死因が彼の人体実験によるものだったと判明する。実験自体は失敗する事は目に見えていたのだが、「娘を人体実験に差し出す苦しみに歪む父親の顔を見たかったから」という理由でそれを強行した。
また笹塚の家族を殺害したのもシックスの仕業であり、自分たちが行っている非人道的な人体実験の情報を掴んでしまった笹塚の両親を消す為にした事であった。その事を知った笹塚に襲撃されるもシックスの手によって復活し『再教育』した怪盗XであるXI(イレブン)とともに返り討ちにする。
さらにタチの悪い事に、この笹塚の行動に関しても『遺族にあえて自分の情報を流して、いかに自分に辿り着けるか』という遊び(曰く「釣り」)の一環である事をこの時彼に明かしている。
しかしその後、笹塚を殺されて怒りに燃える笛吹達の働きによりテロの首謀者である事を全国的に報道されたことで全国指名手配され、国外への脱出ルートを全て封鎖され、更に国際指名手配も確定となり、やむなく国内にあるアジトに潜伏するが、本城二三男が遺した情報を得たネウロ達の活躍によりアジトを突きとめられ、アジトに乗り込んできたネウロ達と正面対決。XIと共にネウロを圧倒し追い詰めるが、弥子の説得によりかつての心を取り戻した怪盗Xによって、自らに埋め込んだ強化細胞と金属の制御を担う心臓を奪われる。
その後、裏切ったXを「躾」と称して仕込んでおいた自爆装置と剣による袈裟斬りで始末し、ジェット機で退却するが、最後には追跡してきたネウロとステルスジェット機上で壮絶な戦闘を繰り広げネウロを瀕死に追い詰める。
しかし食料源である人間を守るために自らの命を捨てる覚悟をして出現させた魔帝7ッ兵器『二次元の刃』により身体を切り刻まれた挙げ句、脳に魔力を注入されて激痛で動けなくなったうえに身体を空中に放り出され、爆撃機で突撃してきたネウロの靴をその全身で舐めさせられ、最高の屈辱を受けた末に粉微塵となって絶命した。
死ぬ寸前に何かを口に出そうとしていたが、「あ」としか言えないまま死んだため、何を言おうとしていたのかは不明。
なお、ネウロがこの処刑法を選んだのかと言うと「並外れた悪意を持っているためネウロが何をしようとしているのかを瞬時に察知してしまう」「同時に頭の回転も早いので自分がその状況から逃れられない事を自覚してしまう」「しかし、同様に悪意が強過ぎるため、そういった状況で出来ることといえばあらん限りの罵倒を吐き出すことしかできない」「そしてここまで全てネウロの計算、計画通り」であり「それを自覚して屈辱に塗れながら靴を舐めさせられる」と徹底的にその尊厳を踏み躙り虫ケラ以下の存在に貶めるためである。
絶対的な服従を示す「靴を舐める」という行為は、互いに最高のドSであるネウロとシックスの決着としてはこれ以上ないものだと言える。なお、作中で(弥子に舐めさせようとしたことは何度かあったが)ネウロの靴を舐めたのはシックスのみである。
ちなみにシックスが倒されたのは第199話。刑法199条は『殺人罪』である。
余談
作者によると、「悲しい過去を全く持たない、ただ嫌われるためだけの存在として描いた」とのこと。
シックスの末路に関して当時の読者は「もっと苦しんでほしかった」という意見が見られ、作者の思惑的には成功したと言える。
ちなみに意図したかは定かでは無いがシックスは『頭に魔力を注がれる』『顔と腕を残してその他の部位を軒並み失う』『足蹴にされる』とネウロと対峙した血族の末路と似たようなやり方で処されている。
関連タグ
魔人探偵脳噛ネウロ 絶対悪 死の商人 黒幕 全ての元凶 テロリスト 新しい血族
他作品類似キャラ
シックス本人をモデルにして生み出されたキャラクター。一応こちらは主人公の味方なのだが、実は彼がやらかした所業はシックスにひけを取らなかったりする…