これは「呪い」を解く物語───。
概要
集英社の青年向け漫画雑誌「ウルトラジャンプ」に2011年5月から2021年8月まで連載されていた、『ジョジョの奇妙な冒険』の第8部。
舞台は第4部『ダイヤモンドは砕けない』と同じ杜王町である。時間軸は第7部『スティール・ボール・ラン』と直接つながっている為、そこでの重要な設定が一部引き継がれている。
物語の端々にそれまでの部を彷彿とさせるような描写があり、これまでのジョジョ作品に比べてセクシャルなシーンが多い(第7部からそうした傾向が強くなりつつあった。恐らく、掲載誌が青年向け雑誌に変更されたのも要因と思われる)。また、スタンドによるバトルと並行して「謎解き」というミステリー要素が強く含まれているのも、他の部には見られないことも大きな特徴。
また、バトルシーンにおいては、スタンド以外の要素として岩人間と岩動物という新たな要素が追加され、第1部から第2部に見られた人間以外の未知の生物との戦いに主軸が置かれている。第7部の回転という技術や肉弾戦に重点を置いた構成とはまた別の原点回帰を意識した構成となっている。
単行本二巻の作者コメントによれば、「ジョジョ」+「エウアンゲリオン(「福音」という意味のラテン語、エヴァンゲリオンとも)」=ジョジョリオンとの事。
連載していた期間は10年で、実はジョジョシリーズでは最も長く連載が続いていた部である。
また、第1部から第7部までシリーズを通し登場していたディオが、唯一一切関連しない部となっている。
あらすじ
3月11日に起きた地震がもとで杜王町にはのちに「壁の目」とよばれる地面の隆起が起きた。
そこで広瀬康穂は、全裸のまま土に埋まっていた一人の青年と出会う。
自分に関わる記憶を全て失っていた青年・東方定助は、彼を気にかける康穂の協力を得て、自らの正体と過去を探るべく杜王町を奔走する。
「東方家に代々伝わる病」、「岩人間」、「等価交換の果実:ロカカカ」等、次々に現れる謎が定助を待ち受ける。
本作の重要用語
2011年の東日本大震災によって隆起した謎の断層。
この部の主人公である東方定助が発見された場所であり、同時にとある特殊な現象が発生する場所でもある。
物語中盤で後述のロカカカと強いつながりを持っていることが発覚する。
物語序盤におけるキーワードとなっている。
特殊な植物、およびその植物が付ける果実。
本作における最重要のキーアイテムであり、全編を通してこのロカカカの争奪戦が話の主軸となる。
いわば、第7部における聖なる遺体。
人間によく似た姿だが、人間とは全く異なる性質・成長過程を持つ異種族。
種族の特性としてスタンドとは別の能力を持ち、その能力に加えてスタンドを駆使して戦う。
岩人間と何らかの関係があるとされる生物。
こちらも現実の生物にはない特殊な能力を持っている為、岩人間の中にはスタンドとは別に昆虫などの比較的小型の岩動物を飼っておき、自身のスタンドと組み合わせて戦う。
主要な登場人物
※CVはASB・EOH版
声 - 真殿光昭
今作の主人公。
「壁の目」近くの地中から全裸姿で発見された記憶喪失の青年。
すきっ歯でアソコの部位が4つあり、距離や物の正確な大きさを目測で当てる特技を持つ。
「定助」の名は康穂が昔飼っていた犬の「ジョースケ」になんとなく似ていることから、仮名として名付けられたもの。
声 - 喜多村英梨
女子大生で社会学部の1年生。19歳。
「壁の目」の近くにいたところ、地面に埋まっていた裸の青年(定助)を発見する。それが縁となり、彼の正体をつきとめる調査に同行する。
母子家庭で、自堕落な母親の愛情をあまり受けていないため、自分の居場所がどこにもないと思っている。
「まめずく らい」。東方憲助専属の植物鑑定人。
彼の存在は企業秘密であり憲助以外は知らなかったようである。冬の時期以外をスキーリフトで暮らしたり、いきなりロマノフ作りを始めたりする変人。自分の育てたイチゴを買い取ってくれる憲助には多大な信頼を寄せており彼のためにのみ動いている。
享年29歳。船医。
ナルシストであいまいなことを嫌っていた謎の男。劇中ではすでに心筋梗塞で死亡しており、遺体は定助の埋まっていた所の下から、全裸状態で発見された。
広瀬康穂の調べで、東方定助とほぼ同一のDNAであることが明らかになる。
吉良吉影の母親。52歳。
『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部の空条ホリィと同名のキャラ。こちらでは、第7部の主人公ジョニィ・ジョースターの子孫である。元々はTG大学病院に勤務していた医者だったが謎の病に襲われ現在は入院中。定助たちは彼女を助けるために行動している。
- 空条仗世文 / ソフト&ウェット
T学院農学部所属の学生。19歳。
首元に星の痣があり、4部主人公の東方仗助に似た容姿をしている。吉良親子とは過去にとある接点がある。定助の過去を知る上で非常に重要な人物であることは間違いないようだ。
東方家の長男。32歳。
ビジネスマンとして世界中を飛び回っている。また毎日が夏休みだと思っており、クワガタムシと相田みつををこよなく愛する。表向きはいい人柄だがプライドは高い。憲助とは仲が良いが、彼の経営方針には不満と危機感を抱いている。
何か裏で良からぬ事に関わっているようで...?
声 - 井口裕香
常敏と密葉の息子。9歳。漢字では「剣」と書く。由来はトランプの「スペード」。
とある理由で女装している。ダジャレが大好き。また康穂に好意を寄せている。東方家の人間が代々発病する病を避けたいと思っており、そのためには手段を選ばない一面もある。
声 - 菅生隆之
院長は名誉職であり、もう医療行為は行っていない。現在は博士として研究活動を中心的に行っているようで、過去には医学賞の受賞歴もあるなど輝かしい経歴を持つ医師。
しかしそれはあくまでも表の顔であり、その実態はTG大学病院を拠点にロカカカの研究・独占を行う岩人間らの首魁。直接的な関わりは無かったようだが、田最ら密売団も自らの下部組織であり、動向を監視していた。本作における一連の出来事の全ての黒幕である。
声 - 島﨑信長
「とおる」。TG大学病院でアルバイトをしている医学生。
康穂とは高校時代に付き合っていたらしい。まだ未練はあるようで、彼女との再会を喜んでいる。定助と豆銑からはあまり信用されていない。康穂にペイズリー・パークでも見つけられなかった院長の顔写真を見せるなど、院長とはどうやらただならぬ関係にあるようだが...?
その他の登場人物はジョジョリオンの登場キャラクター一覧を参照
評価
このジョジョリオンだが、ジョジョシリーズの中で評価が圧倒的に低い。
理由は、「展開が遅い!」 「未回収の伏線がある!」 「キャラクターの魅力が薄い!」などなど………とにかくボロクソ言われている。
ジョジョそのものの作風自体が人を選ぶものだが、ジョジョリオン単体での作風もまたかなり人を選ぶ。その上展開が遅かったというのは事実であり、あまり否定できなくなっている。
だが、クソ作品という訳ではない。シリーズ屈指の頭脳戦の面白さ誇り、サスペンスとしての完成度も申し分ない。ただ所々に良くないところがあるというだけで、作品としては充分成立しているし、面白いのだ。
関連イラスト
関連動画
ウルトラジャンプ 2016年5月号 TVCM (ジョジョリオン) - YouTube
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ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョ JOJO スタンド 8部 岩人間
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