概要
ケンタウルス座とはえ座の間にある小さな星座で、名前通り十文字のような形をしている。そのため肉付けすると見たまんまの十字架。
ちなみにかつてはおおかみ座と共にケンタウルス座を構成するパーツだったので、正座単品になったのは大後悔時代(16世紀)になってからという意外な新参者。
天の川の中にあり、暗黒星雲「コールサック」は大部分がこの中にある。88星座で最小の星座でもあるが、形が整っている上に1等星が2つ、そしてケンタウルス座のダブル1等星の近くにあるというナイスな立地にあることで比較的見つけやすい。
ただその小さささと天の川の明るさ故にいざ探そうと思うとちょっぴり骨かも。
北半球の大半では見られず、日本では見られる場所が沖縄など(12月∼6月頃)に限られている。また、交差部分のすぐ斜め下にも4等星があるので、4等以上の構成星座は実は5つである。
ニセ十字
りゅうこつ座とほ座の二等星どもによるカルテット。南十字星は1等星2個、2等星と3等星で成り立っているが、ニセ十字はより大きくて目立つため、意外と間違えられる。
どうしても見分けがつかんというあなたは近くに別の1等星(オレンジと青)がないか探してみよう。ケンタウルス座のダブル1等星である。
北半球において北極星や北斗七星が航海の目印として重宝されたように、南半球において南十字星は真南を示す航海の目印として重宝された(現在の天の南極には"南極星"はない)。
しかしその割に目立って大きい存在ではない上に、その近くにニセ十字と呼ばれたアルゴ星座の明るい星の集まりがあるために、そっちを本物と間違えて遭難してしまう事故が絶えなかったとされる。つまり、ニセ十字は航海する者の命にかかわる危険な存在であり、悪魔の十字などと恐れられたという。
- 十字型の首飾りのことをミモザというが、このミモザは元々、みなみじゅうじ座ベータ星(ベクルックス)の別称。一応ミモザも正式名として通用する。
意匠、モチーフとしての使用
オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、ブラジル、サモアの国旗には、国土が南半球にあることの象徴として描きこまれている。
日本では南十字星と呼ばれ親しまれている。英米など北半球に位置する英語圏でもサザンクロスで呼ぶなど南国への憧れや情緒を醸し出す象徴として知られている。
- 十字の右下にギナンと呼ばれるホクロのような4等星がある。よく見るとオーストラリア国旗とブラジル国旗では鏡のように反転しているが、これは国が位置する経度の違いで見え方が違うため。