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概要
「合衆国海軍兵学校(United States Naval Academy)」の通称。メリーランド州アナポリスに所在することから。
学校そのものは1845年設立。アナポリスには1850年に移転してきている。創設以前はアメリカ陸軍の駐屯地であった。
海軍士官の養成は艦艇乗り組みの洋上勤務を通じて行われてきたが、陸上に学校を設けて士官教育をするようになったのは、世界でも本校が最初である。
南北戦争時には、一時ロードアイランド州のニューポートに移転したが、1865年にはアナポリスに戻っている(海軍大学校は今もニューポートに本拠を置く)。
入学可能年齢は17歳から23歳までで、未婚者であること等の条件がある。
大半はアメリカ海軍または海兵隊で少なくとも5年間勤務するが、陸軍、空軍、沿岸警備隊に入隊することも可能。外国の留学生もおり、彼らは卒業後母国の国軍に入隊する。
海上自衛隊からも2名が連絡官として派遣され、教官業務にもついている。逆にアメリカ海軍も江田島に連絡官を派遣して、同様教官として勤務している。
主な出身者
- オリバー・ハザード・ペリー:海軍代将。米英戦争のエリー湖の戦いにおいてアメリカ海軍に決定的な勝利をもたらし「エリー湖の英雄」と呼ばれた。黒船来航で知られるマシュー・カルブレイス・ペリーの兄。
- フランク・F・フレッチャー:海軍大将。第一次世界大戦時の大西洋艦隊司令長官。フレッチャー級駆逐艦の由来となった。
- チェスター・ニミッツ:海軍元帥。第二次世界大戦における太平洋戦域最高司令官。ニミッツ級空母の由来となった。
- ウィリアム・ハルゼー:海軍元帥。太平洋戦争時の第3艦隊司令長官。
- レイモンド・スプルーアンス:海軍大将。太平洋戦争時の第5艦隊司令長官。スプルーアンス級駆逐艦とアーレイ・バーク級の同型艦の艦名の由来となった。
- マーク・ミッチャー:海軍大将。太平洋戦争時における空母機動部隊指揮官。
- アーレイ・バーク:海軍大将。太平洋戦争時における駆逐艦隊司令官。戦後は海軍トップの海軍作戦部長。アーレイ・バーク級駆逐艦の由来となった。
- アラン・シェパード:宇宙飛行士。アメリカ人として初めて宇宙に行った。アポロ14号にも船長として搭乗し、月面でゴルフをするというパフォーマンスを行った。
- ウィリアム・アンダース:宇宙飛行士。アポロ8号に搭乗し、ミッションの月周回中に、象徴的な写真である『地球の出』を撮影した。
- ジミー・カーター:第39代アメリカ合衆国大統領
- デビッド・ロビンソン:バスケットボール選手
- 松村淳蔵:日本海軍中将、華族。1873年卒業。日本人初のアナポリス卒業生の一人。
- 北川敬三:海上自衛隊一等海佐。日本人としては戦後初のアナポリス卒業生にして日本人8人目の卒業生。1993年卒業。
関連タグ
州都・アナポリス
アメリカ合衆国メリーランド州の州都。同州の中央に位置している。人口は4万0812人(2020年)。
バージニア植民地を追放された清教徒たちによって入植地がつくられ、1649年シバーン川の北岸にプロビデンスを建設、後により防護の堅い港のそばに入植地を移し、プロクターズの町、シバーンの町、アン・アランデルの町を次々に建設した。
アン・アランデルはその直後に死去したボルチモア卿(Lord Baltimore)の夫人にちなんで名付けられた町だったが1694年にカトリック政府が倒れ、フランシス・ニコルソン総督がこの町を植民地の首都とし、アン王女(のちに最後のイングランド王国・スコットランド王国君主(女王、在位:1702年4月23日 - 1707年4月30日)で、最初のグレートブリテン王国君主(女王、在位:1707年5月1日 - 1714年8月1日)、及びアイルランド女王。ステュアート朝最後の君主)にちなんで町の名が現在のアナポリスに改められた。(1708年に正式な市になった)
1783年にパリ条約が締結され、独立戦争が終わると、アナポリスはアメリカ合衆国独立後最初の首都になった。アメリカ合衆国議会は同年11月26日から翌1784年6月3日までアナポリスで開かれた後、首都はニュージャージー州のトレントン(現ニュージャージー州都)に移った。
当初は奴隷貿易で栄えたが、独立戦争開戦後に1780年にボルチモアが入植港になると、アナポリスの港町としての地位が急速に低下、1808年にアメリカ議会により奴隷の輸入が禁止されて水産業(カキ加工)が主産業になり、今はAmerica's Sailing Capital(アメリカのセーリングの都)と呼ばれ、ヨットやクルーザーといった娯楽用の船舶が多く停泊している。