概要
アルピコ交通上高地線(旧松本電気鉄道)では、同社初の冷房車として京王電鉄から譲り受けた現行の3000形の部品確保が難しくなったことから、同車を置き換える目的で東武鉄道から中古車を購入することとなり、東武伊勢崎線(スカイツリーライン)〜東京メトロ日比谷線で運用されていた20000型・20050型のうちの中間車それぞれ4両を、京王重機整備にて先頭車化改造を施した上で譲り受けた。
アルピコ交通初のVVVFインバータ制御車両である。
2021年12月に最初の2両が新村検車区に到着し、試運転ののち2022年3月25日より運行を開始した。
●松本駅寄りが、20050型を種車とし、主電動機と霜取りパンタグラフを持つモハ20100形(奇数)
●新島々駅寄りが、20000型を種車としながらも電装を解除し、2基の集電パンタグラフを持つクハ20100形(偶数)
であり、どちらも前面は非貫通式である。
前面・側面行き先表示機はフルカラーLED式で、これもアルピコ交通で初採用。
モハ20100形の主電動機は従来の機器を踏襲せず、東洋電機製の新品に置き換えられた。ゆえに性能的にはJR東日本のE129系などと同等とされている。
上高地線では、他の長野県内の私鉄+3セクしなの鉄道の計4社共々ワンマン運転を行うが、しなの鉄道・長野電鉄とは異なり車内精算方式であるため、バックミラーや運賃箱も設置された。前面にはアルピコカラーのラッピング、側面にはアルピコブルーの帯と「ALPICO」の文字が入っている。第3編成の20105Fは、上高地線のマスコットキャラクター、渕東なぎさのイラストがラッピングされた「2代目なぎさTRAIN」となっている。
2024年9月1日現在、2両編成が3編成在籍。残る1編成の20107Fも同年度末までに導入し、3000形最後の1編成を置き換える予定。
余談
東武から他車への車両譲渡は、1986年から1996年にかけて3000系が上毛電気鉄道に譲渡され、300型ならびに350型となって以来25年ぶりだが、それらは車体更新車であったことから足回りの老朽化のため既に廃車済みである。
また本形式導入に伴い、長野電鉄・上田電鉄・アルピコ交通、つまり長野県内の私鉄3社で「日比谷線の走行実績がある車両がそれぞれ在籍している」という珍現象が起こった。長電はもと東京メトロ車、上田電鉄はもと東急車が該当する。