概要
サラブレッドの気性の荒さや虚弱体質を解決するため、従順で頑丈なアラブ種を配合することで、レースに勝てるスピードと温厚な気性、頑丈さを両立させたもの。しかし極稀にサラブレッドレベルの気性難を持ったアングロアラブが生まれることも。(マルシンヴィラーゴなど)
日本では競馬が軍馬の質的向上の役割を担っており、サラブレッドよりも頑丈なアングロアラブ種の生産が奨励されていた。
戦後は戦災復興の名目で地方競馬が多く生まれ、軍馬としての需要がなくなったアングロアラブが今度は競走馬としての需要に支えられる形となった。
しかしサラブレッドに比べてアングロアラブの競走はスピードが劣ることや賞金額が安い事もあって、サラブレッドの生産頭数・競走数が増えるのに従って需要は薄れていった。
中央では1995年12月に中京競馬場で開催されたアラブ大賞典を最後にアングロアラブ競走が姿を消した。
地方も中央でのアングロアラブ競走廃止に追随する形でレースそのものの廃止、削減が行われるようになり、最後までアングロアラブ限定競走を組んでいた福山競馬場が2005年12月からサラブレッドを受け入れるようになったことで、アングロアラブのみでレースを行う競馬場は日本から消えた。
2009年9月に福山で開かれた「開設60周年記念アラブ特別レジェンド賞」を最後に、アングロアラブ限定競走は事実上消滅した。
なお能力さえあればアングロアラブの馬を競走馬として登録・出走させることは可能である。2017年にアングロアラブのキタミキが盛岡競馬場に入厩したが、能力不足によりデビューできなかった。
有名なアングロアラブ馬
- セイユウ:サラブレッド相手に唯一アングロアラブ馬としてサラブレッドの重賞(セントライト記念。七夕賞と福島記念もだが当時はオープン競走)を勝った馬。引退後も種付け頭数のあまりの多さから『性雄』という異名も付いた。また、唯一の顕彰馬でもある。
- タマツバキ:83キロという現在では考えられないような斤量を背負って勝ったことで有名。これは現在でも国内最重量斤量勝利記録として残っている。
- タガミホマレ:セイユウが持っていた種付け頭数を上回る、年間270頭に種付けをしたことで有名。総種付け数は2800頭を超えたという。それでいて33歳まで生きるというタフさも持ち合わせていた。
- スマノダイドウ:地方競馬所属の馬。園田の怪物とも呼ばれ、同時期に活躍していたタイムラインと共に2強を形成していた。毛色の問題からテンプラとも噂され、園田事件の発端となった馬でもある。