- トレーディングカードゲーム・マジック・ザ・ギャザリングの背景ストーリーの舞台である多元宇宙に存在する次元の一つ。
- 同ゲームのエキスパンション名、『イコリア:巨獣の棲処』。背景ストーリーではイコリア次元を舞台とした物語が描かれるカードセットである。
『イコリア』次元の概要
イコリアは怪物の世界であり、この次元の怪物には、都市をも踏み潰せる恐ろしい巨獣から、人の肩に乗れるほどのずる賢い小動物まで、あらゆる姿形と大きさのものが存在する。
人間
イコリアで生き残っている種族で唯一「文明的」であるのが人間たちである。
彼らはまともにやりあっても怪物たちには敵わないことを熟知しており、守りを固めた聖域で生活している。その種類は小さな小さな前哨地から巨大な城塞都市まで多岐にわたり、いずれも複数の技術を組み合わせて怪物の襲撃を防いでいる。ほとんどの聖域は物理的な防御(高い壁、堀、棘)と魔法的な防御(見張りの護法印、警報の水晶)の両方を有する。
しかしいかに知恵を絞ってもこの世界は危険極まりない世界であり、怪物に勝てる存在はやはり怪物しかいなのである。
ただし全ての人間たちが聖域に暮らしているわけではなく、眷者とよばれる者達は世界の在り方を受け入れて一部の怪物たちと共に生きる道を選んでいる。彼らはエルーダと呼ばれる霊的な繋がりをもち相棒として絆を結んでいる。
しかし聖域の人間らにとって怪物はどれも危険で、眷者らは立ち入れない。もし新たに絆を結んだ人間がいたのなら故郷や家族と別れなければならなくなる。
怪物
いずれも外見から連想されるより遥かに大きな力と美を有している。そのうえ、目の前で全く異なる姿に変容することもあるのだ。慎重に足を進め、距離を取って観察し、想定外が起きることも想定していれば、この驚異の生物たちの秘密を目撃することができるだろう。だが怪物を侮り、安全を当たり前のものと考えたり、あるいは勝てるなどと思い込んだりするならば、彼らは躊躇いなくその過ちを証明するだろう。
イコリア次元各地では水晶が自然発生し、水晶が怪物の成長と進化の原動力となることはよく知られている。怪物は生き続けるかぎりずっと、成長し、歪み、新たな姿に変化することができる。ある怪物は単純に大きくなったり、より強くなったりする。あるいは、全く新しい特質を得ることもある。翼や、追加の足や、全身を覆う羽毛や、さらには追加の頭すら生えることがある。また怪物の中には、複数の怪物相の特徴を併せ持つ混種へと変容するものもいる。
エキスパンション:イコリア:巨獣の棲処
イコリア:巨獣の棲処は、スタンダード用のエキスパンション。2020年5月15日発売(ただし日本を含む一部地域は、コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けた影響で発売時期がずれている)。
怪獣映画をモチーフとしたカード・セットであり人間と「人間でない」両方の部族カードが存在する。同時に怪物と絆を結んだ人間も存在し、相互にシナジーを与え合う。
また、サイクリングも再登場しており、その影響なのか、ドローか通使用のどちらか選べるもののマナコストが重めのカードが多いのが特徴。
他にも各種キーワード能力を表す専用カウンターを活用するカードも多数登場しており、パックに一定の確率でトークン・カードの代わりにミシン目が刻まれたパンチアウト・カードが封入されている。
なお、これまでプレインズウォーカーデッキが初心者用セットであったが、
同時発売された統率者2020がイコリアの世界観に合わせたカードが多く収録されており、今後は統率者戦用デッキを初心者用デッキの位置付けとするようになった。
相棒
このエキスパンション特有のキーワード能力に相棒というものがある。
『ゲームの外部からあなたが所有していてあなたの開始時のデッキが条件を満たしている相棒能力を持つカード1枚を公開してもよい。そうしたなら、そのゲームの間1回、あなたはそのカードをゲームの外部からプレイできる。』
というもので、条件を満たしている状態ならサイドボードの相棒能力持ちクリーチャーをマナコストを払って出してもよいと、さながら通常のゲームで統率者戦のような戦い方ができるというものである。
一応、相棒能力を活用しなくても通常クリーチャー同様の使い方もできるのだが、手札にあるかどうか関係なく任意のタイミングで出せるのは非常に大きい。
該当カードは
- 『深海の破滅、ジャイルーダ』
- 『湧き出る源、ジェガンサ』
- 『孤児護り、カヒーラ』
- 『巨智、ケルーガ』
- 『夢の巣のルールス』
- 『呪文追い、ルーツリー』
- 『獲物貫き、オボシュ』
- 『集めるもの、ウモーリ』
- 『空を放浪するもの、ヨーリオン』
- 『黎明起こし、ザーダ』
の計10種。いずれも優秀な特殊能力を持つ伝説のクリーチャーとなっている。ただし、ここでいう条件とはデッキ構築に関する縛りというべきものであり、「デッキに入れるカードはマナコストが偶数出なければならない」「デッキの合計枚数は通常より20枚多くしなければならない」と言ったデッキのバランスを崩しかねないものばかりであり、デッキ作りの腕が問われる一癖ある特殊能力となっている。
が
条件を満たしていたのなら任意のタイミングで出せるいうのは、状態関係なく常に1枚手札にあるのと同じ。コンボや強力なシナジーを形成するカードが片方出せたなら、即組み合わせられる危険性を秘めているのも同じ。
さらに、最新カードで試合するフォーマット(ルール)の「スタンダード」はともかく、広い範囲のカードでプレーできるフォーマットであるならば、各時代の優秀カードを揃えれられるので、その程度のデッキ構築縛りなんてものともしないのである。
結果、聡明期時代のカードも使用できるフォーマット「レガシー」や「ヴィンテージ」のゲーム環境では相棒カードを使ったデッキらが台風の目になるほど大暴れしてしまい、
2020年6月にルール改定され
『このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたがソーサリーを唱えられるときならいつでも、(3)を支払うことでゲームの外部からそれをあなたの手札に加えてもよい。』
に変更された。
ゴジラシリーズ・カード
イコリア:巨獣の棲処の通常パックに一定確率あるいはコレクター・ブースターパック等々に封入されている特殊なデザインカードには、イラストが大きく見える拡張アート、アメコミ風な特殊デザイン、そしてあの東宝の人気映画ゴジラシリーズがクリーチャー・カードとして登場する。
ただしあくまでゴジラ怪獣そのものが登場するのではなく、通常カードの特殊イラスト扱いとなっている。例にあげれば『逃れ得ぬ災厄、ゴジラ』というカードはどう見てもイラストはアイツなのだが『さまよう怪物、イダーロ』というカードの別イラスト扱いとなっている(そのため、その2種類をそれぞれ4枚ずつデッキに入れるようなことはできない。両方合わせて4枚以下になるようにしなければならない)。
また、うち3種のカードは日本版限定となっており、マジックファンも特撮ファンも見逃せない展開となっている。
なお、2020年新型コロナウイルスの世界的流行を受け『死のコロナビーム、スペースゴジラ』のカード名を急遽変更せざる終えなくなり『虚空の侵略者、スペースゴジラ』に変わっている。ただし、このタイミングで初版の印刷を変更することは不可能であった。それゆえ発売初期のパックからは変更前の名前のままで封入されている。(一応補足しておくと、元ネタ怪獣は宇宙怪獣であり、原作でも、同名の宇宙用語を冠す必殺技を使用している。)
関連ページ
同次元出身のプレインズウォーカー
テーロス還魂記 → イコリア:巨獣の棲処 → ゼンディカーの夜明け