概要
『オクラ』はフジテレビ系列で、2024年10月8日から12月17日まで、2015年3月以来9年振りの復枠となる『火9』枠にて放送されていた連続ドラマ。正式名称は『オクラ〜迷宮入り事件捜査〜』。
脚本は『仮面ライダービルド』、『3年A組』、『桜の塔』等を手がけた武藤将吾。
劇伴は『ウルトラマンアーク』や『マウンテンドクター』を担当した林ゆうき。
登場人物
- 飛鷹千寿
演-反町隆史
人情に厚く「捜査は足で稼ぐ」がモットーの昭和刑事。元警視庁捜査一課強行犯係のエース、今は警視庁捜査一課特命捜査情報管理室(通称「オクラ」(お蔵入り))に所属。
「オクラ」メンバーの中でも鷲沢や幾多に次ぐ古参のため、基本的に担当案件は大体自分が嘗て担当した事件となっている。
全盛期と比べるとやる気はすっかり無くしているように見えるが、倫子曰く「あれでもまだやる気がある方」らしい。
キャバクラでの無銭飲食で不破にしょっぴかれかけた。(後に全額支払ったが)
そのキャバクラが後に振り込め詐欺を裏で行っていたため摘発されており、刑事の勘は伊達ではなく「オクラ」のメンバーからも「千里眼」と揶揄されている。
だが、人情派の刑事という評判も刑事の勘も全て表の顔であり、その本性は未解決事件の犯人を法の下へ引きずり出すためには手段を選ばず証拠の捏造すら行うダークヒーローだった。
10年前に相棒の真一を亡くしており、警察官連続殺人事件の犯人を捕まえるために奔走している。
真一の娘・倫子に対しては自分の行動のせいで真一を死なせてしまった負い目があり10年前の真実をなかなか告げられずにいたが、門真の一件で伝えざるを得なくなり意を決して10年前の真実について告げた。
その後、利己の捜査で彼が加瀬殺害の真犯人(首謀犯)だったことが判明。吉岡と共にアカウントハッキングの可能性を鑑みてサイバー捜査を行ったことで千寿がこれまでと同様にスポーツバーから幾多室長に成り済まして門真にメールを送っていたことを暴き、本人もそれを認めた。
動機は【警察官連続殺人事件の犯人の解明及び首都爆破計画の情報が保存されているチップの回収による計画阻止】。千寿は加瀬がその計画に加担しているのではと考え、警察官連続殺人事件と同タイプの爆弾を模倣して使用し門真を利用して瀕死の加瀬からチップを強奪した。
しかし、本人は大人しく捕まるつもりはなく利己を制圧して彼の内ポケットから持っていたチップを強奪し去っていった。
その後、愁に直接加瀬を殺したのが自分だと告げたが、愁は彼の覚悟を汲み取り「悔いのないように生きて」と告げられた。
その後、加瀬のチップのパスワードの手がかりを探すために奔走し阿澄に対して愁のチップの爆弾プログラムを書き換えるよう頼んだ。
そして、何とかパスワードを探し出しロックを解除するが爆弾は3つあり、千寿の動きに勘づいた上層部が起爆時間を早めていた。そのため、自身は警視庁に設置された爆弾の無力化に向かった。
その後黒幕である幾多と相対し、彼の「国の秩序維持」を優先する正義を真っ向から否定。利己の援護もあり、無事にテロを阻止した。
しかし、このまま加瀬殺害の容疑で逮捕されては「ハイドアンドシーク」の追っ手に暗殺されることが目に見えた利己の計らいで死を偽装された。その結果、晴れて自由の身となり国外逃亡したものの、その後の消息は不明。
- 不破利己
演-杉野遥亮
クールでタイパ重視の省エネな令和刑事。ある理由でオクラに異動。千寿からは「ルーキー」と呼ばれていたが、途中で名前呼びに変わっている。
下戸だが本人曰く「飲めないんじゃなくて飲まないんです。」とのこと。
とにかく合理的な思考しかしておらず、思ったことも口にするタイプ。そのせいか、周囲からは嫌われており、志熊からも異動の理由を「手柄欲しさにやらかした」と邪推されるほど。
千寿の手段を選ばない行動を当初は危険視し阻止しようとしていたが、彼から「正義」について問われたことで自分自身の目で千寿の「正義」を見極めるために協力する決意を固めた。そして、彼に「あなたが"正義"に背いた時には容赦なく撃つ」と宣言した。
2年前、墨田署配属時代にストーカー被害に遭っていたホステスであり元カノ・不知火とその息子・壮太の警護にあたっていたが、突如何者かに襲われて気絶。その隙に不知火は殺され、容疑者として浮上した男を目撃したものの決定的な証拠は掴めず取り逃してしまった過去を持つ。現在は一人生き残ってしまった壮太と共に暮らしている。
壮太の笑顔を取り戻すため、事件の容疑者とされる新山の逮捕に向けて千寿と同じ手で新山を追い詰めようとするが、次第に彼の正義感の暴走が剥き出しになっていく。
しかし、直前になって千寿の説得により壮太が自ら真実を明かし、新山が父親であり、壮太を虐待したのは不知火であったこと、新山が壮太を心配して遊びに連れて行っていたことが判明。しかし、理由があれどちらにしろ犯人であることには変わらないと考える不破はきちんと罪を償ってもらうべくそのまま逮捕しようとするが、無実を証明しようとする新山に呼び出され彼とは別のフードの男に襲われてしまう。
間一髪千寿が救援に来たことで発見され病院に搬送されるが、頭部を殴られた影響で脳震盪を起こしており気絶していた。
しかし、途中で目を覚ましており、真犯人が有名MC・鴻上だったことを知り怪我を押してまで病院を脱走。千寿と合流し、その場で先入観でろくに話を聞かず突っ走った件を謝罪した。
その後、千寿とともに鴻上のアリバイを崩して新たな証拠を作り出すことでおびき寄せ、あと一歩のところまで追い詰めるが停電した隙に何者かが鴻上を連れ去り、密かに抹殺。
結果、被疑者死亡となったものの、新山の無実は証明され、壮太との最後の別れの際に母親の遺言(これは利己が作り出した真っ赤な嘘)を伝え、彼を激励した。
首都爆破テロが目前に迫った際には、千寿の真意を汲み取り爆弾テロ阻止に奔走して警視庁へ向かうが、共に向かった志熊に銃口を向けられる。しかし、彼の正義を真っ向から否定し制圧した。
その後、千寿を援護して幾多を制圧。無事にテロ阻止を成功させる。しかし、千寿はとっくに道を踏み外していると判断、上記の宣言通り彼を撃ち殺した…と思われたが、実は「ハイドアンドシーク」の追っ手を避けるために偽装死を仕掛けるためだったことが判明。「生きてください。」というエールとこれまでの感謝を述べて千寿に別れを告げた。
その後、「ハイドアンドシーク」の全容を暴くために倫子たちと捜査を続けていく決意を固めた。
オクラ
正式名称は「警視庁捜査一課特命捜査情報管理室」。
未解決事件(通称「オクラ」)を取り扱う。
通称「刑事の墓場」。
終盤、室長の幾多が「ハイドアンドシーク」のメンバーであることが判明し信頼関係は完全に破綻したが、組織としては存続中。
- 結城倫子
演-白石麻衣
刑事。元ヤンキー(レディース総長)で勝ち気な性格。愁に匹敵するほどの酒豪。過去にミスコンを受賞した経験あり。
オクラの前に組織犯罪対策部(組対)に所属していた。10年前の警察官連続殺人事件で殉職した千寿の元同僚の娘。
組対時代に暴力団一つを一人で壊滅させており、30人半殺しの件は記事にされた。
父を殺した犯人を見つけるため奔走するが、その過程でまだ息のあった父を千寿が撃ち殺していたことを門真が暴露したことで不信感を募らせるが、後に利己が千寿から聞いた最期の会話を聞き、父親が千寿に介錯を頼んでいたことや千寿の行動・目的等を知り、戸惑いながらも納得。千寿や利己とともに責任を背負う覚悟を決めた。
その後、父親を殺した犯人が愁だったことを知り、信頼していたはずの仲間…それも父親の同僚が犯人だったことにショックを隠しきれておらず複雑な気持ちを抱え苦悶の表情をしていた。
その後、取り調べで愁の過去を聞いたことで彼女に対して「何でもっと早くそういう気持ちになってくれなかったんですか!?」「こんな話聞かされたら、どう憎んでいいかわかんないよ…!」とやり場のない怒りとやるせなさをぶつけていた。
首都爆破テロが目前に迫った際には、千寿、利己以外で唯一その情報について知っていたため橋渡し役となり他のメンバーを説得。その後、吉岡の母校に仕掛けられた爆弾の無力化のために向かい、「ハイドアンドシーク」のメンバー数人に邪魔されるものの、見事テロを阻止した。
- 鷲沢泰造
演-宇梶剛士
定年を控える刑事。オクラの中では幾多、牧原と並ぶ古参。昔は活躍していたが、今は寝てばかりいる。起きている方が珍しいほど。後に甲状腺機能低下症だったことが判明。寝てばかりいたのもその兆候だった。
部下である久常を亡くした過去があり、その際には涙を流していた。
オクラ行きになった理由は久常の死後犯人を追う中で見込み捜査をしてしまい誤認逮捕してしまったことが原因。
久常の死を含む10年前の警察官連続殺人事件を追っていく中で嘗ての情熱を取り戻していくが、甲状腺機能低下症による身体的疲労には耐えきれず入院することになった。しかし、自身のプライドにかけて刑事として突っ走る覚悟を決め、勝手に病院から抜け出した。
その後、不破の捜査に協力し逮捕した盗撮犯から押収した事件当時の女性専用フィットネスジムの盗撮映像を発見したのはいいものの、再び気を失い病院送りになった。
目覚めた直後、久常の妻と息子と対面。嘗ての久常との思い出が駆け巡り涙を流した。
首都爆破テロが目前に迫った際には、牧原とともに東京シンフォニーホールへと向かい、「ハイドアンドシーク」のメンバー数人に邪魔されるものの、見事テロを阻止した。
- 牧原祈里
演-青木さやか
刑事。公安出身で情報収集に強い。オクラの中では幾多、鷲沢と並ぶ古参。
2013年の東京シンフォニーホール爆破事件で夫を喪っている。しかし、当時警察が総力をかけて捜査したにもかかわらず未解決事件に終わったため、犯人への復讐を諦めかけていた。
しかし、千寿達の証拠でっち上げにより犯人である蓬田がおびき出され警察に出頭したことで取り調べの際に今まで溜め込んでいた恨みを犯人にぶつけた。
また、一人息子がいるが家庭環境の影響もあり現在は学校内でのいじめが原因で不登校となっている。
後に蓬田を脅して彼に爆弾の設計図を提供したのが愁であることが判明した。
首都爆破テロが目前に迫った際には、鷲沢とともに東京シンフォニーホールへと向かい、「ハイドアンドシーク」のメンバー数人に邪魔されるものの、見事テロを阻止した。
- 吉岡雷
演-前田旺志郎
ハッカー。サイバー犯罪対策課出身で、高いハッキングスキルを持つが、その一方でルールを守らず興味の赴くままに進める。高校時代に同級生の道尾忠司が自殺しており、いじめを告発して彼を救うことができなかったことから自責の念に駆られている。
道尾の自殺の原因を教育委員会がいじめではなく進路に悩んだことが原因による自殺と断定し、警察もそれを機に捜査を打ち切ったため、独自に警察のサーバーへハッキングを仕掛けたことがあり、それが原因で「オクラ」に左遷させられた。
「オクラ」に道尾の自殺に関するタレコミが入ったことで改めて「殺人が疑われる未解決事件」として捜査し向き合うこととなる。
そして、道尾をバッドで殴打し殺害した犯人である追川を自らの手で逮捕し過去の因縁にケリをつけた。
首都爆破テロが目前に迫った際には、阿澄の援護のために千寿たちの基地にお邪魔し彼をサポートした。
その後、母校に仕掛けられた爆弾無力化のために倫子とともに向かい、テロを阻止した。
- 幾多学
演-橋本じゅん
室長。度を越したギャンブルによりオクラに左遷されていると噂されている。「オクラ」の中では牧原、鷲沢と並ぶ古参で一番基本業務に忠実なベテラン。他のメンバーが自分にばかり責任を押し付ける状況を耐えかねて自作でデータ入力の担当者を決めるガチャガチャやルーレット等を用意している。
基本的に面倒事は避けるタイプだが、いざとなればやる理想の上司としての一面も見せる。
全体を俯瞰的に見ることに長けており、加瀬の怪しい言動を見抜いている。
その後、志熊がライフルの出処を特定したところ、彼が愁を狙撃した犯人であることが判明した…かに思われたが、本人は一貫して否定しており、利己から身体検査を受けワイシャツを脱がされた。「オクラ」メンバーからは散々疑われたが、硝煙反応は出ず疑いは晴れた。
しかし、肌身離さず持っていた御守りの中身に固いものが入っていたり「オクラ」配属前の公安部時代の配属先が不明だったことからまたしても疑われたが、御守りの中身は杉並一家殺人事件の被害者だった男児がくれた玩具のお金であり、公安配属の理由も杉並一家殺人事件の証拠を握りつぶし未解決事件へと仕向けた警察上層部の動向を探るためだった。しかし、手がかりは一切見つからずその行動を危険視されたのが「オクラ」左遷の本当の理由だったことを明かした。
しかし、後に彼が加瀬から首都爆破テロ計画を引き継いだ後任だったことが判明。愁狙撃の犯人も自身であることを自白した。ただ、本人は無駄な犠牲を出さないために愁を殺す気はなかったらしくわざと急所を外した。
そして、本作における事件の黒幕(ただし上層部の存在を仄めかした)だったことも同時に判明。本人は【国の秩序維持のため】と目的を明かしており、それこそが「ハイドアンドシーク」の本懐であることも明かした。
自身も上述の通り警察上層部の動向を探るために潜入したのだが、そこで公訴時効制度廃止のために上層部がわざと数件を未解決事件のまま放置させていたことを知り、「大義のためには犠牲もやむ無し」という考えに至ったとのこと。
首都爆破テロも防衛費増額と関連法施行のため反対する世論をひっくり返すことが目的だったことを明かした。
それでも自信及び組織の正義を否定しテロ阻止に奔走する千寿を止めるため銃口を向けた。しかし、利己に阻止され爆破テロ計画も阻止されたことでこれまでの努力が水の泡となった。
しかし、その後も室長職を問題なく継続している。
捜査一課
- 加瀬英雄
演-中村俊介
課長で警視正。同期の千寿を勝手にライバル視する。また、同じく同期の井伏に好意を寄せている。
妻・明日香を永倉副総理の息子によるひき逃げ事件で亡くしている。
千寿の思惑に勘づいており、彼が何かを隠しているのではと疑っている。
また、何者かと連絡を取っており、白金の殺人事件の真犯人とされている鴻上を「アイツは昔から警察の役に立ってくれたが、今やその影響力も無い。そろそろ潮時か…。」と呟いており、鴻上が何者かに連れ去られ消息不明となった際には幾田からは「あなたの仕業ですか?」と疑われていた。更には、とある人物から「飛鷹千寿を始末しろ」という指示をメールで受けており、その人物に電話で「この件が終わりましたら、例の計画を進めさせていただきます。」と宣言していた。
その後、容疑者とされた高見と千寿が会っていた廃墟に現れ、高見を銃殺。
千寿からは永倉副総理暗殺事件の真犯人だと疑われており、その動機も「事件を隠蔽したことに対する復讐」だと看破されている。その推測に対して、「行くところまで行くしかないんだよ」と暗に認めている。
その直後、千寿に対して結城から託されたUSBメモリを渡すよう要求し、彼の制止を振り切り強奪。千寿の説得も虚しく立ち去っていった。
その後、とある人物にUSBメモリを渡すために海岸近くの廃墟を訪れるが、そこにその人物は居らず仕掛けられた爆弾の爆発に巻き込まれ息を引き取った。
後に使用された爆弾が真一を死に追いやったものと同型だったことが判明した…が、後に判明した警察官連続殺人事件の実行犯である愁は「私じゃない」と供述していた。
その後、加瀬殺害の真犯人は千寿だったことが判明した。
- 志熊亨
演-有澤樟太郎
刑事。利己の同期。2年前に不知火が殺害された事件では利己と共に警護にあたっていたが、警護対象であるはずの彼女を口説いていたことが利己にバレてしまい上司からも問題視されたため担当から外された過去を持つ。しかし、当人は反省する様子は全くなく、「俺のせいでは無い」と開き直っている。(とはいえ、ブチギレて勤務時間中にもかかわらず職務を放棄した点は完全に志熊の責任である。)
加瀬の死後、これまでの非礼を詫びており、彼なりに情報提供やノルマ削減などオクラへ協力している。
愁の暗殺未遂を知ったことで、自身が信じていた警察の意義を見失いかけ、真実を明らかにするためライフルの出処を探そうとしていた。
その後、彼もまたハイドアンドシークの一員だったことが判明。加瀬の後釜として目をつけられており、門真の死も彼が仕掛けたものだった。テロ阻止に向かう利己を止めようと銃口を向けるが制圧されてしまった。
その他
- 井伏愁
演-観月ありさ
千寿の元妻で科捜研の研究員。一応、離婚した今でも千寿に協力しているため関係は良好。
大の酒豪で千寿にも余裕で勝つ。倫子でやっとタメを張れるほど。
幼少期に両親が離婚しており、父親に引き取られたもののその父親からのDVを受けていたため、早く家を出たい一心で警察官を志すようになった。
その後「精密機械」と呼ばれるほど仕事に邁進した結果、上層部から表向きは公安配属とされた状態で裏の実行部隊「ハイドアンドシーク」に引き抜かれ、徹底した訓練を受けさせられた後、科捜研へと配属された。
鷲沢の懸命の捜査で探し当てた事件当時の女性専用フィットネスジムの盗撮映像から当時現場近くに居合わせていたことが判明。更に、虎のタトゥーシールから彼女が警察官連続殺人事件の真犯人であることが判明した。
千寿から問い詰められた際には、既に同職の警察官…しまいには同僚を殺害したことに対する自責の念に駆られており、「ずっと審判が下るのを待ち続けていた。」と本心を吐露していた。
その後、千寿の取り調べを受けることになり、携帯電話による遠隔操作型爆弾で久常と真一を殺害したことを自供し、「組織」からの指示を受けていたことを話したが、その直後「組織」の指示を受けた人間による遠距離からの発砲を受けそうになるが、間一髪回避した。
千寿は彼女の身の安全を最優先にして中止しようとするが、本人の希望で続行することとなり、自身の過去と蓬田に爆弾の設計図を提供したことを明かしている。
千寿に近づいたのもチップ奪還を目論む「組織」からの指示であったが、彼と交流を深めて交際し結婚生活を送っていくうちに「夫の思いに応えたい」という想いが強くなると同時にこれまでの罪の大きさがのしかかり「自分は幸せになってはいけない」と思うようになった。「組織」には「千寿はチップを持っていない」と報告したが、信じてもらえず虚偽報告の報復として自宅に爆弾を送り付け爆破させた。
幸い、2人とも生命に別状はなかったものの当時身ごもっていた千寿との子供は流産で亡くなってしまった。
離婚の理由もこういった経緯が原因と思われる。
前々から「組織を抜けて全てを話したい」という想いを抱えていたが、恐怖心ゆえに話すことすらできず、千寿から頼まれた証拠の捏造に協力することで贖罪しようと思っていたことを吐露した。
「組織」を抜けること自体は上層部もあっさり認めたが、条件として「首都爆破テロの爆弾の製作」を突きつけられ、仕方なく受け入れた。
取り調べを終え、拘置所へ移送しようとする直前に幾多に狙撃されて致命傷を負ったものの、かろうじて一命を取り留めた。
その後、千寿から加瀬を殺したのは自分だと告げられたが、彼の覚悟を汲み取り「悔いのないように生きて」とエールを送った。
- 結城真一
演-平山祐介
千寿の元同僚刑事で倫子の父親。故人。千寿と警察官連続殺人事件の捜査中に殉職してしまう。今際に「ハイアンドシーク」という遺言を呟いていた。
この遺言は後に愁の証言で公安による機密裏の実行部隊の名称であることが判明した。
強行犯係以前は公安に所属していたようで、そこで自分自身の「正義」を見失いかけていたが、千寿と倫子に救われたと語っている。
彼もまた「組織」(後に「ハイドアンドシーク」の「ハイド」部隊所属だったことが判明。)に所属していた人間のようで、久常が警察官連続殺人事件の犠牲となったことで自分が標的にされることへの恐怖から「死にたくない」と口にしていた。
死に際、「俺の体にチップが埋め込まれている」と告げ、そこに入っていたデータを千寿に託すため、「俺を撃て」と言い残し、千寿に銃殺された。
- 阿澄玄人
演-三浦獠太
千寿が行きつけのスポーツバーの店長。元警察官。地下に千寿のための秘密基地を提供している協力者の一人。
久常を先輩として尊敬しており、亡くなった際には侮辱した門真に殴りかかろうとしていた。
首都爆破テロが目前に迫った際には、千寿から愁のチップの爆弾プログラムを解除するよう頼まれたが、一人では手に負えなかった。そこに利己と吉岡が援軍として駆けつけた。
その後、千寿の死を偽装するため特注の防弾チョッキを調達し、「プレゼント」と称してロッカーを介して彼に渡している。
- 高見大地
演-高杉亘
千寿、加瀬の3つ上の先輩刑事。警視庁交通部交通捜査課を経て現在は警視庁公安部所属。加瀬の妻・明日香のひき逃げ事件を担当していたが、実際は後述の「組織」の命令により犯人である永倉副総理の息子に関する証拠の隠滅と後処理を担当しただけだった。
永倉副総理暗殺事件に関与しており、加瀬からは容疑者ではないかと疑われている。
また、彼の元にもとある人物から「飛鷹千寿を始末しろ」と指示するメールが届いていた。
その人物から自身が容疑者として疑われていることを知り、千寿を呼び出して事情を語ると共に自身が所属する組織の存在とその上位者たる「上の人間」の存在を語った直後、千寿と利己に襲いかかる。
その最中に自身が組織に見限られていること、加瀬の妻・明日香を死なせたひき逃げ事件の犯人が永倉副総理の息子であることを告げたが、加瀬の手で銃殺された。
- 久常未来
演-渋谷謙人
「オクラ」の元刑事で鷲沢の元部下。故人。半人前だが、上司に好かれる人懐っこさがある。
既婚者でもうすぐ一児のパパになるはずだった。
しかし、強盗犯を追跡している最中に警察官連続殺人事件の犠牲となり亡くなってしまう。
- 門真衛
演-山中聡
警視庁捜査一課強行犯係の元刑事。素行が悪くことある事に同僚や後輩に対して当たり散らしている。
阿澄との口論で加瀬から自宅謹慎を言い渡されていたが、真一が亡くなった現場には彼のフルフェイスヘルメットが残されており、後に彼が命令違反で現場に居たことが判明。
その後退職し、悠々自適に過ごしていたが、加瀬を10年前と同型の爆弾で殺したことで場所が特定されてしまい逮捕される。しかし、彼はあくまで共犯者であり、取り調べの際には「上」の存在を明かした上で千寿がまだ息のあった真一を銃殺したことを暴露した。
取り調べは志熊が引き継いだが、その最中に毒殺されてしまう。
後に毒薬入りのカプセルを与えて自殺を強要させたのは志熊だったことが判明した。