オバタリアン
おばたりあん
庶民的かつ厚かましい性格、図々しく無神経な行動を取る、おばさんと呼ばれる世代の女性のことである。
「おばさん」と、1985年公開の『バタリアン』(※日本での公開は翌1986年。原題は『The Return of the Living Dead』、ゾンビ映画の元祖であるロメロ監督の『Night of the Living Dead』のパロディである)をかけた、かばん語である。
現在では死語と化している。対義語は汚っさん(あまり清潔とはいいがたい風体の中年男性)、美魔女だろうか。
1988年に連載が始まった堀田かつひこ作の4コマ漫画の題名が起源で、使い勝手の良さから流行語となっていた。なお単行本は13巻まで刊行され、テレビアニメ化もされている。
おおよそマイナスのイメージで使われる(堀田の4コマ漫画も揶揄や皮肉の意味で使っている)が、その一方で流行語と化した事から、後期には自虐を含めた開き直りを含めつつ、逆にバブル崩壊下における「気楽、前向き、深刻に物事を考えない、状況打破力(バイタリティ)の強さ」などを含めた「苦境下を生き残る力」を示すための肯定の言葉へと転化する向きも見られた。
その文脈で使われたTV特番に『わてら陽気なオバタリアン』などがあり、かの「マドンナ旋風」を巻き起こした土井たか子も、その意味を以て自ら「オバタリアン」を称した時期があった。
なお、土井と堀田はのちに共同で流行語大賞を受賞している。
本作における「おばさん」は概ね中年女性
(40代〜50代)を指すものの、堀田は自著やインタビューなどで「日中のスーパーや電車の中で(ネタ作りのために)人間観察をする中で、30代〜70代の女性の生態が気になった」とコメントしており、「おばさん」という年代以上に「自由気ままに図々しく振る舞う女性」というところが重視されているといえる。
また、本作が発表された1988年は男女雇用機会均等法の発令直前にあたり、専業主婦=遅れた存在というイメージが吹聴され出す時期のことも「日中着飾らずに出かける女性」、「井戸端会議で近所の主婦同士徒党を組んでいる」の描写に影響していると考えられる。
堀田は「愛嬌のあるクレーマー」を描きたかったとも発言しており、オバタリアンは悪意だけで行動するような存在、悪意だけで描かれた存在ではないと位置付けられている。
バタリアン:原題は「The Return of the Living Dead」で、邦題は英語で陸軍の大隊をあらわすバタリオン(Battalion)を元にした造語。ホラー映画のゾンビ映画に分類される。
真・女神転生:上記の英語との合成語、中年女のゾンビ”屍鬼”オバタリオンが登場した。Lv.3という低レベルのDARK悪魔なので、合体法則上仲魔にするのは難しかった。その他女性のゾンビとしてレディーゾンビやボディコニアンなどが登場する。
イデアの日:漫画家相原コージ総指揮のRPG。何故か敵として登場するゾンビはムームーを着たおばちゃんの姿をしている。
コジロー:4コマ漫画家。『ゲタばきかあちゃん』という漫画を1982年から1992年まで連載していた。単行本化の際『おばんぱいあ。ゲタばきかあちゃん』に改題し4巻まで刊行された。(『オバタリアン』と同じ竹書房刊)なお、この件はやくみつるが風刺漫画で取り上げ「コジロ~」とズッコケた。