概要
漢字は「川螻蛄」・「襀翅」・「𧐐」などと書く。どことなくケラ(螻蛄)と似た見た目の昆虫で、水辺に生息する事からこの名前が付いているが、バッタなどと共に直翅目に属するケラではなく、「カワゲラ目」(襀翅目 せきしもく)という独立したグループである。3,500種ほど知られている。
系統起源はカゲロウやトンボほど古くはないが、翅のある昆虫としてベーシックで原始的な姿形を有し、他の有翅昆虫と比べて特化した部分もあんまりない。
体長は種類により1~3cm。寸胴でほっそりしてて、体が少し上下に平たい。先頭の触角だけでなく、腹部末端の尾毛も糸状のセンサーに発達する。不完全変態で蛹にならず、幼虫と成虫は本体の構造があんまり変わらない。成虫は長大な翅を腹部の上に積み重ねて畳むことから「襀翅」という名が付いた。なお、成虫になっても翅が生えない種類もいる。
生態など
幼虫は多くが水生昆虫であり、腹面(胸部と腹部前半)のふさふさした鰓で呼吸する。主に水質が綺麗な渓流に生息し、他の水生昆虫を捕食する。なお、幼虫期を水中ではなく、落ち葉の中で過ごす種も存在している。成虫は基本的に何も食べず、交尾と産卵で一生を終える。
この為、水質を検査するための一種の指標とされたり、釣り餌や食用昆虫に利用されたりと意外と人間の生活に密着している昆虫である。
そんな彼らの中にもイレギュラーが存在しており、セッケイカワゲラ(雪渓川螻蛄)という種類は氷点下や高山帯でも活動でき、自分の生まれた上流へ戻って繁殖する為に雪上の藻や原生生物を捕食しながら上流へ戻る。本種は太陽の位置から自分のいる場所を割り出していると考えられており、多くの昆虫が活動しない冬に活動する事から、「雪虫」として冬の季語にもなった。
関連タグ
トビケラ:同様に幼虫が水生で、「ケラ」の名が付く別グループの昆虫。