概要
人気のある作品のキャラクターに自らの意見を代弁させることによって、その意見を正当化したり、キャラクターの人気を利用して自分の考えに説得力を持たせたりする行為のこと。基本的には批判的に用いられる表現である。
作品の製作側(原作者や制作会社、運営委員会など)による行為を指すが、既存の作品の二次創作として一ファンにより行われることを指す場合も多い。
「キャラの剣」となっているが、同時にその意見に対する批判を封殺する「盾」として働くこともある。
元となった表現は「人間の盾」という表現に準え、直接的な責任は無いが、影響力のある者を利用して批判の矛先をずらそうとする「声優の盾(※製作側の不手際や不祥事に対し、作品に出演している声優に視聴者・プレイヤーなどへの謝罪を代弁させる行為)」だと考えられている。
具体例
- 遊☆戯☆王
- 2019年夏の参議院議員選挙に際し、作者の高橋和希が自身のInstagramにて11月発売予定のイラスト集の表紙をアレンジし、ブラック・マジシャン、ブラック・マジシャン・ガールが当時の政権を非難するような内容のセリフ(「独裁政権」「ホント…日本って住みづらくなっちゃった」)を語らせ、アテムが持つカードに「Let's VOTE!(投票に行こう!)」と書いた画像を投稿。さらに、画像に添えられた文章には「本当に今の売国政権で日本の未来は大丈夫かと思うわ!ヤバイ〜〜!!」と直接的なヘイト表現もあった。
- のちに画像は削除、謝罪文が掲載されたが、作者のイデオロギーそのものというよりは、直接的・攻撃的な表現を「キャラクターにわざわざ言わせている」という点や、そもそも「発売予定のイラスト集の表紙をアレンジしたもの」であるという点についてファンからの批判が多かった。
- 第二次世界大戦中のプロパガンダ
- けものフレンズアニメ監督降板騒動
- 2017年に大ヒットしたアニメ版『けものフレンズ』で監督を担当したたつきが、自身のツイッターで次回作の監督を降板させられたと発言。その後一部のファンたちにより、アニメのストーリーに準えて登場キャラクターに「(版権を持ち、降板を言い渡したとされるKADOKAWAなどに)監督を返して!」などと言わせるようなコラ画像、二次創作イラストが投稿され、これに対し「キャラクターに何でもかんでも代弁させるのは気持ち悪い。批判したいなら(二次創作やコラの)作者本人が自分の言葉で意思を表明するべき」という趣旨のツイートが投稿された
- このツイートで「声優の盾」に相対する形での「キャラの剣」という表現が使われており、ここが原点、もしくは大きく広まる要因となったと考えられる。
- ポケットモンスターSPECIAL
- 2020年5月に起こった検察庁の法改正騒動の際、作画担当の山本サトシが「世界の全部を自分の思い通りにしようとしている人たちが……、本当にいたんだ!!」「信じられないくらいずるくて、信じられないくらいウソつきで、信じられないくらい卑怯で」という作中のコマ・台詞をアップし、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを付けてツイートした。
- 「ポケモンを政治利用するな」という批判が相次ぎ、同氏はツイートを削除。「自分の言葉を使わず作品のコマや台詞を隠れ蓑にして主義主張し、読者の作品やキャラクターに対する思いを汚してしまった」と謝罪した。