グリード・カークウェイン
ぐりーどかーくうぇいん
ネオ・ブリタニア帝国皇帝直属の騎士団・アインベルクの末席であるヴァイス・ポーン(白のポーン)の称号を与えられた男性。カークウェイン領内のナイトメアフレーム戦闘部隊の後方司令官。29歳。
容姿は丁寧に整えた赤い長髪の端正な顔立ちの美青年。
ヴァイスリッターだけあって戦略担当で、シュヴァルツ・ポーン(黒のポーン)でナイトメア戦闘部隊の隊長である弟のグラン・カークウェインと共に、カークウェインの領地を治めて各地での治安維持活動に従事している。
元は、皇サクヤの実母にしてホッカイドウブロックの領主・皇重護に嫁いだブリタニア皇族の一人であったシェリー・メ・ブリタニアの側近として、かの地に移住してきた貴族の一つであるカークウェイン家の子息であったが、弟同様に日本人を毛嫌いしており、後に日本がブリタニアの属領エリア11になってからは、グランと共に陰で日本人を馬鹿笑いしながら面白半分に殺していた(日本人の権利が比較的認められた特別統治区であるホッカイドウの地においてである)。
さらに4年前のネオ・ブリタニアの侵攻時には、弟と共に主君を裏切り、ネオ・ブリタニア勢力を内部から手引きし、主である筈のサクヤとその親友にして影武者の春柳宮サクラを雪の中でナイトメアで追い回した上で、サクラを本物のサクヤだと勘違いして捕まえた。そして、その功績もあってノーランドからアインベルクの一員に迎えられる。
しかし、その際にサクラを影武者とは知らずに捕まえてしまい、本物のサクヤの逃走を許すという失態をやらかしていた。
性格は、一見紳士的に見えて弟同様に典型的なサディズムに満ちたブリタニア至上主義の差別主義者。治安維持活動など名ばかりで、実情は気分次第で日本人を手当たり次第に娯楽感覚で殺しているただのクズである。琉高ハルカの母親も彼等の治安維持活動で殺されたらしい。
日本人の事は「ゴミ」や「猿」と言い捨てており、サクヤに対しても日本人とのハーフという事もあって幼少時から嫌悪感を露にしており、元より忠誠心などなかった(ちなみに彼等の両親は回想を見る限り、サクヤに対しても敬意を払っており、この偏見はこの兄弟だけのものだった模様)。
おまけに、戦略担当でありながらその戦略は極めて浅く力押しを好んでおり、その能力は弟共々かなりお粗末。過去にはナイトメアにも乗っていたが、サクヤ達を追い回していた描写しかなく、技量は弟と同レベルかそれ以下だと思われる。
その紳士的かつ優雅な風貌に反して、やってる所業の悪辣さはどっかの世界貴族並みの悪い意味での貴族キャラであり、その癖本性は大した実力もなく貴族の権威を傘にきて、弱者を虐げて喜んでいるだけのチンピラそのもの。おまけに後述するが、いざ自分が追い詰められると今度は他人の権威を傘に着ようとする小物であり、こんな輩が末席とはいえアインベルクに名を連ねている時点で、ネオ・ブリタニアという国家がどのような組織であるかが窺えるだろう。
ちなみに弟のグランに対しても、彼が死んだ後も特にその事には一言も触れておらず、肉親の情がどこまであったのかは怪しい。
劇中では、前述通りテロリスト鎮圧の名目で日本人を虐殺しており、冒頭で一見弟を窘める風を装いつつ、グランに夫を目の前で銃の的にされて殺された日本人女性に唾を吐かれるや、手を出すなと配下の兵士に言いつつ自らの手で躊躇なく射殺した挙げ句、自分で殺した相手の死体をハンカチで鼻を抑えながら不愉快そうに見下していた。
しかし、それらの蛮行に我慢の限界を超えた七煌星団から依頼を受けた「ナナシの傭兵」ロゼとアッシュの襲撃を受ける事になる。
最初は、ロゼの大言壮語とも言える宣言に嘲笑まじりの余裕を見せていたが、容易く自分のいる指令室に侵入されてしまう。保安部隊も彼のギアスで無力化されて来ず、銃を突き付けられた上で(そもそもここまで追い込まれた時点で、今更保安部隊を呼んでも間に合う筈もないのだが)、彼からナイトメアをチェスの駒に見立てたストラテジーゲームを申し込まれ、勝てば見逃すと言われる。
銃を向けられて生き残る為には乗るしかなく、物量にものを言わせて包囲するが、それはロゼの狙い通りに誘導され、まんまとアッシュが仕留めやすい位置取りをさせられたに過ぎず、ナイトメア隊は弟のグラン共々全滅させられる。
次は、お前の番とばかりにロゼから銃を向けられ、いよいよ進退窮まって「自分を殺せばノーランドが黙っていない」と今更ノーランドの権威を傘に着て脅しをかけるが、直後にロゼ=サクヤが変装を解いた事で動揺し、サクラがアバシリ収容所にいるという情報を漏らしてしまう。
自分達が影武者を掴まされた事を察して悔しがりつつ、「さっさと殺せ」と潔い態度を見せるが、彼女に銃を渡された上で、ギアスで「あなたが殺めてきたその100倍の日本人を救うと誓うなら生き延びる。でも、断れば死ぬ」と命じられ、嘲笑で一蹴しながら渡された銃を彼女に向けようとしたが、命令通りその銃口を腕が勝手に自分の頭へ向き、驚愕の表情を浮かべたまま、拳銃自殺させられるという形で死亡した。
ちなみに万が一彼が乗っていたとしても、彼が自分が殺してきた日本人の数など覚えている訳がないので、日本人を手当たり次第に助ける奴隷として奔走するしかなく、いずれにせよその後にサクヤにギアスをかけられた兵士達のように、ノーランドらの手で殺されていたと思われる。
名前のせいで、一部では弟とセットで「汚いぐりとぐら」と呼ばれる事もある。
前述通り、戦略担当と言いながらもその戦略は物量にものを言わせた非常に短絡的なもので、それはまだしも相手の裏を深く考えずに即決し、正体を顕わにしたサクヤに動揺して知らせるべきではない情報を漏らすなど、その一見知的な見た目に反して基本的に極めて思慮が浅い事が言動の端々から窺える。
というか、彼が弟共々アインベルクに末席とはいえ加えられたのは、単に上述の裏切りによる功績によるもので実力は全く考慮されておらず、アインベルクの中でも単に扱いやすい手駒として利用されていただけの可能性がある。そう考えるとこの末路は当然の結果と言えるだろう。
七煌星団からも、あくまで本命の依頼をするにあたってナナシの傭兵の実力を試す為の文字通りかませ犬として扱われており、上記の所業から怒りこそ買ってはいたものの、特に重要な敵だとは認識されていなかったらしい。