概要
『Wizardry』シリーズ第一作目の『狂王の試練場』から登場する伝統的なモンスターであり、ダンジョン下層階に出現する強力な悪魔。位置付けとしては、同系悪魔族の上位に当たる高位魔族として登場する。
フランス語版である "Sorcellerie" ではFURIE(フューリー)となっている。
同名のキャラクターは他のファンタジー作品(主に洋ゲー)にも度々登場し、基本的にレッサーデーモンより格上で、アークデーモンやデーモンロードより格下という位置づけ。
なお日本、海外問わず成人向け漫画にも、しばしばそのマッチョな肉体美を生かして竿役として出演している。大体そういう場合は肉体美に見合ったモノを描かれる事がほとんど。
また成人向けバーでの主役を張る事もしばしば。
アークデーモンやデーモンロードだと耽美要素も含まれるため、人気で言えばこちらが遥かに格上である。
直訳すると「上級悪魔」と言った所であり、同格にグレーターデビルが存在している事もある。
特徴
『狂王の試練場』では、下層階の地下9階から出現するマイルフィックとフラックに先んじて、ポイズンジャイアントと共に地下8階から出現する。痛烈な通常攻撃に加えて毒と麻痺の特殊攻撃を持ち、強烈な冷気を巻き起こす「マダルト」を中心に魔術師レベル5までの様々な魔法を操り、体力の最大上限値こそやや低い傾向にあるがAC(防御力)は高く、さらに魔法無効化率95%、即死無効化率66%を誇る作中屈指のモンスター。
その強さによってもたらされる恐怖と絶望は、「迷宮の主」として君臨するワードナよりも遥かに大きい。前述の強さだけでも十分だが、何より「隙の無さ」が最大の脅威。同格の他モンスターを見てみると、フラックは一撃死の特殊攻撃「クリティカル」や強力なブレス攻撃を持つが必ず1体で出現し、マイルフィックは仲間を呼ぶ上に魔術師レベル7の魔法「ティルトウェイト」や多彩な特殊攻撃を持つが最初は必ず1体で出現、ポイズンジャイアントは一度に最大で4体出現する上に強力なブレス攻撃を持つが仲間は呼ばないというように、先手が取れた場合、あるいは後手に回っても状況によっては活路が見出せる余白がある。
これに対し、グレーターデーモンは一度に最大で6体出現する上に頻繁に仲間を呼ぶ習性があり、さらにACも優秀で弱点も見当たらない。1体でも苦戦する相手が一挙に6体も現れ、次々と仲間を呼び込んで戦力の拮抗を堅持する隙の無さから短期決戦の望みが薄い性質上、マダルトは全体攻撃なので集団で使われるとこちらのHPを一気に削られる。結論として、熟練のパーティであってもどのモンスターと比較しても生還できる保証が無い。
対策
集団の利を活かした無類の強さを誇るグレーターデーモンではあるが、賭けの要素が強いものの成功すれば不利な戦局を覆す手段として大いなる奇跡を顕現する魔術師レベル6の魔法「ハマン」とその上位魔法「マハマン」がある。どちらもキャラクターレベルが13でなければ詠唱できない厳しい条件があり、さらに戦闘終了後にキャラクターレベルが1つ減少するという強烈なペナルティを課せられるが、ハマン系の詠唱後に示された3つの奇跡の中から「魔物を黙らせる」を選べた場合は一気に優位な展開に持ち込める。
ハマン系の詠唱で示される「魔物を黙らせる」とは、相手の魔法や呪文を封じる僧侶レベル2の呪文「モンティノ」の強化版であり、相手の魔法無効化率を完全に無視して確実に効果が現れる上に、戦闘を終了しない限りはその効果が永続的に反映されるという特徴がある。即ち、新たに戦闘に参加したグレーターデーモンにも封呪の効果が適用されるために魔法の一斉放射という恐怖に怯える必要が無くなり、毒や麻痺、通常攻撃による被害にさえ気を配れば、次々と湧いて出てくるグレーターデーモンを延々と撃破し続けることが可能となる。
この方法の最大のメリットは「グレーターデーモンは逃げない」という所にあり、1体につき約4万の経験値を持つグレーターデーモンを何十・何百と相手にする事で莫大な経験値の取得に繋がるため、ハマン系の行使によるデメリットを補って余りある恩恵を手にできる一点に尽きる。このように、生かさず殺さずの状態を長く保持して大きな利を得る技はプレイヤーの間で「養殖」と呼ばれており、特にグレーターデーモンによる養殖はシリーズの常套手段として広く用いられている。
注意
ハマン法の実行によってグレーターデーモンとの戦闘が格段に楽になり、時間をかければ一度の戦闘で莫大な経験値を取得できるようにはなるが、注意すべきは「ハマン系の詠唱で示される奇跡はランダム抽選」だということである。つまり、先に述べた賭けの要素とはランダム抽選を意味しており、常に「魔物を黙らせる」を選べるとは限らないのである。
むしろ、確率上ではハマン系の詠唱を決定した所で相手に先手を取られてマダルトを受けた末に魔術師が死亡する場合が多いため、不測の事態を想定してセーブデータの複製やオートセーブ判定前のリセットなど事前の準備を整えておいたほうが無難である。
『wizardry』シリーズ各タイトルでのグレーターデーモン
#1ではレベル8ニンジャ、#2と外伝シリーズおよび『DIMGUIL』ではレッサーデーモン、FC版Ⅲではヘルマスターをお供(後続)として引き連れている。
また#2ではアークデーモンが、FC版Ⅲではアークデーモンとライカーガスがグレーターデーモンをお供に従えている。
#4ではLv10召喚モンスター。頭数の多さと仲間を呼ぶ能力を考慮すれば選ぶ余地もあるが、『ニューエイジオブリルガミン』収録のアレンジバージョンでは全く旨みがない。
#5のグレーターデーモンは特殊で、必ず単体で出現し毒・麻痺の能力がなく、仲間も呼ばない。ティルトウェイトを含む第七位階の呪文を習得している。
舞台を変えたBCFでも出現。データ上は四種類(雄羊の寺院でレッサーデーモンを引き連れランダム出現するA種、ゾーフィタスのお供として出現するB種、召喚魔法で出現するC種とD種)が設定されており、SFC版では従来のデザインを継承しつつ新規に描き起こされ、種ごとの色違いになっている。
外伝Ⅰ~Ⅲでは従来シリーズ通り高位呪文と毒麻痺攻撃が健在で、コルツによる呪文防御やリトフェイトによる奇襲回避により若干マイルドになったとはいえやはり手ごわい存在だった。
が、外伝Ⅳではなんと毒と麻痺が無くなってしまい、しかも呪文もダメージ系だけでバスカイアーによる状態異常攻撃やパリオスやバコルツによる呪文妨害もできなくなる些か名前負けしてしまう存在となってしまった。
ディンギルでは毒の方は復活したがやはりこちらの動きを止める手段にかけ、パリオスやバスカイアーが呪文リストそのものからリストラされてしまった(残ったレベル5魔術師呪文はマダルト・ソコルディ・バコルツだけ)為、コイツが出る階層まで到達したパーティーにとっては多少タフなだけの雑魚でしかない。