概要
Wizardryシナリオ#5。
原題は"Heart of the Maelstrom"。
1992年時点での邦題は『災渦の中心』、2001年からは『災禍の中心』と改題されている。
前作#4が#3までのパターンを逆転させ、ジョーク要素も多めに盛り込んだことで、半ば公式パロディと化していたのに対し、#5では初期作品の正当な後継かつシリアスなシナリオにまとめられている。
1993年、原作竹内誠・作画しのざき嶺によるコミカライズ『ウィザードリィⅤ メイルストロームの彼方』(全1巻)がアスキーコミックスで発行されている。
プラットフォーム
PC-8801 / PC-9801 / FM-TOWNS (1990年)
『NAL』とは、シナリオ#4『ワードナの逆襲』のクラシックバージョンとアレンジバージョン、およびシナリオ#5『災禍の中心』を収録したタイトル『ニューエイジオブリルガミン(New Age of Llylgamyn)』。
#1 / #2 / #3を収録した『リルガミンサーガ(LLYLGAMYN SAGA)』も参照。
システム
システムの大きな変更点としては、
- ダンジョンの各フロアの構造が複雑化(正方形でなくなる)
- 呪文の追加・削除(召喚魔法も使用可能に)
- 後衛から直接攻撃できる長射程武器の登場
- 盗賊・忍者は戦闘中に奇襲攻撃を行える
- 宝箱の罠も大幅変更
- NPCとの交渉が複雑化(専用コマンドが設けられる等)
- 盗賊技能でシークレットドアの発見、扉の開錠
- 水泳技能による井戸や泉の探索、溺死
…などが挙げられる。
また画面構成も大幅に改修されている。
ただし五種族八職業、二系統の呪文、年齢の概念があり性別は設定されない、等々は#3までと同様で、これらの改革はさらに#6を待たねばならない。
ストーリー
L'kbreth の許から持ち帰られた宝珠の力により天変地異は鎮められ、世界の終焉は回避されたかに見えた。
だがそれから数年を経て、リルガミンは再び様々な災厄に見舞われる。
賢者たちが調査と考察の末にたどり着いた結論は、自然界の力のバランスが破壊され、そこに生まれたメイルシュトロームが世界そのものを飲み込もうとしている、というものだった。
この事態を解決できる人物はただ一人、秘密教団ブラザーフッドの指導者・大賢者ゲイトキーパーのみである…
The GateKeeper
ブラザーフッド教団の指導者であり、迷宮最奥の「三軸の門」にて四大元素の調和を護る賢者。
竹内誠による短編小説集『リルガミン冒険奇譚―ウィザードリィ異聞』ではこの人物の正体が(以下略)
最終決戦を前に異次元に消えたこの人物の協力がなければクリアは出来ない。
The S*O*R*N
ソーンも参照。
本作の(シナリオ上の)ラスボス。ゲイトキーパーの高弟であったが、世界を己の意のままに改変するという野心(Wizardryでは割とある動機)のために教団を裏切り、ゲイトキーパーを「三軸の門」の奥に幽閉した。
見た目は若々しいがそれは魔法によるものであるとされる。
日本語PC版では合衆国版のデザインに合わせ角の生えた鬼女の姿で描かれているが、SFC版では神官の法衣に身を包んだ楚々とした聖女の姿にリファインされている。
シナリオ#4のアレンジバージョンでは、主人公のワードナに意外な形で関わってくる。
ダンジョン
上述の通り、ダンジョンの構造は従来のシナリオに比べ大型化しており、各フロアごとに際立った特徴がある。NPCの呼称はSFC版に準ずる。
B1
敷地の大部分はブラザーフッド教団の施設になっている。
- グブリ・ゲドック(G'bli Gedook)
- アイロノーズ(Ironose)
- わらうヤカン(The Laughing Kettle)
B2
大きく三つのエリアに分かれており、拷問部屋、ブッバの健康温泉、地下酒場、ルドルフのスピリッツ市場などがある。
- ルビーウォーロック(The Ruby Warlock)
- スパークのアヒル(The Duck of Sparks)
- ‘きぞく'ノーマン(Norman the Noble)
- ‘はいきょうしゃ'ロブ(Renegade Rob)
- ‘じゃあく'ロゥスレイド(Evil Roe Slade)
- くちぎたないロン(Ribald Ron)
- ‘どうもう'フレッド(Ferocious Fred)
B3
通路の複雑さはトップクラス。風の王を祀るKAMA-KAZI寺院と、「時の失われし部屋」がある。
- ロード・ハインマイティ(Lord Hienmitey)
- マッドストンパー(The Mad Stomper)
B4
盗賊のアジト、長い長い(本当に長い)回廊、倒産した銀行、及び悪魔の部屋がある。
- ルーン(The Loon)
- スリのジョン(John Fingers)
- ‘こわしや'ブライアン(Busted Brian)
- ‘こじあけ'リック(Rick the Pick)
- タイスティックマン(The Taistik Man)
- ドムボゥ(Le Dombo)
B5
フロア全体がアミューズメント施設「マンフレッティーの店」になっている。華やかだが普通に死にます。
- ビッグマックス(Big Max)
- スナッチ(The Snatch)
- ジェーンおじょうさま(Lady Jane)
- カレナおじょうさま(Lady Karena)
- レノラ(Lenore)
- ルシアンナ・スカイ(Lucianna Skye)
- うたひめブレンダ(La Diva Brenda)
B6
氷で覆われたフロア。氷のフェリー(有料)、ネプチューンの井戸がある。
- マイティヨグ(The Mighty Yog)
- イビルアイズ(Evil Eyes)
B7
四大元素の化身たちが待ち受けるフロア。
- スペードのロード(The Lord of Spades)
- ハートのロード(The Lord of Hearts)
- ダイヤのロード(The Lord of Diamonds)
- クラブのロード(The Lord of Clubs)
B8
「三軸の門」が存在するフロア。最終決戦までに、B7と何度か行き来することに。
- ゲイトキーパー(The GateKeeper)
- ソーン(The S O R N)
B777
B7から来ることができる「地獄」。シナリオクリアに必要なイベントは何もないが、最強の装備を入手するために最強の魔物に挑むならココ。
隠しボス
本作の隠しボスは、ブラザーフッド教団の御本尊であるララ・ムームー(LaLa Moo-Moo)である。
一部で「ララ・ムームーってのはエジプト人さ!」などと噂されているが、それらしい装いをしている訳ではない。見た目は全然強そうでもなく、禍々しくもないのだが、実力は反則級。
それだけに彼(彼女?)を打ち倒せば、稀少かつ強力なアイテムを手にすることが出来る。
なおララ・ムームーと戦えるのはB1の某所なのだが、ここにはB777のテレポーターを経由しなければたどり着けない。
B777にはダークロード・ネザーデーモン・アークデビルと、これまた強烈なモンスターが徘徊している他、wizardryシリーズの製作者であるアンドリュー・C・グリーンバーグ、ロバート・ウッドヘッド、デイヴィット・W・ブラッドリーの幽霊がNPCとして登場するという楽屋ネタも盛り込まれている。
モンスターリスト
グリーンスライム / レディースティンガー / ブラックフライ / リーチリザード / ネザーマン
バンディット / トロール / マジシャン / アコライト / アンデッドウォーリアー
アイスファントム / ファングドトード / スティレット / ブラックバット / レイバン
レベル4ファイター / ボンボン / カンジャラー / バーサーカー / グウィライオン
スケアクロウ / ヘルハウンド / ジプシー / ジャッカルワー / ピンクマッシュルーム
デーモンインプ / ゴーレム / マスタードスライム / スコーピオン / ワーボアー
タイガー / ジャイアントスパイダー / マッグスマン / アマゾン / サムライ
シュゲンジャ / トーガ・ラマ / ロッティドベイパー / ミノタウロス / キングコブラ
ワイバーン / デーモンドッグ / グール / ガスト / ナイトロゥカスト
ゴリラ / ガーゴイル / バシリスク / ブラックブレード / レベル8シーフ
クィ・サン・モンク / ウォーロック / ドルイド / ホーディボーダー / ファイアードレイク
アサッシン / メデューサ / スモークデーモン / アーマーイーター / シーゲッズ
カルキドリ / ワイト / マスターシーフ / ロイヤルガード / ハタモト
クワック / ジョーカーオブデス / ロイヤルロード / ロイヤルレディ / グリーンドラゴン
ワーウルフ / バンパイア / フランケンシュタイン / クァシモド / ブラックナイト
ナイトメア / ビューティ / ビースト / イェティ / バーバリアン
フロストジャイアント / スノーキャット / ヨママ / エインシャント / トログロダイト
ブラッドウィアー / フリージー / ホワイトマッシュルーム / ブランクステア / スワンプシング
マイティオーク / レイス / リッチ / イフリート / ウィルオーウィスプ
ファイアーエレメンタル / ウォーターエレメンタル / エアーエレメンタル / アースエレメンタル / ロパブ・ディカ
ハイニンジャ / サイレントナイト / ダークウィザード / カーディナルファング / サイオニック
サッキュバス / マンフレッティーズゴースト / アンホーリーテラー / フーディーニ / インディゴマッシュルーム
ゴーゴン / ピットフィーンド / インキュバス / カコデーモン / スペクター
ドラゴネアー / がいこつ / マーフィーズゴースト / メイン / ハリコン
グレーターデビル / ブリーブ / ジン / グレーターデーモン / ソーン
クローン / ダークロード / ネザーデーモン / アークデビル / ゾンビ
ワーバット / ハークルビースト / ガーディアン / スペランカー / 風の王デジン
マカラ / シーコブラ / ゴールドスタチュー / ネッシー / ロックスベイビー
カッパーデーモン / スライニンフ / レディーネプチューン / トライトゥン / ホービュル
氷の王ロブナ / コング / フェイ / 火の女王ザナ / 火の王カンジ
ドラゴンフィン / フェニックス / 笑うヤカン / クラブのロード / ダイヤのロード
ハートのロード / スペードのロード / スナッチ / マッドストンパー / イビルアイズ
マイティヨグ / ビッグマックス / ルーン / ロード・ハイマンティ / スパークのアヒル
ルビーウォーロック / アイロノーズ / グブリ・ゲドック / ララ・ムームー / ハイサムライ
エンチャンテッドバード
本作ではNPCとの交渉中に機嫌を損ねると戦闘になり、逆にプレイヤーの方から戦いを挑むことも可能。
そのため本来なら協力を仰ぐべきNPCにもモンスターとしての能力が設定されている。
「地下酒場のドワーフ」「アジトの盗賊」「マンフレッティーの店のホステス」「地獄に堕ちた制作陣」の面々は、戦闘開始とともに仲間を呼び寄せ自身はすぐに逃げてしまうので、実際に戦うことはできず能力の設定も存在しない。
関連タグ
表記ゆれ 災渦の中心