禁断の魔筆
べいんおぶこずみっくふぉーじ
Wizardryシナリオ#6。
原題は"Bane of the Cosmic Forge"。
発表時のタイトルには『第六作』であることを明らかにするナンバリングが為されておらず、後述の理由からも『#6』ではなく『BCF』と呼称される事が多い。
前作#5も#3までのゲームシステムを大きく変化させていたが、BCFではそれ以上に抜本的な改革がなされており、ユーザーの反応は賛否両論に大きく分かれた。
良くも悪くも、従来のWizardryとは別物であり、新作のゲームとしても一定の評価は得ている。
日本では『新ウィザードリィ』の呼称がこのBCFと、本作から始まる三部作を指すものとして用いられていた。
ノベライズは、伏見健二による『サイレンの哀歌が聞こえる』(1992年JICC出版局)と竹内誠による『呪われし聖筆』(1995年ログアウト冒険文庫)の二作がある。
舞台はアラム地方。
書いた事が現実になるという、『コズミック・フォージ(Cosmic Forge)』と呼ばれる魔法のペンをめぐる物語。
百と二十年前にこの地を支配した邪悪な王と、彼に劣らず邪悪な魔法使い。
魔法のペンを使うために彼らが用いた方法とは、そして彼らはそのペンで何を書いたのか。
荒れ果てたアラムの古城に全ての謎が隠されている。そして宇宙の運命に導かれるかのごとく、城に踏み込む冒険者たち…
これがBCFの始まりである。
舞台はアラム城からスタートし、ジャイアントマウンテン、ドワーフの採掘場、アマズール族のピラミッド、死者の川、亡者の墓、沼地、死者の殿堂、魔法の森、雄羊の寺院と続く。
なお、#7こと『CDS』は本作の直接的な続編であり、見ようによっては悪い冗談のようなエンディングもその伏線になっている。
以下、エリアごとのNPCとモンスターのリスト。前作同様、ほとんどのNPCはモンスター(エネミー)としての能力も設定されており、すべてのイベントを武力行使でゴリ押しすることも不可能ではない。
アラム城
冒険の出発点。多くのエリアとつながっているが序盤は入れない場所も多く、まずは城外へ脱出することが目的となる。
NPC
- クィークェグ(QUEEQUEG)地下一階に陣取る商人。武具・呪文書・消耗品と幅広く扱っている。
- ル・モンテス(L'MONTES)海賊団の水先案内人だったが、正気を失い南東の塔に閉じこもっている。
- キャプテン・マティー(CAPTAIN MATEY)盗賊・海賊たちを仕切る頭目。遅かれ早かれ戦うことになる。
ランダム遭遇
ラット / ジャイアント・ラット / バット / ヒュージ・バット / バンパイア・バット
クリーピング・バイン / フューミング・バイン / ストラングラー・バイン / ローグ / ブッシュワッカー
ローグ・リーダー / ジャイアント・サーペント / ゾンビ / ブラック・バット / スカリーワグ
ブリガンド / パイレーツ / キラー・ラット / ラビッド・ラット / ジャングル・バイン
スライム / ポイズン・スライム / ヒドラ・プラント / ダンジョン・リーチ / ロッティング・コープス
固定出現
ゾンビ・ボーンズ / ファット・ラット / デーモニック・ヘルキャット
ジャイアントマウンテン / 採掘場
出現する魔物よりも、急峻な(踏み外すと即全滅の)山道と、複雑な(オートマップを駆使しても迷う)坑道が厄介。
NPC
- スミッティー(SMITTY)腕のいい鍛冶職人でレストランも経営(ただしメニューは焼きトウモロコシのみ)。
- トール・トロール(TOLL TROLL)山道に陣取り、通行料(TOLL)をせしめる長身(TALL)のトロール(TROLL)。
- ミスタファファス(MYSTAPHAPHAS)ゾーフィタスの弟子だったが、フォージを用いたことで大蛇に変身してしまった。
- ゾーフィタス(ぜん) ( XORPHITUS(G) )物語のキーパーソン。善と悪に分離した半身。
- ロック・ガーディアン(GUARDIANofROCK)一応NPC扱いだが戦闘は避けられない。ルビーの目玉を所持している。
ランダム遭遇
アマズール・ゾンビ / ジェリー・クラウド / ゼラチン・ベイパー / フローター / マン・オー・ウォー
ジャイアント・アント / フォーリジャー / バスペス / アシッド・スライム / コールド・スライム
ジャイアント・ワーム / ホワイト・ワーム / マイナー・ドワーフ / メジャー・ドワーフ / トリックスター
ヒル・ジャイアント / マイナー・ジャイアント / マウンテン・ジャイアント / モンストラス・バット
固定出現
ラバー・ビースト / フリッツ・グリンズ / クラウス・グリンズ
ピラミッド
火炎魔神を崇拝する女人族・アマズールの拠点。目の保養にはなる?
NPC
- アマズール・クイーン(AMAZULU QUEEN)貢物を強要してくる、挑発的な女王様。
- クワリ・クボナ(KUWALI KUBONA)アマズール族の祭祀にして女王の腹心、抜け目のない商売人。
- マウ・ムー・ムー(MAU-MU-MU)一応NPC扱いだが戦闘は避けられない。ルビーの目玉を所持している。
ランダム遭遇
山道・坑道の魔物の一部が、ピラミッド内にも棲息している。
アマズール / アマズール・アーチャー / シャーマネス / プリーステス / ファイアー・ファラオ
固定出現
アメン・タット・バット / グープ・グループ
死者の川
アラム城地下の研究室は死者の川へと繋がっており、亡者の島・忘れものの島・預かりの島へと続く。
NPC
- カロン(CHARRON)死者の川の渡し守。「たましいのつのぶえ」で呼び出し、「はいのつぼ」を渡そう。
- ミノ・デーモン(MINO-DAEMON)これもNPC扱いだが、倒さないと話が進まない。
- サイレン(SIREN)「サイレンの哀歌」を知る者に「みずのつばさ」をくれる。戦って奪うことも可能。
- マイ・ライ(MAI-LAI)預かりの島で受付を務める傍ら、質流れ品の販売も行っている。
- じょおうのゆうれい(QUEEN'S GHOST)彼女と戦うことはできない。エンディングの分岐に深く関わってくる。
- ??ベイン・キング??(?? BANE KING ??)ここでの遭遇はいわゆる負けイベントであると同時に、エンディングの分岐点でもある。
ランダム遭遇
シー・サーペント / ウォーター・ドラゴン / ジャイアント・クラブ / キング・クラブ / ドラゴンフライ
ジャイアント・モスキート / ヒュージ・スパイダー / タランチュラ / ジェリー・フィッシュ / サイレン
サイレン・ソーサリス / ナイトゴーント / スケルトン / スケルトン・ロード / バンシー
スピリッツ / レイス / ゾンビ・ガード / インディゴ・バット / モンストラス・スネーク
ポイズン・バイパー
固定出現
スペクター / アイラズ・ゴースト / マローズ・ゴースト / ブリズ・ゴースト / ナーシズ・ゴースト
アイランド・ジャイアント / ボーク / ディスコ・ゾンビ / ゴーストリィ・シー・ハグ / インセイン・スケルトン
沼地&魔法の森
入り江には難破船が漂着しており、奥に進むと牡羊の寺院がある。
NPC
- キャタピラー(CATERPILLAR)愛煙家の芋虫。彼の依頼は遂行しなくても本筋に影響はない。
- デルファイ(DELPHI)神託と引き換えに所持金全額をむしり取られる。必要なのは杖の方だが。
- フェアリー・クイーン(FAERIE QUEEN)森の切り株で「ティンカーベル」という鈴を使用すると登場。
ランダム遭遇
ハイランダー / ダーク・クルセイダー / サムライ / ジェイル・ラット / ラム・ガーディアン
デス・ナイト / ニンジャ / ドロー・エルフ / ユアン・ティ / ブルー・テイル・フライ
ダイショー・マスター / リッチ / ホーント / アサッシン / チューニン
ゴブリン / ゴブリン・シャーマン / ゴブリン・プリースト / グレムリン / ティラノザウルス
ウィル・オー・ウィスプ / レイス・ロード / ポイズン・ジャイアント
固定出現
フェアリー・シルフ
???
物語の終盤。ここまでのプレイヤーの判断によって、展開が大きく変わってくる。
NPC
- * ゾーフィタス *(* XORPHITUS *)
- アラムの災いの王(表記は伏す)
- レ ベ ッ カ(R E B E C C A)
- * ベ ラ *(* B E L A *)
- アレスエイデス(ALETHEIDES)
ランダム遭遇
マインド・フレイヤー / クリスタル・キーパー / ディフェンダー / グレーター・デーモン / レッサー・デーモン
ロード・ダイミョー / グランドファーザー / ラダメス / ランブル・ロック / ラム・プリースト
ピット・フィーンド / レッサー・デビル / ツイステッド・シルフ / アカースド・ワン
本作では、モンスターおよびNPCに数コマのグラフィックが用意されており、戦闘・交渉中にアニメーションで動くという演出が採用されている。
SFC版は(静止画像での画質はⅤより劣るものの)、全NPCに専用のグラフィックが描き起こされ、雑魚モンスターも一種ごとに色違いになり、画面上で動きまくる。
SFCの画質とはいえ、末弥純原画のアニメーションというのは地味にレア。
一方でSS版は『Ⅵ&Ⅶ』が一枚のディスクに収録されている関係で、PC版CDSに準じたグラフィックが新規に作成されている。画面全体の画質はSFC版より優れているが、モンスターに関してはSFC版BCFと較べてもPS版CDSと較べても見劣りするのは否定できない。
また冒険者の顔グラフィックが表示されるのも本作から。一部の版ではドット絵を自分で作れるエディタもついているが、この機能がない場合はあらかじめ用意されているものから選ぶことになる。
主人公に相当する冒険者の人格や過去の物語に関して何も用意されていないのは#5以前と同様であり、一切はプレイヤーの想像力に依存する。
多数の新要素を盛り込んだ一方、バランス調整には難がある。特定の種族や職業が冷遇されていたり、一部のスキルがほとんど役に立たなかったりする。
また各移植版ごとに、ゲームの進行が不可能になる極めて重大なバグ・不具合が存在する。
PC版
レベルアップ時に取得できるスキルボーナスを使い切らないとレベルアップの処理が終わらない。つまり「成長させられる全スキルがカンストしているキャラクター」がレベルアップしてしまうと、その時点で詰んでしまう。やりこみ派の愛好家ほど陥りやすい罠。
SFC版
PC版での不具合や調整ミスの多くが修正されており、全体的に完成度が高い。さすがはアスキー。
ただし、特定の操作を行うと「ゲームを開始することもセーブデータを消去することも出来ない状態」になってしまう(カセット内のバックアップバッテリーを外さなければ解除できない)という、SFC版特有のバグが存在する。
ちなみに『禁断の魔筆』という邦題はSFC版でしか使用されていない。
SS版
難易度設定が存在し、「やさしい」だと戦闘で常時プレイヤー側が先攻、「ふつう」「むずかしい」だと常時敵側が先攻となる。さらに「スロー」の呪文を使用されると、戦闘終了まで一切の行動が出来なくなる。この二つの組み合わせで詰んでしまうプレイヤーは多かった。他にも数多くのバグ・不具合が確認されており、上記のグラフィックも併せてSS版の市場での評価はごく厳しいものとなっている。さすがはデータイースト。
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