概要
初出は『Wizardry Bane of the Cosmic Forge』(1990年)。
プレイヤーが操作する冒険者のキャラクターを作成する際、選択可能な種族の一つ。
『BCF』で追加された新要素(後述)。
以来複数のファンタジー作品に、プレイヤーキャラクター、NPC、エネミーなどとして起用されている。
登場作品
- Wizardry
- Wizardry外伝
- 『Ⅲ闇の聖典』
- 『Ⅳ胎魔の鼓動』
- 『DIMGUIL』
- 『神撃のバハムート』
同期デビューのフェルパー(felpurr)に較べると、起用率はやや低め。
また「(マスコット枠としての)イヌ型種族」のポジションにドワーフ(ととモノ)やノーム(生命の楔)、「友好的なコボルド」が起用される例もある。
特徴
頭部は犬で体型と体格は人間(ヒューマン)と同じ、全身が毛皮で覆われている。
森林で暮らし、気高く優しい気質を具え、(土地柄にもよるが)人間とも友好的な関係を築いていることが多い。
特性値については信仰心と生命力に秀でており、僧侶としての優れた資質を持つ。
また作品によっては「毛皮による冷気耐性」「鋭い牙による格闘攻撃へのボーナス」「レンジャー職への適正」などが設定されている。
関連タグ
後期三部作
本家Sir-techによる『Wizardry』正伝は全八作、第六作となる『BCF』は#1・#2・#3・#5までの共通要素(『城塞都市』の記事参照)に対し大幅なテコ入れが為されている。
続く『CDS』『8』は発表時期が隔たっているためシステム面の変化も多いが、ストーリーは繋がっていることから『BCF』での追加要素は概ね継承されている。
株式会社D4エンタープライズによる『プロジェクトEGG』のパッケージ第24弾として、『BCF(PC9801版)』『CDS(PC9801版)』『8(win95/win98版)』の復刻版を収録した『Wizardry Legacy -BCF,CDS & 8-』の発売が2024年6月下旬に予定されている。
追加要素
従来の「五種族」「八職業」「二系統の呪文」が、「十一種族」「十四職業」「四系統の呪文」に増加。さらに性別も設定され、装備・転職等に影響する。
- 追加種族
フェアリー / リザードマン / ドラコン / フェルパー / ラウルフ / ムーク
- 追加職業
レンジャー / アルケミスト / バード / サイオニック / バルキリー / モンク
さらに武器関連十種・運動関連六種・学術関連八種の「スキル」が新たに設けられ、当該の行動をとるか、レベルアップ時にボーナスを注ぎ込むことで上昇させられる。
呪文は従来の回数制からMP消費制に変化。呪文名も刷新され、"ENERGY BLAST"や"HEAL WOUNDS"といった英語に統一されている。
全七十九種の各呪文には、(どの職業で習得できるかに関わる)四つの「系統」とは別に、六つの「領域」(火・水・気・地・心・魔)が設定されており、MPは各領域ごとに消費する。
詠唱時は六段階の「PL(パワーレベル)」で出力調整が可能。
HP・MPとは別に「スタミナ」という数値が設定されており、攻撃、呪文詠唱、限界重量を超えた荷物の運搬によって減少し、休息によって回復。0になると睡眠状態に陥る。
全てのアイテムに重量が設定されており、武器はそれぞれの対応スキルと、「持ち手」(利き腕、両手、補助)「射程」(短距離、長距離、射撃、投)が設定されている。また矢や投擲武器は、使用する度に残弾数が減っていく。
防具は頭・上半身・下半身・手・足・アクセサリー・盾の各部位に装備可能。
削除要素
HP・MP・スタミナの回復や状態異常の治癒は、キャンプコマンドの「休息」か、呪文・アイテムなどを使用する。
レベルアップは経験値が規定値に達した時点で自動的に発生する。転職も随時行える。年齢は設定されているが、転職しても従来のように加齢はしない。
一つの職業でレベルを上げていくより、低レベルで転職を繰り返したほうがキャラクターを成長させられるようになっている。
パーティー人員の入れ替えは行えず、冒険開始時のメンバーだけで最後まで切り抜けることに。全滅しても救助隊は出せないので、自動的にゲームオーバー(最後にセーブした時点からやり直し)になる。
また「灰化」と「消失」も廃止となり、「死亡」状態になったメンバーを確実に蘇生できるようになった(ただし序盤でその手段を確保するのは困難)。
上に挙げた変更点の多くはwizardryとしては大きな様変わりではあるが、RPGという分野においてはむしろ一般的な主流のスタイルに近づいたと取れる要素も少なからず見られる。#5以前が「ハクスラ寄りのRPG」、BCF以降は「ハクスラ要素を減らしたRPG」ともいえる。
このため、いわゆる「和製wiz」には、#5以前を基礎として部分的にBCFの要素を採用した、折衷的なスタイルが多くなっている。