射程とは、飛び道具の攻撃範囲のことである。
概説
もともとは弓矢や銃、または大砲やミサイルなどの届く距離を指す。
ここから転じてマンガ・アニメ・小説といった創作やゲームなどでは届く可能性がある範囲内という意味で用いられることがほとんどとなっている。
飛び道具の届く距離は「その時」「その場所」「その状況」ごとの様々な条件においても変わるため、想定しうる最大の飛距離のことを射程と呼ぶことが多い。
そのため「射程100m」という表記があったとしても、必ずしも100m届くとは限らない。
わかりやすいところで例えると風の有無や強弱、そして風向きは飛び道具にとって非常に重要で、向かい風ならば射出された物体に対する空気抵抗が大きくなるため、必然的に射程は短くなる。
なお、余談であるが弓なら(種類や弦の張りにもよるが)最大射程は200mほどである。
銃や大砲などはものによって射程に大きなばらつきがあり、基本的に技術の進歩により、現代に近い時代に開発されたものほど長射程である。
その他、新紀元社の「武器事典」という本には様々な武器の射程が書かれているので、興味がある方は一読してみてはいかがだろうか。
ゲームでも射程という概念が用いられることがあり、多くはSRPGなどのようにマス目の概念がある場合に用いられる。
射程が1ならば隣接しているマスの敵に、2ならば1マス離れたところまで攻撃できる、という具合である。
大体の場合弓などの武器であれば遠くまで攻撃できる、という設定がされている場合が多く、対して刀剣などの接近戦用の武器は射程が短い(大抵のゲームで射程1~2)、というのが半ばお約束と化している。
一方で、ファイアーエムブレムのように武器の射程が長くても、懐に入られると攻撃できない、という場合もあり、これを「射程に穴がある」などと表現する。
また、こうしたゲームの多くは「飛び道具=便利だけど低威力」「接近戦用武器=癖が強いけど高威力」であることが多く、威力面でも差別化が図られて一長一短になっていることがほとんどである。
スーパーロボット大戦では「射程∞」なんて代物が登場することもあるが、いずれも原作において惑星や銀河ごと吹き飛ばすレベルの最終兵器である。
因みに、RPGであるメタルマックス4にも採用されているが、調整不足ばかりが目立ち(プレイヤーの武器にのみ実装されており、敵は基本的に全距離対応の攻撃しかしない)、プレイヤーの害悪にしかなっていない。
有効射程と最大射程
特に銃などの火器で言及されるのが、「有効射程」と「最大射程」である。
有効射程とは「その武器が最大の効果を維持できる範囲」、最大射程とは「その武器の攻撃が届く限界の範囲」を指す。
例えば標準的な拳銃の場合、最大射程は50m以上あるが有効射程は10m前後とかなり短い。
スナイパーライフルなどは顕著で、創作作品では1km~2kmなど長大な射程を有しているように描かれる一方、本来の標準的な有効射程は600~700m前後と半分以下になる。
つまり「攻撃を照準から出来るだけ逸らさずダメージも最大限に与えられる」範囲こそ有効射程なのであり、最大射程だけを信用すると「攻撃は当てられるかもしれないが弾速も威力も衰えて弾丸も逸れてしまう」という事態が発生する。
また、距離は長いとそれだけ効果範囲が広くなる一方、遮蔽物や風の向きと強さが障害となってくる。
場合によっては気温と湿度、緯度と経度とそこから算出される地球の遠心力さえ計算に入れなければ、当たるものも当たらなくなってしまう(逆を言えば、ベテランのスナイパーはそうした要素まで計算して狙撃を行っている、ということでもある)。
前述の風の有無や風向きはもちろん、たとえば雨粒の一滴、あるいは小さな葉っぱ一枚であっても、発射された銃弾にわずかにかすっただけで弾速を削いで射程を縮め、弾道を容易に狂わせてしまうのだから。
射程が長いということは、標的に当てるまでに関わる全ての障害を綿密に計算する必要に迫られるため、とりわけ少ない弾数で確実な命中を求められる狙撃手や砲撃手は得てして数字に強くなければできない役回りでもある。
関連タグ
射程距離 「射程」に距離の意味があるため重言ともされる。ジョジョの奇妙な冒険シリーズなどではこちらの表記が使われる。