概要
「ゴッドマジンガー」を冠するものは、五種類存在する。
1:実際にアニメとして放送された、石像のマジンガー
詳細はこちらに。→ゴッドマジンガー
2:「グレートマジンガー」の初期稿
3:グレートの後番組になる予定で、グレンダイザーが無ければマジンガー三作目になるはずだった没企画。(メイン画像左)
4:劇場用SFアニメの企画案。(メイン画像中央)
5:小説『スーパーロボット大戦』に登場する究極のマジンガー。(メイン画像右)
詳細はこちらに。→ゴッドマジンガー(スーパーロボット大戦(小説))
本項では、最初と最後の項目の「ゴッドマジンガー」以外、2.3、4に関して説明する。
「グレートマジンガー」の初期稿のタイトル
「ゴッドマジンガー」は当初、1973年の春ごろに立てられた「グレートマジンガー」の企画初期稿のタイトルであった。
「マジンガーZ」に続くシリーズ2弾として、まずは「ビッグマジンガーZ」が立案。
Zの強化版である「ビッグマジンガーZ」を駆る甲児……という内容だったが、具体的な企画に発展できず、消滅。
続き立案されたものが「ゴッドマジンガー」。
神竜達也率いる「スクランブルナイツ」の5人が、マジンガーZに代わりミケーネと戦う……というもの。
後に「グレートマジンガー」となったこの企画案。
決定稿である「グレートマジンガー」と異なる最大の点は、戦闘のプロフェッショナル集団である「スクランブルナイツ」を主役とした、「チーム編成して戦う」というところ。
(なお、3人チームの「ゲッターロボ」の放送はグレートの放送より半年早く、企画が立案されたのはほぼ同時期)
初期稿のプロットも、ほぼグレートマジンガーと同じであり、最初期に描かれた主役ロボットである「ゴッドマジンガー」のデザインも、グレートとほぼ同じである。
(異なるのは、頭部がグレートよりやや大きく開き、胸部のブレストバーンがより大型化している程度)。
※参照
スクランブルナイツは5人組で、後の剣鉄也となる神竜達也に、炎ジュン、そして3人の少年で構成されている。また、この3人が搭乗するとおぼしき3機の戦闘機のラフデザインも残されている。
(後の「グレンダイザー」で、グレンダイザーを3機のスペイザーでサポートするチーム構成の原型とも言える)
この企画案をさらに進めていくうちに、大きく2つの点が改められた。
1つは、同時期に企画が進行していた「ゲッターロボ」と被らぬよう、スクランブルナイツの存在が破棄。プロフェショナルという点を活かしたまま、チーム編成という点のみが排除。3人のメンバーの存在もまた排除された。
そしてもう1つは、「作品タイトルの変更」。
企画を煮詰めている最中、1974年2月、特撮番組「仮面ライダーX」が放送開始。この敵組織の名称が「GOD」であったため、急遽改題されることに。
結果、「ゴッド」のかわりに「グレート」が付き、決定タイトルは「グレートマジンガー」に。それにともない、主人公の名前は神竜達也から剣鉄也に変更される事になった。
こうして、「ゴッドマジンガー」は「グレートマジンガー」に発展し決定、「マジンガーZ」の後番組として放送を開始し、現在に至る。
グレートの後番組の企画案
1975年頃、マジンガーシリーズの最終作を構想していた永井豪とダイナミックプロが東映動画へ提出した『グレートマジンガー』の次番組としての企画書が出自である。複合的な要因により頓挫し、最終的には『UFOロボグレンダイザー』が制作された。
この企画はマジンガーシリーズを決着させる意図を持って製作予定だった事もあり、ファンの間では有名で、後年のムック本で当時の主役機のデザイン画と大まかなあらすじが載せられた事から、比較的著名である。
企画書に於ける大まかなあらすじ
ミケーネの猛攻を退けたグレートだが、地獄大元帥は最終決戦の準備を整えていた。
それに対抗するため、弓教授は光子力エネルギーを遥かに凌ぐ新エネルギー、反陽子エネルギーの開発に成功。これを超合金Zに照射する事で、超合金ニューZ以上の、強化された新たな超合金を産み出す事が可能になる。
それこそが、超合金GZ。
そして弓教授の手により、Zを一度解体し、超合金GZ製の新たな外装を取り付け、反陽子炉を搭載する事で、新マジンガーに改造する計画が着手されていた。
しかし、専用新パイルダー「マシーンウル」が完成した時点で、地獄大元帥の攻撃が始まってしまった。
グレートマジンガーの奮戦虚しく、科学要塞研究所は地獄大元帥の猛攻で陥落した。光子力研究所ではマジンガーZを改造して新マジンガーにする作業が進められていたが、作業は遅延。
グレートに反陽子炉を搭載して出撃して撃退し、かろうじて時間を稼ぐ。しかし、超合金ニューZでは反陽子エネルギーは耐えきれず、グレートは修復不能なほどに半壊。更には鉄也も半身不随になってしまった。
そして、炎ジュンも犠牲になり、『ゴッド・マジンガー』は完成。甲児が乗り込み、ミケーネ戦闘獣軍団を粉砕する。
闇の帝王はこれに激怒。地獄大元帥に自らの正体を明かし、最終決戦に備える。
甲児たちもまた、新たに前線基地『ゴッドの砦』を建設。甲児はさやか、そして『ゴッドの砦』指揮官となった鉄也とともに、ミケーネ帝国との最終決戦に挑むのだ!
主役機としての概要
何分、企画書の段階で没になった機体なので、情報が乏しい。
分かっているのは獣型パイルダーがあり、エネルギーは反陽子である事、武装に観音開きブレストファイヤーがあることだけである。
さらに、腕の形状はグレンダイザーに似ており、スクリュークラッシャーパンチに似たパンチを発射できる様子(おそらく、グレンダイザーにこのアイデアを用いたものと思われる)
頭部の形状は、グレートおよびカイザーのような尖ったデザインとは全く異なる、独特なもの。かろうじてZに近いとも言えなくはないが、口元の格子状のパーツが無いため、一見したら「マジンガー、もしくはその系譜にあるロボット」にはとても見えない。
ちなみに、スクランダーは描かれていない。
単に描かれてないだけと思われるが、ジェットスクランダーのように外付けなのか、スクランブルダッシュのように内蔵式なのか、企画書に記述がないため不明。
動力源は、反陽子。光子力を遥かに凌ぐ超エネルギーで、グレートに反陽子炉を搭載しても、超合金ニューZでは耐えきれず、活動不能になってしまう。
また、全身を構成するのは、超合金GZ。
超合金Zに反陽子エネルギーを照射する事で作り出される金属で、おそらく超合金ニューZ以上の強度を持つと思われる。
パイルダーは「マシーンウル」。大きさがパイルダー並のメカ狼といったデザインで、等身大の敵に対しての戦いに用いられるものと推測。背中にホバー(ジェット)パイルダーのような風防のコックピットが存在し、甲児がそこに乗り込んで操縦する。
飛行能力の有無は不明。また、ゴッド本体へのパイルダーオンもどのようなものかは不明。形状からして、変形するものと予想される。
もし実現していたとしたらこうだったかは定かではない。
幻の劇場版「ゴッドマジンガー」
「ゴッドマジンガー」にはもう一つ、実現しなかった企画がある。
それが本項の、劇場公開予定だった「ゴッドマジンガー」である。
同企画は1979年頃に企画されたもので、ジャンルは「スペースオペラ」もの。劇場公開作品として企画され、ダイナミックプロや永井豪御大によるキャラデザインとメカデザイン、そして荒木伸吾・姫野美智両氏によるアニメ用キャラデザインも残されている。
この企画が書かれた1979年の前後。当時は「宇宙戦艦ヤマト」を端に発したアニメブームが続き、マジンガーZのTV放送から7年、グレンダイザー放送終了から大体2~3年が経過しており、マジンガーシリーズの人気は継続、当時の子供たちにとってもいまだに知名度の高い存在だった。(なお、後に大人気を博す事になる、機動戦士ガンダムの劇場版公開もこの頃)
また、当時はSFブームで、「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」「スーパーマン」といった、ハリウッドのSF映画も公開され、莫大な人気を得ていた。
これらの要素から、マジンガーでオリジナルのSF作品を製作し、全世界に向けて公開しようと考えられた事は、想像に難くない。
莫大な予算を投じて製作し、1981年に公開予定だったが、今現在に至るまで実現には至っていない。
劇場版「ゴッドマジンガー」あらすじ
超未来、冥王星付近のスペースコロニー「ネオフロンティア」の提督の息子、ジョー・スタボーイが、スタイロス星の王女・フローリアを救出する事から始まる。
フローリアは、超エネルギー物質「ドリームーン・ストーン」を有しており、ロボット魔王ギャラディーンはそれを狙っていた。
スタイロス星はギャラディーンの軍団により滅亡。スタボーイはフローリアの願いで、ともに地球に向かうが、ギャラディーンの追手により父アーネストを殺される。
現在の地球は荒廃していたが、そこには邪悪を倒す強大なる伝説の魔神が存在するという。
地球の武器商人・ガークを味方にして、ギャラディーンの魔の手から逃れるスタボーイとフローリア。
やがて、地球の伝説の地で、一人の老科学者……カブト博士に出会う。
ドリームーン・ストーンは、魔神の起動キーであり、そのエネルギー源。そしてその魔神こそが、カブト博士が守っていた巨大ロボット「ゴッド・マジンガー」。
しかし、ギャラディーンの兵士たちにより、フローリアは捕らわれてしまった。
果たして、ゴッドマジンガーは復活するのか。そしてスタボーイは、ギャラディーンを倒す事が出来るのか。
劇中に登場予定だったゴッドマジンガー
この作品におけるゴッドマジンガーは、Zに似たデザインのグレンダイザーといった趣。
巨大ロボットというより巨大人型宇宙船のようでもあり、巨大宇宙船ビッグタイタンとドッキングが可能。その際のデザインは、スペイザーと合体したグレンダイザーを彷彿とさせる。