「綾波を……
返せっ!!!!」
概要
同シリーズの十年振りの新作である『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』では旧シリーズに比べて碇シンジの性格は比較的前向きに描かれている。
殊にそれが顕著になったとされるのは、第2作『破』の終盤で、搭乗時に父ゲンドウを圧倒し、明確な意思の下に神化したエヴァ初号機を駆って、人為的な暴走状態のビーストモードとなった弐号機ですら倒すに及ばなかった第10の使徒を圧倒し無力化する。その上で、使徒に零号機ごと取り込まれてしまった綾波レイを救い出した。
この時、「綾波は綾波しかいない!」「来い!」と叫び、内向的で自己愛に塗れていたそれまでの自身から脱却し、綾波へ愛を素直にぶつけるという男らしい姿を見せ付けた。
力強く、ひたむきに、レイの手を掴むその姿は、直前の初号機の圧倒的な強さと併せて多くの観客に多大なカタルシスと感動を与えた。
pixivでは上記のシーンが描かれたイラストにタグとしてつけられることが多い。
多くのファンはテレビアニメ版及び旧劇場版までの彼を子どもっぽく「シンジ君」と呼ぶのに対し、一部のファンは新劇場版の彼に敬意を込めて「シンジさん」と呼ぶようになった。
「うおおおぉぉっ!!! 綾波っ! 手をっ!!」
「来いっ!!!」
──綾波、父さんのこと、ありがとう…
ごめんなさい、何も出来なかった…
いいんだ、もう、これでいいんだ…
余談
そんなシンジさんではあるが、『破』公開直後から「本当にこれは前向きなのか?」と疑問視する声も上がっていた。
その主な理由が『破』終盤のリビルド元と思われる旧TV版第拾九話「男の戰い」である。
この拾九話ではシンジが再びエヴァに乗る決意を固める流れや、覚醒直前のシンジの感情が高まっていく流れが丁寧に描かれており、その格好良さが大きな人気となっていた。
しかし『破』ではそれらの流れがかなり省略されており、前述のようにキャラ崩壊じみた「突然の変貌」として描かれている。
そのため一部の観客からは物足りなさや違和感が語られることとなった。
その他にも
- 実は覚醒はゲンドウの計画通りであったことが仄めかされる
- BGM「翼をください」の微妙に現実逃避的な歌詞
- 初号機がそのままサードインパクト(実際は未遂に終わったが)を起こし始めるというどんでん返し
などの不安要素から、
「実はゲンドウの掌で踊らされているだけなのでは」
「旧劇場版のアスカVS量産機のような、『王道展開と見せかけた鬱展開』なのでは」
と心配の声が上がることとなる。
そして、残念ながら続編『Q』にてその予想はある意味的中し、「今回も『シンジさん』が見られるのでは」という予想は叶わなかった。
だが、最終章『シンエヴァ』にて、心も体も成長したシンジ君……ではなく本当のシンジさんが登場する。
詳しくは碇シンジの記事にて。
原作外のシンジさんっぷり
『スーパーロボット大戦α』では未使用武器「マゴロク・E・ソード」が追加武装として登場するのだが、そのモーションはどう見ても習得が極めて難しいとされる居合なのである。特にそれを習得する描写もなく、EVAでやってのけるあたりにいつドコで覚えたんだシンジさん!?となることうけあい。