概要
名称はギリシャ語で「撒かれた者」と言う意味。
近年は骸骨姿のモンスターとして描かれる事が多いが、これは後世創作の影響(映画「アルゴ探検隊の大冒険」での演出が恐らく最初かと思われる)であり、伝承では普通の人間と変わらぬ姿をしている。
なお、アルゴ探検隊に登場した個体の生成に使われたのはかのヒドラの牙である。
由来
テーバイ人の始祖・カドモスが女神アテナに生贄を捧げる為、部下に命じて清らかな泉に水をくませに行った。部下は泉を見つけ、水を汲んで帰ろうとするが、泉に住むドラゴンに妨害され、ひとり残らず殺されてしまう。実は泉はアテナに敵対する軍神アレスの所有であり、ドラゴンはアレスの眷属であった。部下を惨殺された事に怒ったカドモスは、激闘の末にこのドラゴンを退治する。ドラゴンが死んだ後、疲弊するカドモスの前にアテナが姿を表し、退治した竜の歯を大地に撒くように命ずる。カドモスがドラゴンの歯を大地に撒いたところ、地中から武装した男達が現われた。彼らは生まれるや否や互いに争い(一説にカドモスが中央に石を投げ入れ騒乱を招いたとも)、最終的にエキーオーン、ウーダイオス、クトニオス、ヒュペレーノール、ペローロスと呼ばれる5名だけが生き残った。カドモスはドラゴンに殺された部下の代わりにこの生き残った者達を従者に加えたと言う。
なお、このカドモスの牙はのちにコルキス王アイエーテスの手に渡り、金羊毛を要求したイアソンを殺すために利用した。アイエーテスはイアソンを騙して火を吐く雄牛を使って地面を耕させ、誕生したスパルトイにイアソンの殺害を命じたが、メーディアの介入で失敗に終わっている。
余談
海外のファンタジー作品には、ドラゴントゥースウォーリアー(Dragontooth Warrior)、竜牙兵と呼ばれるスパルトイを基にした骸骨の魔物が登場する。日本ではスケルトンの名称で知られている。作品によってはいわゆるアンデッドであるスケルトン・ウォーリアーとは区別され、ゴーレム扱いのために「ターンアンデッド」のような対アンデッドの魔法は通じないが「ディスペルマジック」のような魔法を無効化する魔法は通じるという扱いの場合がされる事もある。
前述の通り、スパルトイが骸骨剣士扱いされるようになった原因はレイ・ハリーハウゼンが手掛けた特撮映画「アルゴ探検隊の大冒険」だが、この作品ではストップモーションで撮影された7体ものスパルトイが登場して実写の俳優たちと切り結ぶという、当時としては高度な特撮シーンがクライマックスとして描かれた。また、本作ではドラゴンではなく、同様にストップモーションで表現されたヒュドラの歯からスパルトイが生まれるという設定になっている。
その他の創作での扱い
- 女神転生シリーズ
初出は『デジタル・デビル・ストーリー女神転生Ⅱ』で種族は”悪霊”。「スパルチ」名義で青い色をした骸骨剣士姿で登場した。『真・女神転生』では”闘鬼”スパルトイとなり、ローマ兵風の兜をかぶった骸骨剣士として登場した。なおシミュレーションRPGである『魔神転生』シリーズでは”邪鬼”として登場している。
古代語魔法「スケルトン・ウォリアー」「ドラゴン・トゥース・ウォリアー」で強力な竜牙兵を呼び出すことができる。触媒として竜の牙が必要。
小説作品ではしばしば要所の護衛や敵側の尖兵として描かれていた。
TRPGのルール上はプレイヤー側も使うことが出来るが、コンシューマーゲームへの移植時(ソードワールドSFCなど)では敵としての登場のみになっていることも多い。
(おそらく操作キャラが増えて処理が煩雑になるのを防ぐため)
キャスターの持つ金毛羊の皮をアレスの竜が守っていたという繋がりからか、魔術で彼らを作り出して戦っている。
ただし、カドモス本人は未だにFateシリーズに登場していない。
『禽竜-イワナ-の祖たる角にして爪よ、四足、二足、地に立ち駆けよ』
TRPGでは竜の牙を触媒とした祖竜術で蜥蜴人の骨の姿をした竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)を呼び出せる。優れた術者ほど強力な個体を作り出せる(選択式。ただし強い個体ほど効果時間が短い)
小説・アニメ本編では、仲間である蜥蜴人の蜥蜴僧侶が竜牙兵を使役している。
単純な戦力のみならずゴブリンの虜囚となっていた女性を安全な場所まで運んだりと活躍したが、酒宴の席で踊るような動きをしていた竜牙兵もいたため、蜥蜴僧侶がちょっとした余興でそういった命令をしたと思われる。
スペルカード「スパルトイ」としてシリーズ複数作に登場。
設定上は竜の牙を触媒とするが、ゲーム上は手持ちのカードを一枚生贄にし「スケルトン」を召喚する。
安価なバラ撒きカードではあるが、わざわざカードを消費した上、攻撃力・耐久力ともに平均的な無属性クリーチャーをランダムな土地に召喚するという特性上、使いどころが難しい。