概要
アニメ「ボンバーマンジェッターズ」に登場するラーメン屋「夏海館」の店長にして、ヒロインでもあるシャウトの父親。
愛称はツイストさん。
物静かだが、微妙な年頃のシャウトや主人公である幼いシロボンのことを暖かく見守っている。
人物
「夏海館」自体がジェッターズ関係者の行きつけになっていることから登場回数はかなり多い。
だが、はっきり言ってそのストーリー上での大部分が没個性である。
まず、登場しても料理をしている後ろ姿か新聞を広げて読んでいるという、徹底的に顔を出さないシチェーション。
さらに劇中ではまったく話すことは無い。
(ただし設定上は『無口ではない』みたいである)
少なくとも第1期においてはそんな状態で通し切ったため、多くの視聴者にはただ居るだけのモブキャラという扱いであった。
ツイストの過去(ネタバレあり)
「ツイストさんは酷い人じゃ」
そんなツイストさんだが、アニメ第2期においてジェッターズとヒゲヒゲ団及びボンバー四天王の抗争の激化、そしてボンバー星の危機が迫るなか、彼の過去がDr.アインの独白によって明らかになる。
彼はその昔は有名なレストランのシェフであったという。しかも最年少で料理長を任されるほどの腕前だった。
しかし、若かった彼はそのことで傲慢になってしまった。周囲をかえりみることはなく、アインいわく毎回料理の味が違うほど仕事に対しても不誠実であったという。
彼女は旅行中に乗船していた宇宙船が超新星の爆発に巻き込まれ、行方不明となってしまったのだった。
彼女は生前から天狗になっていたツイストを心配し、時には叱ることもあったという。
ここに及んで彼は自身の不誠実さを恥じ、心を完全に入れ替えたという。
「ツイストさんは偉い、人生何が大変かって同じことを続けていくことじゃよ」
シェフを辞めたツイストが、亡き妻の名を冠したラーメン屋「夏海館」を開いたのはその後しばらくたった後であった。
店のラーメンの味はとても美味しいと評判で、その味はとても安定していると常連であるアインは語る。
毎日を誠実に取り組むようになったツイストを、彼は偉いと讃えるのだった。
ストーリーが終盤に差し掛かり、シロボンの兄である英雄マイティの死の真相といった鬱展開や迫りくる星の破滅といった焦燥感が漂うなか、Dr.アイン演じる緒方賢一によるツイストさんの半生についての静かな語り口と、それに乗せて展開される
・その過ちを素直に受け入れられなかった狭量さ
・それらを正せないまま愛する人と永久に別離することになった悲しみ
・そこに及んでようやく気が付いた人間としての周囲への裏切り
・それら取り返しのつかない数々の過ちを「毎日の仕事に一定のクオリティを保つ」ことで贖罪し続ける、一人の男の覚悟
……という主な視聴者であったちびっ子にはかなり難解な人生哲学、それをバックに初めて明らかになる彼の精悍な容貌とラーメン作りに勤しむ真摯な眼差しという劇的な構図が視聴者に強烈な印象を残し、顔無しモブでしか無かった彼を半ば伝説の存在へと押し上げることになった。
「責任をとる道は身投げのような行為の中にはない。責任をとるというのはもっとずーっと地味で真っ当な道」(by赤木しげる)とはいうが、ツイストさんは自身では一言も語らず一コマだけ映った容貌でその一端を示したのである。
……そして、この一シーンのために2シーズンにわたってキャラクター1人の個性を殺し続け、こんなくっそ重たい設定を貯めてきたアニメスタッフの意気込みたるや並々ならぬものがある。
ちなみに、ツイストさんの顔出しはこの回と最終回の2回のみ。
そしてその最終回でようやくしゃべる。
海が見える小高い丘にある妻であるナツミの墓にシャウトやシロボンと共に向かった際に墓前にて緊張しながら「紹介したい人がいる」と叫ぶ。セリフは後にも先にもこれっきり。
そして、とある人物と再婚することになったと話し、兄の死を乗り越えたシロボンと同じく自身の人生にも一つの区切りをつけたのであった。
余談ながら、娘のシャウトがシロボンに対してお節介を焼いていたのは自身も母を亡くしており大切な人を失った時の悲しみを理解していたためでもある。
作中では明確な描写は無いが、娘が他人を気遣える優しさを備えるほどにはツイストも確かな愛情を注いでいたことがうかがえる。