※ 以下『Fate/strange Fake』及びフラット・エスカルドスに関するネタバレ注意!
プロフィール
真名 | ティア・エスカルドス |
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性別 | 礎となった身体は男性 |
身長 | フラットよりは小柄。胴体が欠落&分離しているので不明。 |
体重 | フラットよりは小柄。胴体が欠落&分離しているので不明。 |
出典 | Fate/strange Fake |
地域 | − |
属性 | 混沌・中庸 |
ILLUST | 森井しづき |
※ プロフィールの出典地域は本百科の推測なので注意。
概要
『Fate/strange Fake』に登場するキャラクター。
ファルデウス・ディオランドの指揮する部隊によって狙撃され、死亡したフラット・エスカルドスから出現した存在。子孫にすら忘れられたエスカルドス家1800年の悲願。
顔そのものはフラットをリファインしたかのような外見をしているが、穏やかで無邪気めいたフラットとは逆にこの世の全てを儚み、憐み、厭悪しているかのような寂しげな目をしており、伸びた髪の間からは短い突起物が、銃弾が通り抜けた胸の穴からは漆黒の闇の『核』が覗いている。
ティア・エスカルドスとは、かつてこの存在を認識していたフラットが彼に対して贈った名であり、彼自身もこれを自分の名前と定義しており、他の名を名乗るつもりはないと言い切っている。
また、フラットとは存在基盤からして違う存在であるため、多重人格というわけではない。
詳細は不明だが、彼に関するワードとして『新しい霊長』『真実のヒト』といった描写が散見され、エスカルドス家の祖である創造主から与えられた目的を果たすために稼働している模様。
来歴
ティアの誕生には、エスカルドス家の祖であるメサラ・エスカルドスが深く関わっている。現在で言うところのモナコ公国に工房を構え、魔法使いや多数の高名な魔術師達と交友を持っていた彼は友人である魔法使いから聞いたたとえ話――この世界と並び歩みながら、この世界とは異なる無数の可能性――並行世界の話を聞き、そこに何らかの希望を見出したという。
その希望に端を発した彼の『夢』は、大半の魔術師に「不可能だ」と笑われており、その達成に長い時をかける必要などなく、誰かの身体を改造すれば終わる話だと言う者もいたが、メサラはあくまでも人間が世代を重ねた進化の末に辿り着かなければ意味がないと考えていた。
最終的に、その成就がもたらす結果まで理解したことで賛同こそしなかったものの考えに真剣に耳を傾けたのは、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグとヴァン=フェムの2名であり、彼らとの議論の末に己の生涯、後に続く血脈までをも材料として計画に注ぎ込んだ。
それだけならば魔術師の家系にはよくあることではあったが、メサラ・エスカルドスのそれが異質だったのは、後に生まれてくる子孫を一切信用しなかったことである。彼は自分の子孫が名誉欲に駆られて『自分が「それ」になる』と魔術回路の進化系統や魔術刻印に手を加えることを怖れたために、血統が長く続くにつれて家の目的が徐々に失伝するように仕向けたのである。
そうして、時計塔において『歴史倒れのエスカルドス』と揶揄され、子孫達すらも『エスカルドス家には命題などない、歴史だけの家系だ』と思い込んでいた1800年後に、フラットは誕生した。
それまでの家系に付けられた汚名を返上するかのように魔術師として天性の才能を持って生まれたフラットだったが、彼の真の役割は自身の消滅とともに『新しい霊長』であるティア・エスカルドスを産み落とすことであった。即ち、フラットの本質は魔術師ではなくエスカルドス家の大望に捧げられる生贄であり、最初から【器】として作られた人形のようなものだったのである。
能力
英霊に匹敵するどころか、並みの英霊ならば凌駕するほどの力を有している。実際に、作中ではサーヴァントの中でも最強クラスの実力を持つエルキドゥと互角以上に渡り合う実力を披露した上に、これといった損傷を負わないまま引き分けという結果に持ち込んでいた。
魔術系統はフラットと同じものではあるが、フラットとティアでは身体のスペックが天と地ほども違うとされ、フラットが『最新の電子制御システムを搭載した軽自動車』だとすればティアのそれは同じシステムを搭載しながら『戦車の如く頑丈で、戦艦のようなエネルギー量を蓄え、ジェット機の推進力を持ち合わせている架空の機動兵器』であるという。逆に言えば、この架空の機動兵器のためだけに存在している筈だった演算機を動かせてしまったことが、フラットの天才性である。
魔術行使の際には本来ならば肉体に刻まれるはずの魔術刻印が外部に拡張され、さらに無数の生命として独立しリアルタイムで成長するという、ありえないどころか観測していた者が自身の正気を疑う現象が発生している。また、後述するように魔術の詠唱や魔術式、ある程度の道理そのものを無視した魔力操作を行っているが、この光景を見た者が時計塔に君臨するロード達やアトラス院の高位術者であれば、それだけで彼の正体を察していただろうとされている。
エルキドゥとの戦闘でも魔力により空間そのものを捻じりあげる、自身の周囲に高速循環させていた魔力を展開した魔力圏で宝具の魔力を読み取り、ハッキングすることで『民の叡智』によって作られた武具を砂に還し魔力は吸収する、いくつかの武具は壊さずに乗っ取って撃ち返す、撃ち出した魔力の帯がなぜか何百倍、何千倍の威力に増幅されるなどの描写が見られる。
なお、先述したようにフラットとティアの魔術系統は同じものではあるが、実はフラットが天才的な直感と感性で魔術を行使するのに対し、ティアの場合は完全な計測と計算を用いて魔術に対応しているという相違点が存在する。ティアはフラットが過去に行使した魔術を全て記憶している上、フラットが感覚でこなす領域に近い事を計算を以って執り行う事ができる。その関係上、ティアはフラットが過去に行使した二度と使用できない術式を再使用する事が可能である。
反面、魔力と身のこなしこそサーヴァントに引けを取らないものの耐久面は魔力による障壁頼りであり、フィジカルに至っては貧弱な部類に入るフラットと大差がない。そのため一発でも攻撃を喰らうわけにはいかず、遠坂凛のガンドすらも彼にとっては無視する事のできない攻撃となる。
また、サーヴァント単体が相手であればエルキドゥとすら渡り合うこともできるが、仲間内で主導権を奪い合いながらも足を引っ張り合わずに混沌とした戦況を作り出すエルメロイ教室との相性は最悪に近い。フラットが相手であれば直感と感性で切り抜けられてしまうため通用しない戦法だが、ここまで複雑怪奇で先の読めない状況となると完全に魔力の流れも読めなくなるため、計測と計算で動くティアには悪夢同然となる。このため作中では最強格のサーヴァントを相手に互角の戦いをしながら、現代の魔術師30人前後の集団には半ば魔術を封殺される形で敗北するという不思議な戦績を残している(とはいえ、サーヴァントに近いレベルの魔術を素で行使するヴェルナーやあらゆる魔術に後出しで相性勝ちできる凛、味方の魔術を補助するオルグ、複製・増幅するペンテル姉妹などの天才30人によるハメ殺しがどれ程の脅威であるかは言うまでもない)。
以下のデータは「仮にサーヴァントであったとしたら」という仮定のもとに表記されたもの。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
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なし | E | C | A | A++ | D | EX |
保有スキル
対魔力(EX) | 本来はセイバーなどのクラススキル。魔術に対する抵抗力。魔力干渉し無効化する技術はA+ランクであるが、そこを突破されるとBランク程度である。 |
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単独行動(A++) | 本来はアーチャーのクラススキル。マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。生物なので当然だが、仮にサーヴァントでも長く行動可能。 |
魔圏の住人(A) | 現実世界にありながら世界を魔術的な構成で認識し、その流れや澱みに介入して分解や改変、吸収などが出来る事を示すスキル。電波を可視化したかのように、物理的な視界の上に重なる形でありとあらゆる魔力の流れが見えている。魔眼ではなく聴覚などにも影響し、生まれながらにしてその光景に慣れていなければまともに歩く事すら出来ない。『時流操作』同様、宝具の要と思しいスキル。 |
時流操作(A) | 自らの影響下にあるものを、魔力や物質、思考速度などの概念も含めて魔力の続く限り加速減速をある程度自在に行う事が出来るスキル。ただし加速も減速も常識の範囲内に留まり、完全停止や光速化、逆行などは当然不可能である。 |
??? | もうひとつスキルが存在しているが、塗りつぶされており詳細不明。 |
宝具
空洞異譚/忘却は祝祭に至れり(ア・クロックワーク・アバドーン)
- ランク:A+
- 種別:対基宝具
- レンジ:2~視界内
- 最大捕捉:???
「……改変開始」
(チートオン)
「地よ」
(我が身は人理の庇護下に非ず)
「人よ」
(現在の霊長が抑止に祈り、叫び、許し、憐れみ、憎む事を肯定する)
「謳え、踊れ」
(この罅割れにて悪も善も全て吞み込み己を示さん)
「久遠の滅びを」
(我が瞳は人間の築き上げし万象を賛美し、故に我は人智に挑む)
「生き足搔け!」
(この破壊を持って、人智の繁栄を言祝ごう、星が枯れ果てるその時まで)
キリシュタリアが使用する『冠位指定/人理保障天球』と同様に、世界そのものを媒介として使った、真神の全力に勝るとも劣らない大魔術であり、事実上の宝具として扱われる。
物体に様々な魔術を籠め、限界近くまで加速させて射出する魔力加速砲。
例えば原子崩壊の魔術を限界まで圧縮して物体に籠めることで純粋な高威力にすることから、暗示などの精神的な効果を発揮させる事まで幅広く応用可能。現在の地球において行使可能な魔術という条件があるため、当然ながら『魔法』の再現とそれを物体に籠めることは不可能である。
発動時にはティアの周囲に圧倒的なまでの光とその対となる影が展開され、高密度の魔力を纏う魔術式は周辺の空間を歪め、太陽光を捻じ曲げることで新たな魔法陣の一部として仕立て上げる。光を完全に遮断する影もまた別の魔術式を生み出し、多重構造の魔法陣となっていく。ティアの肉体から展開された魔術刻印は世界そのものを侵食するかのような光景を引き起こし、固有結界とは異なり現実世界をそのまま上書きしかねない勢いで世界の法則を揺るがし始める。
作中では数十km上空で行われたエルキドゥとの戦闘で使用。総量は2000トンを超える複数のスペースデブリに空気摩擦を無効化する術式を付与し、音速を遥かに超える速度で射出した。
その威力は抑止力(アラヤ、ガイア両方)のバックアップを得たエルキドゥが『人よ、神を繋ぎ止めよう』を使用することでようやく相殺できるほどであり、攻撃そのものは完全に無効化できなかったことにより砕かれた星のいくつかが地上に落下し、人間社会へ甚大な被害をもたらした。
ワシントンD.C.付近に落下した隕石は近くの河に落下したことでその水を大量に巻き上げて地震に揺れるホワイトハウス周辺に豪雨をもたらし、別の欠片が落下したロシアは他国の攻撃かと警戒態勢をとり、さらに北極海に落下した欠片は、海氷の12%を綺麗さっぱり消滅させるという、仮に南極大陸上の氷で起こっていたのならば地球の水面に影響が出るほどの結果を生み出した。
グガランナに捕食されたロサンゼルスへの流れ弾(スペースデブリ)を後に体内から遠隔起動しているが、捕食されたのは3日目であるにもかかわらず起爆は5日目であること、3日目の描写では籠められているものが『破壊と原子崩壊の魔術式』で、5日目に発動したのは別の魔術である『限界近くまで分子運動を停止状態に近づけさせる術式』であることから、日付を跨ぐほどの時間差での起爆や、1つの物体に複数の魔術式を籠めることも可能であることが窺える。
空洞異端/喪失は―――
もうひとつ宝具と呼べる力を有している模様だが、塗りつぶされており詳細不明。
関連人物
親友、愛すべき隣人、唯一護るべきだった人類(ともだち)。ティアの自我は彼よりも先に発生しており、完成すればフラットは取り込まれる事すらなく不要なデータとして消え去る筈だった。
ティアという存在は完成された身体とメサラの設計した魔術刻印が組み合わさって誕生するが、その前に身体側に存在を気付かれた場合は逆にティアが消滅し、完成された魔術刻印が身体側で起動して次代に機会だけが引き継がれるようにできている。が、フラットは意識が芽生えた瞬間にティアの存在に気付き、成長してティアがどのような存在であるかを理解し、消し去る手段を得た後も消去せず、すべてを理解した上で逆に手を差し伸べ、名前や様々なアドバイスさえ送っている。
そのような経緯もあり、自分の唯一の理解者であり親友だった彼が亡くなった際には攻撃してきた部隊への報復を行っているが、フラットの遺志を汲んで延々と苦しめることはしなかった。
メサラ・エスカルドス
1800年前のエスカルドス家の当主であり、自身の創造主。
ロマンチストであるのと同時に魔術師らしい魔術師でもあったが、ティアに対して魔術師らしくあることは求めておらず、ただ生き続けること、できるのならば人理の終わりか、あるいは人類が星と切り離された後でさえ、この星の上で生き続ける道を求めろとのみ命令を下している。
死徒二十七祖の第十四位。メサラと親交のあった魔術師。
遥か遠くの地でティアが誕生したことを感知し、祝福はするが喜ばしい事だとは思わない、と漏らした。また、フラットの天才性を過剰に恐れた彼の両親は魔術師の間で有名な裏カジノでわざと大負けを続け、賭けの代償としてエスカルドス家の魔術刻印を譲渡することでフラットから刻印を遠ざけたが、その場所こそがヴァンの経営する『フェムの船宴(カーサ)』であった。
死徒二十七祖の番外位。他人に自分の魂を焼き付けて転生する吸血種の話を聞いたことがあるが、自分の存在はそれほど強固なものではない、と彼と思しい存在を引き合いに出す場面がある。
ティアはフラットが健在だったころは解析作業を裏から手伝うことも多く「ナビゲーションシステムみたいなものだよ」と名乗っているが、月姫リメイクのシエルルートでは遠野志貴の補助人格となったロアが「カー・ナビゲーションのようなものだ」と自身を称している共通点も存在する。
セイバーのマスター。どちらかといえば巻き込まれた側であるはずの彼女を過剰に敵視し、目覚めて早々に抹殺対象として認識した。彼女の正体を見抜いた故の行動と思しい。
偽りの聖杯戦争に参加していたランサーのサーヴァント。
セイバー陣営とは同盟関係にあったため、ティアがアヤカを攻撃しようとした際には止めにかかり、そのまま戦闘となる。激戦を繰り広げる中でティアが彼のマスターである合成獣にとっても危険な存在であることを確信するが、同時にティアがいることは『まだこの星が希望を捨てていない証拠』であるとして、個人としてはティアの誕生を嬉しくも思うと口にし、祝福さえしている。
ロサンゼルス方面へ飛んでいった流れ弾(原子崩壊魔術付きのスペースデブリ)を、神気を纏った魔力で空間を喰らい、潰し、距離と方角の概念を打ち壊してまで拾い食いしにかかった神獣。
戦闘中のエルキドゥとティアを見て嗤いかけてきており、悲しげな表情で一瞥したエルキドゥ(生前ギルガメッシュと共に彼を討伐した因縁あり)とは逆にティアは興味深げに微笑み返した。