概要
SF映画「STARWARS」シリーズの作中世界に登場する超巨大生物の一種。
作中でも数少ない真空の宇宙で生息している生物であり、さらにその生態(後述)からある種「伝説の存在」として語り継がれている宇宙生物の一つ。
特徴
外見ではクジラの前半身にイカ・タコの触手部分を合体させたような外見をしている。触手の本数は4本。全体的につるんとしてる実在のクジラ類と異なり、頭部〜背面部にかけて大小の突起がバラバラに生えている。また、個体によっては下顎から腹部にかけて「髭」のような触手状の突起が生えている場合もある。体色は青味を帯びた灰色だが、空腹時やエネルギー枯渇時には茶色っぽくなる。
全長は標準的なものでも約30mと巨大であり、亜種である"パーギル・ウルトラ"という個体ではインペリアル級スター・デストロイヤーの全長の半分にも匹敵する巨体(推定600m以上)に成長することが確認されている。
口には卵型の巨大な歯を多数揃えているが、その特殊な食性(後述)から捕食行動に使うよりも自衛手段や格闘手段として使うことが多いと考えられる。
普段は"パーギル・キング"と呼ばれる大型の雄個体が率いる10〜数十匹の個体からなる群れをなして宇宙空間を回遊している。
また性格はいたって温厚(というよりも人間の宇宙船などに無関心?)であり、遭遇した場合も攻撃したりしなければただ通り過ぎるだけである。しかしその巨体や習性ゆえ意図せずして航行中の宇宙船を「轢き殺してしまう」事故を起こしてしまうことが多く、パイロットたちの間では伝説的な存在であると同時に「厄介者」として認識されている。劇中でもヘラ・シンドゥーラもかつて友人の一人をパーギルとの衝突事故で亡くしていることが明かされている。
また、自分たちの餌場が侵されるなど危害を加えられた場合はその巨体とパワーを生かして手が付けられないほど暴れるなど、普通の人間では手に負えない一面もある。
一方で、フォースとのつながりを持っており、ジェダイなどのフォースとのつながりが強い人物と意志の疎通を図ることが可能。また、自分たちの危機を救ってくれた人物の呼びかけに駆けつけるなど、知性や義理堅さを持つ種でもある。
驚くべき生態
彼らの特筆すべき生態として知られているのが、有機生命体ながら生身でハイパースペース航行が可能である点。
ハイパースペース航法というのはスターウォーズ世界における超光速航法であり、現実空間(リアルスペース)と並行して存在する亜空間"ハイパー・スペース"に超光速スピードで突入することで星系間の移動にかかる時間を大幅に短縮する技術である。そのため、厳密にはワープとは異なるのではあるが、わかりやすく言えばパーギルは生身でワープ航法を行い、恒星間を回遊するとんでもない生物なのである。
そして、ハイパースペース航法はスターウォーズ世界ではなくてはならない技術なのであるが、その技術確立にもパーギルが関わっている。ハイパースペース航法確立前、宇宙を自在に移動するパーギルを不思議に思った科学者たちは、惑星に墜落したパーギルの死骸などを解析した結果、死骸の体内に未知の超物質を発見。この物質はパーギルが主食としている「クロウゾン36」という星間物質が体内で代謝された結果生み出された物質で、この超物質によりパーギルは超光速航行が可能であるとみた科学者たちはこの物質を「ハイパー燃料」あるいは「コアクシウム」と命名し、この物質を用いて新たな技術を開発し、現在まで使われるハイパースペース航法を確立したとされる。
映画「ハン・ソロ」で描かれた通り、このコアクシウムはルークやソロの時代に至るまでハイパースペース航法に不可欠な燃料として多大な需要がある。
劇中での活躍
初登場は「反乱者たち」。
マイニング・ギルドにより主食のクロウゾン36の産出地から締め出され飢餓状態となった群れが登場。同じくマイニング・ギルドと対立していたエズラたち反乱者たちの活躍で再びクロウゾン36をお腹いっぱい食べることができ、満足してハイパースペースの彼方へと旅立っていった。この際、ギルドのプラットホームから足を滑らせ、ガスの中に落下してしまったエズラを助け、彼と交流を果たした個体がおり、彼との間に絆を残している。
その絆を活かし、エズラは故郷である惑星ロザル解放作戦の終盤、智将スローン大提督率いる第七艦隊への一発逆転の策として誰も使っていない太古の通信チャンネルを用いてパーギルの群れへ救援信号を発信。エズラたちに助けられた群れがこれに応じさらに巨大な"パーギル・ウルトラ"の個体も引き連れロザル軌道上に展開されていたスローンの強固な封鎖戦をその巨体とパワーで難なく破壊。そして惑星上空に展開していたスター・デストロイヤー艦隊も触手で絡め取り無力化するとエズラやスローンを乗せたままハイパースペース航行を敢行し、宇宙の何処かへと去っていった。
このエズラの奇策により、ついにロザルは帝国の支配から解放されたのだった。
関連タグ
エズラ・ブリッジャー:自分たちの窮地を救ってくれた恩人であり、その恩からか彼の呼びかけに応え窮地を救った。
ここから先、「マンダロリアン」season3のネタバレ注意
パーギルの存在自体はドラマ「オビ=ワン・ケノービ」などでも言及されていたが、パーギル本体が登場したのはアニメ「反乱者」のみであり、長く実写作品への登場はみられなかった。
だが、2023年に配信が開始された「マンダロリアン」season3第1話(chapter17)にて、ハイパースペース航法をしていたマンドーとグローグーがハイパースペースの壁の向こうで並走する巨大な影を目撃しており、その形からパーギルであることが確実視されている。
そして...
以下、ドラマ「アソーカ」のネタバレ注意
スピンオフ作品『アソーカ』では、なんとエンディングクレジットで別銀河へと続く航路(と思われる)絵の装飾として、パーギルの群れの絵が登場。
本作のキーを握る存在と注目されて始めた。
そして、明かされたのは、彼らの脅威の生態だった。
彼らはなんと、銀河間を股にかけた「渡り」をするとんでもない生き物だったのである。
一応、彼らの「渡り」自体は銀河文明には「伝承」として伝わってはいたが、それは「おとぎ話」あるいは「神話」扱いされていた。
例えば、ヒュイヤン曰く、銀河の歴史をまとめた伝承の中には、「別銀河へ至る道」の記載があり、その道は「パーギルの道」として知られていたという。
また、ダソミアの魔女たちの間では、「自分たちの祖先はパーギルに乗って他の銀河からやってきた」と言う神話が伝わっていた(そして、「アソーカ」作中での描写を見る限り、その神話は本当のようである)。
彼らの銀河間を股にかけた「渡り」は、別銀河にある惑星ペリディアで終わりを迎えるのだが、それはこの惑星がパーギルたちにとって「墓場」の星であるから。ペリディアの衛星軌道には夥しい数のパーギルの骨があることが作中でも描写されている。
だが、「ペリディアはパーギルにとって終焉の地で、ここに着いたパーギルは死に絶える」と言うのは、「この惑星からパーギルに乗って我々の銀河へやってきた」と言う魔女たちの伝承と相反するような気がするが...?