概要
イギリスのスコットランドの伝承に登場する幻獣の一種。蛇の一種であるヨーロッパユウダ(Natrix natrix)をもとに生まれた伝説であるとされる。
名称
ベヒルとも呼ばれる。
この名は熊(ベア)や野獣(ビースト)なども含めた正体のわからない怪物全般や、雷を表すのにも用いられていた。
容姿と能力
足がないか短い爬虫類型であるとされ、ドラゴンにも含まれる。伝承では、巨大で致命的なドラゴンであるとされるが、火炎や魔法といった特殊な攻撃手段は持たない。有毒で、刺突攻撃によって人を害し、これによって受けた毒は特殊な手段でしか解毒できないという。
普通の蛇が後天的にベーヒアルになることもあり、蛇を殺すとき、頭と首を切り離し一定距離離して破壊しなければ、部位同士が繋がってベーヒアルとなって復活するという。
UMAとして
目撃
1930年代の目撃
3メートルのベーヒアルがア・ミューリ湖付近の陸上で目撃された。
1965年の目撃
1965年9月30日にモーリン・フォードという人物と友人がドライブしていると、テイ川の脇の道路に大きな生き物が横たわっているのを目撃した。
その生き物は灰色で身体がとても長く、尖った耳のような突起があったという証言があり、翌日にもロバート・スワンキーという人物が丸まっていた怪生物を目撃し、頭部は60㎝くらいで体長は6mもあり、草むらで重いものを引きずるような音を立てて緩慢に移動していたと、より詳細な報告をしている。
この時目撃された生物は、Webサイト「The Paranormal Database」のUMA図鑑ではRoad Crossing Serpent(道路を横切った蛇)として紹介されている(リンク)。
1975年の目撃
漁師が水辺で目撃。驚いたベーヒアルはビューフォート城の方向へ泳いでいった。
容姿に関して
日本の書籍においては芋虫と表現されることが多いが、“ワーム”は大蛇や足のないドラゴン、環形動物などを含む「長い体を持ち、足がない或いは目立たない生き物」の全般に使われる語であることから、伝承同様に大蛇のようなUMAの可能性もある。
※日本での描写イラスト
実際、英語圏では伝承・UMAともに爬虫類型の蛇に似た生物として描写されている。芋虫関連の言葉が目撃証言で使われたのは1965年の報告のみで、これも「巨大な毛虫(giant caterpillar)のように動いた」と容姿ではなく動き方の形容である。
芋虫であるという説明は、おそらく2006年にブログ「UMAファン」で掲載されたのが最初であると思われる。
正体
報告された特徴と完全に一致しているとは言い難いが、UMAとしてのベーヒアルの正体は巨大なウナギであるとする説がある。参考
創作での扱い
ゲーム
雷のブレスをはく12本足の大蛇のようなモンスターベヒィール/ビーヒア(Behir)の元ネタである。
- Orna RPGシリーズ
ドラゴン族。雷の息と毒の爪を持つと設定されている。
- ブロウルハラ
武器スキンにドラゴンの頭骨のような見た目の「Beithir's Breath」が存在。
- FolksSoul
鎌を持った、アンデッド風の細い人型の見た目で登場。伝承のベーヒアルが様々な容姿で伝承されているためか。
ネット小説
- ほのぼの日常オンライン ~ほのぼのするとは言ってない~
小説家になろうのweb小説。6メートルで角を持つイモムシのような生物として描写される。(参考)
- コミュ障な僕と自動拳銃
小説家になろうのweb小説。2章第17話から登場。頭部60センチ体長6メートル以上で、グレーのヌメヌメした表面をしたミミズ状の生物として描写される。(参考)
その他ベーヒアルにちなんだものなど
ベーヒアルファイアーと呼ばれる、アルコール度数約75パーセントのビールが存在する。
外部リンク
MYTH AND FOLKLORE WIKI Beithir