概要
ペルーから発見された原鯨類(ムカシクジラ)の一種。2023年に新種として登録された。
約3700万-3900万年前に生息していたとされており、ムカシクジラ類がまだそこまで水中生活に適応していなかったこともあり、主に浅瀬に分布していたとされる。
最大の特徴は、その推定される体重である。体長は17 - 20メートル程度と大型のバシロサウルスと同程度であるが、産出した化石の骨密度などから非常に骨太であることが判明したため、最大推定で340トンというとんでもない数値を叩き出し、シロナガスクジラの記録(最大200トン)を大幅に更新し、「地球史上最も重い動物」の候補として一躍有名になった。
- ただし、あくまで化石や現生のクジラ等を参考にした計算上の最大値であり、これによれば平均値は180トン、最小値は85トンである。ちなみにシロナガスクジラの成体の小型個体は体重80トン程である。ペルケトゥスがかなり重いと推定されているのがわかる。
もっとも、2024年には上記の計算は過大だとして60トンから120トン程度が妥当とする反論も提出されている。
なお、頭部がやたらと小さく復元される場合が目立つが、厳密には頭部は発見されていないため、あくまでも他のムカシクジラ類(特に近縁のバシロサウルス)に則って推測されているに過ぎない。
頭部がみつかっていないこともあり、この重厚な身体を支えた食性も不明である。ただ、体骨格の化石からはあまり速く泳げなかった事が推測されるため、バシロサウルスのように積極的に餌となる魚等を追いかけるのではなく、動きの遅い浅海の底生動物(甲殻類、軟体動物、底生の魚等)を食べ、時には現生のサメのように死肉あさりなどもしていたのでは?という説が唱えられている。
重く緻密な骨は海草や水草を食べるジュゴンなどのカイギュウ目では特に多くみられる特徴であるため、食べるものこそ違えど浅い水底の餌を食べるのに適応するため、同じような進化をしたのかもしれない。
- 海の植物資源の絶対量は少なくジュゴンのような植物食では、このような巨大な体躯を維持できないため、ペルケトゥスも他のクジラ同様に動物食だったと思われる。
もしくはシロナガスクジラのようにプランクトンを好んで食べていた濾過摂食だったのかもしれないが、この場合はシロナガスクジラと同じヒゲクジラだが沿岸性で甲殻類などの浅海の底生の小動物を濾過して食べるコククジラが参考になるかもしれない。
- シロナガスクジラはオキアミなどの遊泳性甲殻類が主食であり、沖合で活発に泳ぐ生活をする動物であるため、巨大な点は共通するが、ペルケトゥスの参考にはあまりならないかもしれない。