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ミヤコショウビン

まぼろしのかわせみ

カワセミの仲間。後述の理由でとっても謎だらけの鳥。
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概要

沖縄県の宮古島にのみ生息していたとされるカワセミの仲間。大きさ20センチくらいの小鳥で、他のショウビン類のようにマングローブのある汽水域~海辺の林に住み、主に魚や虫を食べていたようだ。
 
現在グアムパラオに分布するアカハラショウビンズアカショウビンの亜種にあたると見られている。
 
1887年(明治20年)に標本が採取されて以降まったく音沙汰なしだったので、1937年(昭和10年)に絶滅種と見なされた。

なぜ「幻」なのか?

生態や絶滅した原因がまったくわからないというのもあるが、それだけなら別にこの鳥に限ったことではない。まったく目撃されていないのも、絶滅種ということを考えれば至極当然だろう。
じゃあなぜ幻か。
 
存在そのものが怪しいからである。
 
絶滅種とはいえ標本が残っているのだから実在した事は疑いようがない…はずなのだが、突っ込みどころ満載のエピソードをお持ちなために「これでは説得力がないぞ!」というわけだ。
 
ちなみにこの鳥の標本を採取したのは「田代安定」という学者(生没1857~1928)。
分野は植物学と民俗学で、明治時代当時ほとんど知られていなかった南西諸島(沖縄地方辺り)を探検して双方の分野に大きな成果を残した……が、その功績はなぜかほとんど知られていない。
この人もこの鳥も揃って「幻の存在」と化しているのはなんたる皮肉であろうか。

見た目

とってもカラフルな鳥で、頭とお腹側、足がオレンジ(茶褐色)、背中側は深緑、翼と尾羽は藍色。
 
容姿はアカハラショウビンのオスの個体とほぼ同じだが(亜種なのでそっくりでもおかしくはない)、足の色以外にも目の上に麻呂眉のような白い模様があったり、目の横を通る「過眼線(かがんせん)」という黒いラインが背中側まで伸びている(アカハラは後頭部で繋がっている)という違いがある。

そのいきさつ

時は明治20年、宮古島を訪れた田代がこの鳥の最初で最後のサンプルを採取した。
しかしこの鳥が新種として報告されたのはそれから30年も経った1919年の事。報告したのも別人である。

その30年の間に何があったのか。
答えは簡単で、標本を持ち帰った田代がそのまま完全に忘れていたから
 
標本は東京帝大(現東大)の動物学の研究室に保管してあり、鳥類学者の「黒田長禮(ながみち。長礼とも)」に発見されたおかげで日の目をみた。この黒田が「ミヤコショウビン」と名付けて発表した人である。
で、その新種報告の際に「田代本人に聞いてみよう」ということで菊地米太郎という動物学者が田代に連絡を取ったところ、「あー、それね…確か明治20年の2月5日に宮古島で採取したんだよ」と回答を得た(この当時田代は台湾にいた)。
標本ラベルの産地メモに「八重山産?」と?マークがついているのはそのためである。
 
よく30年も無事だったものだが、ここまではいい。問題なのは「宮古島で採取した」という田代の証言すら怪しい事なのだ。
 
もちろん田代がウソをついた訳ではないので、普通なら「本人が言うなら間違いない!」となるだろう。が…すんなりそうならない事情がある。
それが以下。
 
1.田代は1887年に宮古島を訪れたが、それと近い時期(89~90年)にグアムに遠征して研究を行った。
 
2.採取したという2月5日はグアムを出立する前日だった(1月29日から2月6日まで滞在)。
 
3.グアム周辺に生息しているものとそっくり。亜種なので似ているのも当然だが、これが後に「ただの見間違いじゃないの?」という疑惑も生んだ。
 
4.彼以外に証人がいない上、あろうことか詳細な記録もない。報告書にも「鳥類ハ夥多ニシテ繁雑ニ堪ヘザレバ全ク説ヲ省キ…(多すぎてややこしいので説明はカットします)」とバッサリ割愛しており、もはや手がかりなし。
 
……とまあ、ここまで来ると「宮古島で採取した」という証言を信じろという方が難しいだろう。
本当に宮古島で採取していたとしても矛盾はしないが、こういうガバガバぶりなので「スゲー怪しいんですけど……」と思われているのだ。

ミヤコショウビン仮説シリーズ

あまりにも謎だらけなので、いくつか仮説が出されている。
 
1.ズアカショウビンの亜種である
「亜種ではない完全な新種」ということはまずないと見られているものの、それでもミヤコショウビンが有効な名前として残る唯一の道。
細かい違いも「亜種だから多少違って当然」と説明できる。
 
2.ああ見間違い
標本の個体の性別は不明だが、アカハラショウビンのオスとそっくりなのでその見間違いという可能性はある。
迷鳥としてはるばる迷い込んだうっかりさんとか、船旅の間に紛れ込んだとか。

  • アカハラショウビンは元々日本にいないので、目撃されていないのも必然ということになる。しかしアカハラのメスもズアカショウビンもミヤコショウビンとは模様が異なっており、その違いを説明できない点では若干無理があるか。
 
3.その他
  • 雑種or突然変異でたまたま模様が違う個体だった
 
  • グアムで研究してる間に採取したサンプルを宮古島で採取したと思い込んでいただけ
  • そもそも標本ラベル自体間違っていた 
 
……こんな具合でとっても謎だらけの鳥。それがミヤコショウビンである。

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