概要
ザンギエフが作中の悪の組織・シャドルーによって改造(サイボーグ化)された姿。初登場は『MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER』(1997年)。
元々はMARVELとCAPCOMの提携による外伝作品MARVELvsCAPCOMシリーズに登場するザンギエフのアレンジキャラクターであった。その後、本編含め後続作品にも完全な形ではないが登場するようになった。
VS.シリーズにおける生身のザンギエフの初登場は『X-MEN VS. STREET FIGHTER』(1996年)。この時はまだメカザンギエフにはなっていない。
対戦する相手は目からビームを出したり、骨格が超金属で覆われていたり、空を飛んで雷や竜巻を起こしたり、しまいにゃ巨大化して見せたりとやりたい放題。
波動拳やソニブゥどころの騒ぎではないのだが、同志ザンギエフは鍛えた肉体とレスリングの妙技で超人たちに果敢に挑む。
エンディングでは愛する祖国を脅かす怪人オメガレッド出現の知らせを受け、同志コロッサスとタッグを組んで出撃するというヒーロー然としたものになっている。
翌年の『MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER』にもザンギエフが続投となったが、西側陣営でも屈指のヒーローたちを相手に身体一つで立ち向かうことに限界を感じつつあったのか、シャドルーの甘言に惑わされ改造手術を受け入れてしまう。
この結果生まれたのが改造レスラー・メカザンギエフであり、ゲーム中では条件を満たすとベガに引き連れられて乱入キャラクターとして登場してくる。なおこのシリーズでは、合衆国空軍のナッシュ中尉やICPOの春麗捜査官もシャドルーの改造人間にされている。
文字通りの鋼鉄の肉体ゆえに防御力が非常に高く、ハイパーアーマーのおかげでどんな攻撃を食らっても一切怯まない。体内に蓄えたウォッカで口から蒼い炎を吐ける新技「ウォッカファイヤー」他、ダブルラリアットを出しながら垂直上昇する「シベリアンブリザード」が追加されている。
一方で動作は鈍く、歩行速度とジャンプ力は致命的に低下しており、さらにハイパーアーマーの代償としてガードが一切出来ないという非常に極端な性能になっている。
それ以上に悪質なのは、同志ザンギエフが抱いていた『祖国への限りなき愛情』が『シャドルーへの絶対的な服従』にすり替わるよう精神操作がなされていた点である。
アポカリプスとの戦いで精神操作の効果が解け、メカ豪鬼の同類と成り果てた己の姿が、求めていた鋼鉄の肉体とはかけ離れたモノであることを自覚、シャドルーの誘いに乗ったことへの後悔に苛まれる。
前作のキラービーの事例も考えると、シャドルーの洗脳技術はアポカリプスと接触すると効果が切れるように出来ているのか、アポカリプスの技術を盗用した可能性も考えられる。
アメコミの登場人物なら人生に絶望し、ヴィランに転向したとしても不思議ではない展開だが、同志ザンギエフは安易に超人の力を求めた己自身の弱さを恥じ、本来の身体を取り戻すための旅に身を投じる。
なお、メカザンギエフではない本来の同志ザンギエフのエンディングは、故郷で家族と共に食卓を囲むという和気藹々としたもの。その熊は…飼っている…のか?
そして『MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES』(1998年)において、同志ザンギエフの新たなハイパーコンボとしてアイアンボディが追加された。
これはHCゲージ一本を消費して上記のメカザンギエフに変身するというもので、メカザンギエフの状態でこれを使うと(やはりゲージは消費するが)元の姿に戻る。
すなわち任意に2つの姿を切り替えることが可能であり、『本来の身体を取り戻す』という目的を見事に実現して見せたのである。Хорошо!
エンディングでもこの能力を披露し、巨大ロボットであるブロディアに一騎打ちを挑んでいる。
この技は『MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES』(2000年)でも続投された。
なお、ゲーム中のグラフィック自体は通常のザンギエフのカラーをメタリックなものに変えているだけであるため、カラーエディット可能な作品では通常のザンギエフのカラーをメカザンギエフのものにして外見のみ再現することが可能である。
その後、『スーパーストリートファイターⅣ』(2010年)ではザンギエフのアレンジコスチュームにメカザンギエフをモチーフにしたものがある(性能は通常のザンギエフと同じ)。こちらはカラーだけでなくより機械的な姿になっており、名前も「メカザンギF」という設定がある。さらに、同作では技の仕様は異なるもののウルトラコンボにシベリアンブリザードが追加されている。
『ストリートファイター×鉄拳』(2012年)では宇宙ステージの背景に前述のⅣ版メカザンギFの姿が登場している。こちらはザンギエフ本人がいてもステージ背景に存在しており、同作内では完全にザンギエフとは別個で彼を模しただけのメカとなっている。
このステージは後に『ウルトラストリートファイターⅣ』(2014年)にも収録された。さらに、『ウルⅣオメガ』では一瞬だけ身体を硬質化してアーマー効果を纏うアイアンボディも実装されている。
『ストリートファイターV』(2016年)の公式サイトの「シャドルー格闘家研究所」のキャラ図鑑では、エリアが気になっている格闘家にメカザンギエフの名前を挙げている。さらに番外編扱いのパラレル設定として、前述のメカザンギFのプロトタイプ版に相当する、モニターサイボーグを改造し対ザンギエフ用に開発されたシャドルー製ロボットの試作機「PメカザンギF」の設定が紹介されている。こちらはVS.シリーズとは違いザンギエフ本人ではなく、Lセラミカルチタンで覆われた鈍色に輝くボディとなっており、燃料のウオッカを利用して超高温の青い炎を吹き出すウォッカファイヤーを使う。後にリリースされるメカザンギFでは様々な改良が施され、現在は研究を引き継いだファンの指示で「メカザンギF Mrk3」の開発が進んでいるらしい。