アジー・グルミン役の声優である國立幸さんの演技が光っていた。それ以上は・・・何も言えない。
それでも概要を知りたい人へ
以下ネタバレにつき、注意してお読みください。
『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』第40話にて、イオク・クジャンをけしかけて名瀬・タービンとアミダ・アルカを謀殺することに成功した、テイワズのナンバー2であるジャスレイ・ドノミコルス。
しかしテイワズ代表のマクマード・バリストンは、名瀬とアミダの葬式をテイワズ本部の「歳星」で執り行うことを決め、さらに2人の死について「色々と納得できねえことがある」と、強調した物言いをあえてジャスレイに向けた。
一向にテイワズの実権を自分に渡そうとしないマクマードに対し、ジャスレイはついにマクマードをも、排除してテイワズを乗っ取る計画を実行に移すことを決断する。
そしてその計画の「ちょっとした下ごしらえ」として、ジャスレイは鉄華団をその毒牙にかける算段をつけ、手始めに名瀬とアミダの葬儀の場で、参列する鉄華団とタービンズの面々を前にして死んだ名瀬やタービンズを愚弄し、鉄華団を挑発するも、この時オルガ・イツカらが、彼のその挑発に乗ることはなかった。
見かねたジャスレイは、その後さらに「鉄華団に漢を見せてもらおうじゃねえか」と、新たな企みを実行に移したのだった。
鉄華団が歳星を離れた翌日・・・ラフタはアジーとショッピングを楽しんでいた。
「買い忘れたものを買いに戻る」と言うアジーと別れ、帰りを待つ間にオモチャ屋に立ち寄り、窓際に陳列されたどこかアイツに似ていた、厳つい顔をしたクマのぬいぐるみを手に取った。
・・・と、その時である。
店の窓越しに何者かが、店内にいたラフタに向けて拳銃を連射。
そのままラフタは帰らぬ人となってしまった(このシーンを良く見ると最初の銃撃で頭を撃ち抜かれたのを確認できるため、間違いなく即死である)。
戻ってきたアジーは血の海の中で息絶えたラフタを見て狼狽し、嗚咽のような声を上げながら、混乱と絶望を抱えてその場で泣き崩れるのみであった(その後エーコから「アジーは寝込んだ」と鉄華団に告げられた)。
ラフタを撃った男の正体は不明のままだが、エーコは「ジャスレイの息がかかったチンピラじゃないか?」と予想しており、事実、ジャスレイはラフタの死を引き合いに出し、臆面もなく
「やっぱ、女だけの集まりじゃあ、ナメられちまうってことですよ。・・・どうです?何だったらウチで面倒見ましょうか?」
とマクマードに迫っている。
勿論典型的な男尊女卑主義者であるジャスレイにしてみれば、反目していたタービンズの元構成員である、仮に保護したところで確実に歯向かってくるであろう彼女たちの面倒を見る理由などあるはずもない。
マクマードはそのことを危惧したのか、当然ジャスレイの意見を一蹴したが、テイワズの幹部の中にはジャスレイに同調する者達も多く、マクマードはその対応に追われてしまうことになった。
さらに言えばこのままタービンズの女たちをテイワズ内で放置していては、「『名瀬の死』について自分の関与を嗅ぎ回られることにもなりかねない」と、すなわちこれはこれからもタービンズの女たちは鉄華団という魚を釣り上げる為の生餌にしてやるという、口封じも兼ねた冷酷極まりないメッセージであった。
ラフタの死と、それにジャスレイが関与していることを確信した鉄華団の面々は、当然怒りと憎しみに震えた。
仇討ちやタービンズの女たちを守るため、ジャスレイ討つべしという声が団員たちの間から上がる中、葬儀の場では挑発に乗らなかったオルガですらも、怒りが頂点に達し、マクギリス・ファリドに協力を要請。
テイワズからの離反、名瀬と並んで大恩あるマクマードに弓引く結果になることすらも覚悟の上で、ジャスレイへの報復を決意することとなる。
このショッキングな事件の直前、ラフタは昭弘・アルトランドと二人きりで飲みに行き、彼に対してほのかに抱いていた恋心を発露しかけたシーンがあっただけに、多くの視聴者は彼女を襲った理不尽な運命に嘆き悲しみ、そして彼女を殺したジャスレイへの怒りを爆発させたのであった。
前回40話、名瀬とアミダが死んだ時も多くの視聴者が悲しんだが、39話終盤の時点で2人がマクマードやオルガに後を託す描写があったり、実際の最期が戦闘で華々しく散っていくというものだったりと、その結末を覚悟して受け容れた者も少なくなかった。
しかし、今回は特に明確な予兆もなく(強いて言えば、明弘との別れのシーンがフラグだったのかもしれないが・・・)、ラフタ本人が覚悟もクソもなくあっけなく死ぬという展開(演出上も何の盛り上げもなくしれっと流されており、ますます彼女の死の理不尽さが強調される形となっている)であり、これを予想できた視聴者は少ない。
さらに言えば、放映が始まったばかりの新OPでもラフタがしっかり目立っていたこと、これに対してアジーがきれいさっぱり出番を奪われていたことから視聴者の中には「ラフタは当分大丈夫だ!」と安心した者や「むしろアジーがヤバい。アジー死ぬな!」とアジーの方に気を取られていた者も少なくなかったと思われ(「OPから姿を消すor目立たなくなる」のはガンダムシリーズでは特に定番とされる死亡フラグのひとつであり、名瀬やアミダも目立たなくなる形でしっかりこれに引っかかっている)、そうした視聴者諸兄にとってこの『ラフタの死』は、まさに彼女同様油断しきったところへの致命的一撃となった。
こうした理由から、41話が視聴者に与えた衝撃のデカさは40話の比ではなかったと言えよう。
実は公式で明かされていた?
2017年1月8日に放映された特番『今から観ても絶対間に合う!SP』内で、お笑いコンビ「天津」の向清太朗氏が同回のアフレコを取材した際、「なんちゅうもんを作ってくれた」「耐えられませんでした」「もう誰も死なないでくれと思う」「とんでもない悲しみがあなた(視聴者)を襲います」などとコメントしながら号泣。つまり41話で確実に誰かが死ぬということは本放送前からあらかじめ明かされていたのである。
しかも天津向も、番組MCだったキスマイ宮田も「ラフタ推し」であることを強調した番組構成というとんだダメ押しであった。
泣き顔を晒した向に対しては、特番放送後「アフレコや打ち上げにまで呼んでもらっといて失礼な態度」「ネタバレするな気持ち悪い」などなどとんだクソリプが送り付けられることになったが、41話が放送されると一転して「あの時はネタバレすんなと思ってごめん」 「あの時はキモいと思ってごめん」 「あの時はブサイクと思ってごめん」 「あの時は出てくんなと思ってごめん」など、彼に同情するツイートが相次いだ。
これによって、核心的なネタバレをしなかった向の誠実さと、泣きながらスタジオを後にする向をいい笑顔で見送る鉄血スタッフのド外道ぶりが際立つことになった。
「人として当たり前の落とし前です!」 by寺崎裕香
あまりにも唐突すぎたラフタの死は、視聴者はもとより出演者一同にとっても大変ショッキングな出来事だったことは言うまでもなく、ラジオ番組『鉄華団放送局』ではクーデリア・藍那・バーンスタイン役の寺崎裕香がラフタを死に追いやったジャスレイに対する怒りを爆発させており、「(ジャスレイには)普通に死んでもらっては困る」と言い出すほどであった。
なお、寺崎氏の発言は41話と42話のサブタイトルを繋げたもの。
また、あくまでネタの範疇ではあるが、怒りの矛先はジャスレイ役の竹内良太にも向けられ、この回の放送ではアジー役の國立幸が41話収録後の飲み会で「竹内さんを殺して私も死ぬ!」と泣き叫んだというエピソードが語られている。
しかし、Twitterではそれだけにとどまらず、各所でジャスレイへの怒りやラフタの死に関するツイートが乱発され、竹内氏が突然バーカと言われる事態が発生した。しかし竹内氏は「そこまで視聴者の感情を動かせるほどのキャラを一度はやってみたかった」「ジャスレイへの感情は自由」とジャスレイの役をやることに関して前向きな姿勢を見せている。
三日月役の河西健吾氏が40話の放送終了後に自身のTwitterでジャスレイに「お前の血は何色だ」と激怒し、さらにはシノ役の村田太志氏が41話にジャスレイに対し「首を洗って待っていろ」と落とし前をつける気満々のツイートをした。
また、竹内氏曰く「なぜか自分のトレードマークであるヒゲまで非難された」らしい。
余談
ちなみに過去のガンダムシリーズでは『機動戦士ガンダム00』に登場したミハエル・トリニティも、ラフタと同様にMSに乗っていない所を予期せぬ人物に銃撃され死亡するという似たような最期を迎えている。
彼の死も当時は衝撃的であったが、現在ではある同人誌の影響もあって完全にネタ扱いである。
オルフェンズ世界では、死んだ者の魂は生まれ変わると言われている。
もしかしたらあらゆるガンダムキャラが幸せに暮らす世界で、眉毛の太いベアッガイと戯れる彼女もいるのかもしれない・・・
ただしどちらにも言える事だが所謂「1キャラクターの死亡劇」という点を少し考えるべきなのはある、たとえそれがネタ範疇という理由にしても。
特に後者は、場合によっては前者以上に言ってしまえば作品そのものをバカにしてるという理由付けも見られなくもないのも多々ある。(これは鉄血に限らずでAGEやGレコでもやる例はあるだけに)
悲しむ事を理由に作品そのものを云々なんてのは違うというのも少し考えるべきなのもあるが。
もしも今後、オルフェンズがスーパーロボット大戦シリーズに参戦する時が来るならば、スパロボお得意の救済措置によって是非とも助かって欲しいものである。
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