初出は『機動戦士ガンダム MS IGLOO 重力戦線』。
概要
形式番号M-101A3。アルファベット表記は「Regina」。
対戦車ミサイルをスケールアップして急造された歩兵用の可搬式ミサイルであり、分類は「対MS重誘導弾」。
誘導は、照準装置で目標を狙い、ミサイルがその狙いに向かって飛んで行く半自動指令照準線一致(SACLOS)で、有線式となっているためミノフスキー粒子が散布され電波が妨害された環境での戦闘にも耐えうる。
61式戦車ぐらいしかMSへの対抗手段が無かった当時の地球連邦軍にあって、ジオン軍の新兵器「ザク」に有効打を与えられる数少ない兵器であった。
しかしリジーナは上記の通り歩兵が運用する装備である。長距離の移動はオープントップのトラックであるM72ラコタで行うものの、発射陣地についたら人力で降ろし、発射機を組み立て、二人がかりで持ち上げて移動させるという重労働と危険を伴う兵器であった。
運用
対戦車特技兵から転向した対MS特技兵小隊に配備され、1個分隊の2~3名で運用された。
分隊の基本的な構成は、分隊長、予備のミサイル2本を背負った特技兵、護衛の分隊機関銃手。
この分隊を3~4班まとめたものを小隊長が指揮する。
SACLOS誘導は目標を指示し続ける必要があるやや旧式なシステムと言えるが、有線制御のおかげで高濃度のミノフスキー粒子散布下でも悪影響を受けづらい。しかし、照準装置が発射器と一体化しているため着弾させるため射手も身動きが取れず、発射地点を察知されれば反撃を受ける危険性も高い。
これに先述のサイズと重量が加わるため機動力はほぼ無いと言ってよく、主に待ち伏せ攻撃で使用された。
単発でMSを撃破することは困難であるため、部隊全員で集中攻撃したり関節など比較的装甲の薄い箇所を狙い撃つ戦法が基本ではあるものの、劇中ではザクの胴体を前方から撃ち抜く形で撃破しており、単純な貫通力や破壊力は充分な水準にあった模様。
データ
全長 | 157cm |
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口径 | 139mm |
有効射程 | 3,500m |
最大射程 | 4,200m |
対戦車ミサイルを対MS用にスケールアップしたという設定だが、実在する対戦車ミサイルAGM-114ヘルファイア(全長163cm、直径178mm)よりやや小さい。
劇中での活躍
UC0079年4月26日、ヨーロッパ南方戦線マリアージュにて、ベン・バーバリー率いる対MS特技兵部隊、通称「ザクハンター」が使用。
連邦軍の後方地域に迷い込んだザクⅡ部隊の迎撃に投入され、バーバリーを除く部隊の全滅と引き換えに2機を撃破した。
他作品での扱い
先述の通り、リジーナはMSでもMAでもなく歩兵用のミサイルで、MS開発に出遅れ劣勢だった当時の連邦軍がなんとか対抗手段として作り出した急造兵器である。後に連邦軍が体勢を整え、主力兵器にMSを据えることができた後の年代が舞台の他作品に出る幕は無い…と思いきや、あった。
夏元雅人の『機動戦士ガンダムU.C.HARD GRAPH 鉄の駻馬』の2話、3話では、ジオン占領下の街に潜入したザクハンター部隊が近距離からザクⅡ1機とザクⅠ1機を撃破している。こちらの部隊は生存し、ジオン兵に偽装して街を脱出することにも成功した。
アニメ版機動戦士ガンダムUCでも、OVA版のEP4「重力の井戸の底で」(TV版では第12話「個人の戦争」)に登場。
トリントン基地がジオン残党軍によってに襲撃された際、迎撃に展開した基地防衛部隊の中にリジーナを運用している歩兵が確認できる。
カークスのザクⅠ・スナイパータイプに狙撃され、発射はできなかった。
UC0079年から15年も経ち、MSが主役となって戦場も様変わりしたUC0096年だが、対MS特技兵とリジーナの運用自体は継続されている模様。そうであるなら、弾頭の威力などはターゲットであるMSに合わせて改良され続けていたのだろう。
ただ、EP4は舞台となる地域が紛争の第一線ではなかったこととファンサービス的な演出の面で、連邦ジオンともに前線を退いた旧式機がわんさか登場する戦争博物館状態であり、一年戦争当時のリジーナが保管されていたのを慌てて引っ張り出して来たのでは…と考えるガンダムファンもいる。
立体物
U.C.ハードグラフで1/35で立体化。
地球連邦軍 対MS特技兵セットに発射機本体とキャニスター、及びミサイル本体が収録。
関連タグ
TOW 79式対舟艇対戦車誘導弾:誘導方式やパーツ構成が似ている実在のミサイル。