概要
レーザーディスクゲームとは、1980年代前半から90年代初頭にかけて存在したビデオゲームのシステム。主にアーケードゲームで利用されたほか、一部の家庭用ゲームでも採用されている。
2024年現在は過去の作品の復刻移植が多くを占めている。
特徴
その名の通り、ゲームの映像表現にレーザーディスク(DVDの前規格にあたる映像用ディスク)を使用する。ディスクにはゲーム内容に基づいた実写もしくはCG、アニメ映像が収められており、ゲーム機側の映像とレーザーディスクの映像を重ね合わせてゲームを進行する。
ゲーム内容はジャンルにもよるが、主に「映像の進行と同時に表示される指示に従ってデバイスを操作し、操作がうまく行けば映像がそのまま続き、操作を失敗すれば失敗映像に切り替わって1ミス」というタイプのゲーム性を特徴としている。
アーケードゲームの筐体には、アーケード基板と、基板側からコントロール可能なレーザーディスク(LD)プレイヤーが収まっている。LDプレイヤーがある程度の大きさであることから、筐体はアップライトか大型筐体となる。
家庭用ゲームとしては、パイオニアの「Palcom」と「レーザーアクティブ」があった。
PalcomはMSX仕様のコンピューターで、別売のLDプレイヤーを接続することでMSX側からLDをコントロールしてLD映像のゲームを遊ぶことができた。ソフト媒体はノーマルのLDで、1トラック目にアナログ音声でデータレコーダ形式のプログラムが収録されていた。
レーザーアクティブはオプションパックが取り付け可能なLDプレイヤーで、ゲーム機のオプションパックを取り付けることで、ゲーム機側からLDをコントロールしてLD映像のゲームが遊ぶことができた。ソフト媒体はLDを独自拡張させた「LD-ROM」というものが使われた。オプションパックはCD-ROM²ベースの「LD-ROM²」と、メガCDベースの「メガLD」があった。
長所
1980年代から90年代初頭はコンピューターの処理能力が低く、高精細なグラフィックをドットもしくはポリゴンで表現することは不可能であった。レーザーディスクを使うことにより、実写映像やアニメフィルム、3DCGを画面に映し出すことができ、当時としては驚異的な演出力を発揮した。
短所
レーザーディスクによって表示される映像はハードの演算に依拠したものでなく、予め記録された映像をプレーヤに読み込ませているだけである。PS1、PS2時代に良く利用された「プリレンダリングムービー」に近い。肝心のゲーム部分を司るハードウェアは時代相応の性能であり、ディスクより出力された映像と重ねると、どうしてもそれらが高精細な映像の上に「浮いた」状態となってしまい、違和感でしかなく完璧なリアリティは実現できなかった。
また、レーザーディスクゲーム自体、レーザーディスクの持つ「ランダムアクセス機能による瞬時の映像の頭出しが可能」という利点をゲームに流用しただけに過ぎず実際には映像を切り替える事しかできないため、総じてゲーム性に乏しく単調だった。
当時のレーザーディスクは熱や衝撃に弱く、頻繁に映像を切り替えなければならないゲーム上の仕様も相まって筐体寿命も短く、また映像製作にかかるコストもネックになった。
屈強なコレクターでさえ、仮に自宅に保管できたとしても買って増えれば「塵(ディスク)も積もれば山となる」と言うくらいで、家での保管スペースの確保が難しいものである。
大金を積んでも、ちょっとしたアクシデントでディスクが破損すれば「一貫の終わり」である。
その後
90年代以降小型で安価なCD-ROM、DVD-ROM、Blu-ray(家庭用ゲーム機)が普及しレーザーディスクを利用するメリットが無くなったことやレーザーディスク自体が衰退したこと、ハード性能の向上で記録した映像に頼らなくとも高精細なグラフィックを表示できるようになったことなどから、現在では完全に消滅したゲームシステムとなり、純粋なアクションゲーム内におけるいわゆる「QTE」に名残を残すのみとなった。レーザーディスクおよびプレイヤー本体の老朽化で現存するシステムがほとんど残っておらず、移植が絶望視されているタイトルも多い(いくつかの有名な作品は現行機での復刻移植もされてはいる。)もはや高精細な「Blu-ray」とは勝負にならないだろう。
代表作
※一部移植あり
- アストロンベルト
- スターブレイザー
- ドラゴンズレア
- スペースエース
- 幻魔大戦
- アルベガス
- サンダーストーム
- GPワールド
- 忍者ハヤテ
- スーパードンキホーテ
- 宇宙戦艦ヤマト
- タイムギャル
- ロードブラスター
- クリフハンガー
- バッドランズ
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
レトロゲーム アーケードゲーム レーザーディスク レーザーアクティブ
プレイヤーズゲーム …システムが類似するが、こちらはDVDなどによる。LDゲームから移植されたタイトルがいくつか存在する。
QTE・・・LDゲームのプレイシステムがこれの源流にあたるものとされている。