藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC28巻収録「のび太航空」。
(ただし1982年の初掲載時は「三輪飛行機」であり、タイトルはTC掲載時に改題された。)
未来の遊園地に置いてある三輪車を模した飛行機でありペダルをこぐだけで空を飛べるが、飛行技術そのものはかなりしっかりしている。
もっとも、この話については話の展開の方が面白いかもしれない。
のび太がドラえもんに、「自分は将来、飛行機のパイロットになる!」と豪語。理由は静香がスチュワーデス(当時の台詞そのまま)志望だから。だったら練習を、ということでドラえもんが、子供用の三輪飛行機を出す。手漕ぎで見栄えもおもちゃっぽいが、しっかり空は飛ぶすぐれもの。
さっそくなりきりののび太は、かんたんな空港を空き地に作るが、三人は「飛行機ごっこ」と大笑い。いきり立つのび太だが、ドラえもんは実績が出れば、皆も見直すようになるさと進言。
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●一人目の客
しずかがまたカナリアを逃したので出動。静香はのび太の味方になる。
↓
●二人目の客
スネ夫がほぼイメージ通りのウエメセ。色々注文をつけてのび太を困らせるが、同時に、ドラえもんが静香を将来のスチュワーデス候補として招待し、彼女もそれなりに本気で応対する。
↓
●三人目の客(?)
そしてジャイアンが登場。登場するなり「早く乗せろ!」
のび太「どこまで?」
ジャイアン「う〜んと遠くへ、そうだ、ホンコンへやれ!!」
のび太「ホンコン!?冗談じゃない!これは国内線だよ!!」
ジャイアン「これが目に入らぬか!」
と言って取り出したのは花火。
そう、なんとジャイアンは母ちゃんから逃れ、ほとぼりが冷めるまで外国へ高飛びするべくハイジャックを企てたのである。
母ちゃんが怖いからってそこまでするかジャイアンよ……。
「機長おちつけ!犯人を刺激するな、時間をかけて交渉しろ。その間にこちらも対策を考える!」とめっちゃプロっぽくアドバイスするドラえもん。のび太も「香港へ行く道順が分からない」というもっともな反論をするものの、ジャイアンは「世界地図持ってこさせろ。ついでに弁当とこづかいを百円だ、1時間以内だぞ。一秒でも過ぎたら機体を爆破する!」という要求を突きつける。下手な真似をしてはのび太の身が危ないと判断したか、ドラえもんと静香は要求を一旦呑むことにし、ドラえもんは地図を取りに、静香はおにぎりを作りにそれぞれ帰宅。
のび太は尿意を訴えるがジャイアンは「逃げる気だろ」と耳を貸さない。そして準備に手間取っていることにジャイアンは「時間稼ぎしてるつもりじゃないだろうな…」と疑惑を抱く。
その間にドラえもんから事情を聞いた妙に冷静沈着なスネ夫が当局を呼び出す。
そう、ジャイアンの母ちゃん。
スネ夫「説得してください。」
ジャイアン母「タケシやめな!!つまんない事して人様に迷惑かけたら承知しないよ!!」
ドラえもん「流石に迫力あるなぁ…」
ジャイアン「ウヌーッ、よくも母ちゃんを!!よおし、見てろ!!」
だがスネ夫にキレたジャイアンはついに花火をドラえもん達に投下。空爆に逃げ纏うドラえもん、静香、スネ夫、ジャイアンの母ちゃん。
……ところが。
「がまんできない!!」
その言葉と共に、のび太がとんでもない顔芸のままジャイアン目掛けて顔射。
(さすがに大山版では上半身へになり、わさドラ版ではそのシーンそのものがなくなっていた)
当然飛行機はコントロールを失い裏山へ墜落するのだがその際
「ワー、やめろ!」
「機長!!何をするんだ!!」
と、たぶんジャイアンが叫んでいると思われる。
一見何の変哲もなさそうだが、
実はこの「機長!!何をするんだ!!」の元ネタは初掲載の1982年に起きたJALによる飛行機事故の「機長!何をするんですか!」であり、先ほどの一件もある種の逆噴射である。
(わさドラでカットされたのは、さすがにネタが古すぎた…というより、今なら完全に不謹慎すぎてアウトである。まあ、当時は流行語にもなったほどだったので……)
最後は墜落でボロボロになったジャイアンは母に連行され、のび太も航空業は廃業とするのだった。
ドラえもん「その方が良いと思うよ、世の中の為にも。」