概要
みかん氏による漫画作品。
2017年6月に「創作百合①」というタイトルで投稿され、後にシリーズ化。投稿直後には頻繁にpixivデイリーランキングのトップ3に入る人気作。
可愛い絵柄とは裏腹にハードでリアルな現代社会の世界観と、その中に生きる主人公二人の強い愛情が描かれているのが特徴。どこかダーティーだが繊細なキャラクター達の背徳的なエロスと可愛らしくコミカルなノリが同居しており、危ういながらも目を離せない魅力を生み出している。
2019年3月14日、KADOKAWAより書籍化。PVも製作されている。その後続刊も発売され、既刊8巻(2024年3月25日現在)。
登場人物
メインカップル
- 田中伊織 (たなか いおり)
CV:渕上舞(PV)
物語開始時は28歳、OL。「つねに限界の三十路女」。
既婚男性とついつい不倫関係を持ってしまい、「誰かの一番になることは無かった」という。お酒が大好きでブラック企業勤めのストレスを解消するため飲酒するのが日課。
幸せになるにはまともな恋愛をしなければならないと思っていたのだが、ある日、行きつけの居酒屋で泥酔し、店員である船頭南に自宅まで送り届けてもらったところ、酔った勢いで南と一夜を共にしてしまう。それ以来、南との同棲生活をスタートさせることになる。
南の顔は好み。ベッドの上では受けに回りがちだが、たまには攻めたいと思っている。南を嫉妬させて優位に立とうと試みたことも。事あるごとに南を頼る甘え上手だが、怒ると南を殴ったりプロレス技を仕掛けたりして脅す恐ろしい一面もある。
また、妹の沙織のことをとても大事に思っており、仲を深めていく雫に警戒心を露わにしている。
- 船頭南 (せんどう みなみ)
CV:相羽あいな(PV)
物語開始時は18歳、フリーター。「生きてるだけでほめる未成年」。
過去には親から日常的に暴力を受けており、自身も非行に走り少年鑑別所育ち。それもあってか出所後に金髪に染め、両耳にびっしりピアスをつけ、肩から背中にかけてタトゥーを入れている。
しかし見た目に反して優しく健気なロマンチストで、高い女子力や包容力を持っている。イケメン女子でもあるので勤め先の居酒屋の後輩達からもモテる。料理の腕前は抜群で、同棲することになった伊織の胃袋をつかんでいる。また、自動車運転免許を持っている。
実は一夜を共にする前から勤め先の常連であった伊織に惹かれていた。ベッドの上では基本攻め。
だらしない伊織に文句を言いながらもなんだかんだ面倒を見ていて、そんな生活を愛おしく感じている。しかしこれまで辛い境遇で生きてきたからか、いつか伊織に捨てられこの幸せが終わってしまうのではないかと不安をよく漏らし、そのたびに伊織を怒らせている。
カップルその2
- 仲之雫 (なかの しずく)
南の友人で、施設で共に育った間柄。頭の左側だけを編み込んでいる。
鑑別所を出てからも南ことを家族のように思っており、しばらくして再会してからも傷を舐め合うように寄り添って生きてきた。ところが、南が伊織との同棲を始めてしまったため連れ戻しに行く。その際には南をグーで殴りつけて無理矢理連れ帰り、さらには灰皿で殴ったりもしているが、南の想いを知り身を引く。
しかしそれでも南への執着心は消えず、「私には南だけだったけど、お前はもう違うんだよな」と自分から離れてしまったことを寂しく思っている。
暴力でしか自己主張できない粗暴な性格であったが、クラスメイトである沙織との交流を通じて少しずつ丸くなりつつある。
さらには沙織が他人と親しそうにしているのを見て嫉妬心を見せるようにまでなり、自分の正直な気持ちを沙織に打ち明けることもあった。
- 田中沙織 (たなか さおり)
伊織の妹。高校生。雫のクラスメイトでもある。
伊織に普通の姉妹以上の感情を抱いている。そのため姉を奪った南に脅迫を交えた強い敵意を向けるが、交流を深めるにつれ態度を軟化させている。
担任から頼まれ登校拒否の雫の家を訪問したことから雫との交流が始まる。空手の黒帯所持者なだけあり、雫からの脅しも意に介さず逆に手懐けてしまう。
叶わぬ恋心を抱いている者同士なだけあり、雫にシンパシーを感じている。次第に自分だけが雫のことを知っているのに優越感を覚えるようになる。また、雫が他人と親しそうにしているのを見たり南との思い出話をしたりすると、嫉妬心を露わにするようになる。
カップルその3
- 篠原彩芽 (しのはら あやめ)
伊織の大学時代からの友人。漫画編集者。元プロゲーマーという過去も。
「ララ」という名称でFPSで遊ぶのが趣味。ゲーム内で知り合ったヘケと親しくなるが、そのヘケの担当編集を務めてもいる。しかしララが自分であることをヘケに明かしておらず、ヘケからも気付かれていないと思っている。
クールな外面とは裏腹に、ヘケのことになると喜びや照れを隠すことができない。また、自分からアクションを起こせないヘタレな一面も。ただし、仕事のことに関しては非常にシビアで、締め切りを守らないヘケには心を鬼にしている。飴と鞭の使い方が上手い。
- ヘケ
本名不詳の漫画家。
FPSで遊ぶのが日課で、締切直前という逆境でもプレイしており、そのたびに篠原から大目玉を食らっている。ダメ人間な一面がある一方、料理が上手だったりきちんの貯金をしていたりと生活力はある。
実はゲーム仲間のララが篠原であることをかなり前から知っているのだが、表向きは気付いていないフリをしている。篠原を恋愛的な意味で慕っており、遠回しにアプローチをかけている。
カップルその4
- 久城 (くじょう)
沙織、雫、杉本が通う高校の体育教師。
女性が恋愛対象で、彼女欲しさにレズビアンバーに入ろうとするが、勇気を出せず隣のメイド喫茶に入る日が続く。そこでメイドのアルバイトをしていた杉本から声をかけられ、恋愛指南を受けることになる。
生徒達へは厳しく指導するため嫌われており、「顔だけが取り柄」と評されているが、慕ってくれる杉本に対しては気を許している。しかし教師と生徒という立場であるため、距離を詰めることに関しては慎重になっており、時には突き放してもいる。
- 杉本 (すぎもと)
高校3年生。顔が良くモテるため他の女子生徒に嫉妬され、陰口を叩かれたり事実無根の噂を流されたりして不登校気味になる。
そんな中、ひょんなことからメイド喫茶のバイトを始めるが、そこで隣のレズビアンバーに入れずにいる久城を目撃。久城に彼女ができるように協力することに。
それを機に再び登校するようになり、昼休みに久城と2人きりで会うのが日課となる。しかし久城に彼女ができればこの日々が終わることに気付き、寂しさを覚えるようになる。
ちなみに沙織は後輩にあたるものの、単行本第8巻まで面識はなかった。